武豊騎手(53)=栗・フリー=が、2番人気の
ライトクオンタムで差し切ってJRA重賞通算350勝を達成した。主戦を務めた
ディープインパクトのラストクロップで、自身の記録を塗り替える37年連続の同重賞勝利もマーク。新たなクラシック候補を誕生させた名手は2023年も健在だ。
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偉大な父をほうふつさせる走りで一気に突き抜けた。
ディープインパクト産駒最後の世代、
ライトクオンタムが重賞初勝利。その手綱を取って前人未到のJRA重賞通算350勝を挙げた武豊騎手は白い息を弾ませた。
「いい馬ですね。ゴーサインによく反応してくれて、最後まで伸びていたので能力があるなと思いました」
デビュー2戦目の若駒との初コンビ。出遅れても慌てずに後方でじっくり構えた。「外に逃げながら走っていてあまりいい雰囲気ではなかった」。粗削りなパートナーをなだめながら、メンバー最速の上がり3ハロン34秒6の末脚を引き出した。名手の懐の深さを示し、1987年のデビューから37年連続の重賞勝利を達成。「SDGs(持続可能な開発目標)な感じでいいんじゃないでしょうか」と声を弾ませた。
14年連続のJRA重賞勝利となった
ディープインパクト産駒は、現3歳世代がラストクロップ。血統登録されたのはわずか6頭だ。父の主戦を務めた兄が「重賞を勝ててうれしいです」と頰を緩める一方で、弟の武幸調教師は「火曜に440キロあったけど、(当日は428キロで)やっぱり減りますよね。ハミ受けとか、課題を直していかないといけないです」と渋い表情で先を見据えた。
武豊騎手は「この調子で頑張っていっぱい勝ちたいですね。また重賞400勝を目指して頑張ります」と結んだ。
今後は未定ながら、牝馬でこのレースを制した先輩には、2012年
ジェンティルドンナ、18年
アーモンドアイと2頭の3冠牝馬がいる。名手とのタッグ継続なら、夢とロマンあふれる物語が生まれそうだ。(長田良三)
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ライトクオンタム 父
ディープインパクト、母イルミナント、母の父クオリティロード。青鹿毛の牝3歳。栗東・
武幸四郎厩舎所属。北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は㈲社台レースホース。戦績2戦2勝。獲得賞金4730万8000円。重賞は初勝利。
シンザン記念は
武幸四郎調教師が初勝利。
武豊騎手は1997年
シーキングザパール、99年
フサイチエアデール、2002年
タニノギムレット、03年
サイレントディール、04年
グレイトジャーニー、05年
ペールギュント、15年
グァンチャーレに次いで8勝目。馬名は「光量子。宇宙で一番速い光の粒子」。
