1番人気の
ドルチェモアが好位から直線で抜け出し、デビューから3連勝でGⅠ初勝利。史上17頭目となる無敗の2歳マイル王に輝いた。初コンビの
坂井瑠星騎手(25)=栗・矢作=は、
秋華賞の
スタニングローズに続くGⅠ2勝目。2着に2番人気の
ダノンタッチダウン、3着に3番人気の
レイベリングが入った。
◇
寒さを忘れさせるほど熱い、最後の直線での攻防。猛追するライバルを寄せ付けず、1番人気の
ドルチェモアが力強い脚取りで押し切った。初騎乗で満点回答の坂井騎手が笑みを浮かべる。
「調教で続けて
コンタクトを取って、馬のことはバッチリ分かっていました。道中もうまくいって、直線もしっかり反応してくれ、最後は『何とかしのいでくれ!!』という感じでした」
好スタートからスッと控えて3番手を確保。前半800メートル通過が45秒7の速い流れでも、手応え良く直線に向いて満を持して追い出した。残り200メートル付近で先頭に立つと、最後は外から迫る
ダノンタッチダウンをクビ差で退けた。抜群のレースセンスを発揮し、デビューから3連勝。1984年のグレード制導入後、無敗での制覇は史上17頭目だ。昨年は
ドウデュースが無傷の3連勝で戴冠し、今年の
日本ダービー優勝につなげた。過去には
ミホノブルボンや
グラスワンダーなども手にした〝出世手形〟だ。
鞍上にとっては
秋華賞に続くGⅠ2勝目。4週連続で追い切りに騎乗し、前走までコンビを組んでいた横山和騎手から助言も受けた。今年は馬主・スリーエイチレーシングの〝主戦〟を務め、オーナーから「一緒にGⅠを取ろう!!」と声をかけられていた。初GⅠタイトルを贈った25歳は「たくさんチャンスをいただいていたので、これで少しは恩返しできたのかなと思います」と胸を張った。
初めての2歳牡馬GⅠ勝利を挙げた須貝調教師は「強かったですね。あまり欠点がない。また、担当の山田助手は厩舎開業当初からのスタッフで、やっとGⅠを勝てたのも良かったです」と笑顔でたたえた。次走は未定ながら、坂井騎手は「折り合いに苦労するタイプじゃないので、距離は延びても大丈夫だと思います」と力を込めた。
母は2013年の
桜花賞馬
アユサン。史上16組目の母子JRA・GⅠ制覇を達成した孝行息子は、もっともっとタイトルを積み重ねていく。(山口大輝)
■
ドルチェモア 父
ルーラーシップ、母
アユサン、母の父
ディープインパクト。鹿毛の牡2歳。栗東・
須貝尚介厩舎所属。北海道日高町・下河辺牧場の生産馬。馬主は㈱スリーエイチレーシング。戦績3戦3勝。獲得賞金1億1154万円。重賞は2022年GⅢサウジアラビアロイヤルCに次いで2勝目。朝日杯フューチュリティSは
須貝尚介調教師、
坂井瑠星騎手ともに初勝利。馬名は「甘い(伊)+もっと」。
★アラカルト★
◆無敗馬の勝利 グレード制導入の1984年以降で昨年の
ドウデュースに続く17回目。
◆サウジアラビアロイヤルC勝ち馬の勝利 2019年の
サリオス以来の3回目。
◆坂井騎手 3回目の騎乗で初勝利。JRA・GⅠは今年の
秋華賞(
スタニングローズ)に続く通算2勝目。
◆須貝調教師 6頭目の出走で初勝利。JRA・GⅠは
ヴィクトリアマイル(
ソダシ)続く今年2勝目で通算15勝。
◆
ルーラーシップ産駒 5頭目の出走で初勝利。JRA・GⅠは17年
菊花賞(
キセキ)以来の2勝目。
◆単勝1番人気の勝利 19年
サリオス以来の30回目。
◆関西馬の勝利
阪神JFと別週実施となった91年以降では20年
グレナディアガーズ以降3年連続Vで22勝目。関東馬は10勝。
◆札幌デビュー馬の勝利 16年
サトノアレス以来の16回目で、同レース最多勝利。
◆単勝人気順のワンツースリー 1→2→3番人気の単勝人気順通りの決着は、JRA・GⅠでは1着
アーモンドアイ、2着
コントレイル、3着
デアリングタクトが入った20年
ジャパンC以来。
◇
■売り上げ、入場者数
朝日杯FSの売り上げは146億5868万100円で前年比96・6%。入場者数は1万1106人(うち有料入場1万555人)で同182・3%だった。