佐藤洋一郎
スガダイ
ジャンヌ
降雪の影響で2日延期されたマーチSが31日、中山競馬場でフルゲート16頭によって争われ、藤岡康騎乗のスワーヴアラミスが優勝した。重賞初挑戦ながら1番人気に支持されての出走で、4番人気クリンチャーとの競り合いをクビ差制しての勝利だった。 静かに咲き誇る桜の下、素質開花を見せつけた。マーチSは1番人気のスワーヴアラミスが2着クリンチャーとの激しい叩き合いをクビ差で制し、初タイトルを獲得した。 「レースが2日延びてしまったけど、厩舎がうまく仕上げてくれて状態は良かった。ただ、気持ちの部分で落ち着きすぎていて、スタートもここ2戦より鈍く、自分から走る感じもなくて…」 殊勲の藤岡康騎手をヒヤリとさせたスタート。1馬身ほど出遅れたが、3戦続けて手綱を取る鞍上の叱咤(しった)に応えて4番手の好位を奪うと、直線は芝のGIIウイナーを向こうに回して素晴らしい粘り腰を発揮。「直線も一度も抜かされはしなかった。勝負根性とポテンシャルの高さですね」と、今年初の重賞奪取に満足そうに汗をぬぐった。 「馬場で乗ることも考えたけど、スタッフと(藤岡)康太と相談してきのう(30日)は午前、午後と厩舎地区で運動させる調整にしたんです。馬体重もプラスマイナス0でいい感じに仕上がっていた。スタッフのおかげです」 降雪による順延で生じた中山競馬場滞在での“空白の2日間”をチームワークで克服し、須貝調教師が誇らしげに胸を張る。昨夏は札幌のワールドオールスタージョッキーズ第3戦(2勝クラス、ダ1700メートル)でミシェル騎手が騎乗。2馬身差で快勝したのをきっかけにあれよあれよという間に重賞ウイナーの仲間入りを果たし「ダート適性が高かったし、まだ5歳でもっと良くなる。ミシェル効果? そやね」と顔をほころばせた。 今後は未定ながら「力をつけてきていますからね」と鞍上はさらに上のステージでの活躍にも太鼓判を押す。闘志あふれる砂の名コンビが、今後のダート界を熱くする。 (内海裕介)★31日中山11R「マーチS」の着順&払戻金はこちらスワーヴアラミス 父ハーツクライ、母ベイトゥベイ、母の父スライゴーベイ。鹿毛の牡5歳。栗東・須貝尚介厩舎所属。北海道白老町・(有)社台コーポレーション白老ファームの生産馬。馬主は(株)NICKS。戦績18戦6勝。獲得賞金1億3587万円。重賞は初勝利。マーチSは須貝尚介調教師、藤岡康太騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+物語の登場人物名より」。