ギラギラとまぶしい太陽が照らす小倉競馬場で、いとも涼しげな圧勝劇だ。今年の牝馬GⅢ・
愛知杯、
マーメイドSで2着2回のマリアエレーナが、待望の重賞タイトルをゲット。昨年の
モズナガレボシに続き
小倉記念を制した松山騎手が、会心の騎乗を笑顔で振り返る。
「スタートもしっかり出てくれましたし、取りたいポジションを取ることができたので、自分のイメージ通りの競馬ができました。暑さが吹き飛ぶぐらいのいい競馬をしてくれたなと思います」
❶枠②番から、好位のインをロスなく進む。抜群の手応えで、4コーナー手前で先頭に立つと、メンバー最速となる上がり3ハロン34秒6の末脚で、後続を突き放した。2着とは5馬身差で、1989年勝ち馬ダンツミラクルの4馬身差を超える、同レース史上最大着差だ。
近親に
日本ダービー馬
ワグネリアンがいる
クロフネ産駒。素質を高く評価されながらも、右へもたれる面があり、気性面の難しさが出世を阻んでいた。だが、レースを重ねるごとに競馬を覚えて、折り合いもスムーズになるなど精神面が成長。この日も鞍上の指示に素直に従い、心身の充実ぶりを示した。
牝馬の勝利は2011年
イタリアンレッド以来、11年ぶり。次走は未定だが、牡馬を一蹴する圧巻の走りに期待が膨らむ。鞍上も「スタートはどんどん速くなっていますし、レースも上手になってきています。これからの可能性も楽しみです」とさらなる活躍を見込む。成長著しい芦毛の4歳牝馬が、今後のターフを熱く盛り上げてくれそうだ。
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マリアエレーナ 父
クロフネ、母テンダリーヴォイス、母の父
ディープインパクト。芦毛の牝4歳。栗東・
吉田直弘厩舎所属。北海道日高町・日高大洋牧場の生産馬。馬主は金子真人ホールディングス㈱。戦績15戦5勝。獲得賞金1億4413万1000円。重賞は初勝利。
小倉記念は
吉田直弘調教師が初勝利、
松山弘平騎手は2021年
モズナガレボシに次いで2勝目。馬名は「メキシコのワルツ調の曲名」。
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◆今年のJRA年間プロモーションキャラクターで、
小倉記念の表彰式でプレゼンターを務めた見上愛「ゴール前の盛り上がりは何度体験しても興奮します。最後の一瞬まで場内のみなさんと盛り上がることができ、感慨深かったです」