令和最初の天皇賞・秋が27日、東京競馬場で16頭によって争われ、単勝1・6倍の支持を集めた
アーモンドアイが好位から抜け出して3馬身差の完勝。GI馬10頭がそろった頂上決戦でGI6勝目を挙げた。タイム1分56秒2(良)はコースレコードに0秒1差に迫るもの。この後は、
ジャパンC(11月24日、東京、GI、芝2400メートル)か
香港カップ(12月8日、香港シャティン、GI、芝2000メートル)が有力視される。
レース史上、最も豪華なメンバーによる勝負は一瞬で決した。
アーモンドアイが桁違いの加速力で内ラチ沿いから抜け出すと、みるみる後続を引き離す。3馬身差の2着馬が遙か後方に思えるほどの一方的な強さで、6つ目のGIタイトルを獲得し、名実ともに日本一を証明した。
「勝って安心しました。もちろん勝つ自信はありましたが、
アーモンドアイにとっては休み明けでしたから。でも直線であいた内に入れたら、すごい反応で伸びた。馬上の僕がびっくりしたくらい」
安堵(あんど)と喜びの表情を浮かべたルメール騎手。全10戦中9戦でコンビを組んだ主戦でさえ、女王の真の強さを見たようだ。
序盤は、最大のライバル、
サートゥルナーリアが外から前に入ってきて、少しブレーキをかけるシーンがあった。それでも冷静に進め、5、6番手のインを確保。絶好の位置でリズムを作ると、直線でぽっかりあいた1頭分のスペースを一気に突き抜けた。
ルメール騎手は昨年の
レイデオロ、今春の
フィエールマンに続き天皇賞3連覇。「平成の最後、令和の最初で勝ててうれしい」と喜びつつ「でも一番大事なのは
アーモンドアイが力を出し切れたこと」。不利を受けて3着に敗れた
安田記念の借りをきっちり返した。
「もう、おっかないというか、びっくりです」とは国枝調教師の言葉。これまで3冠牝馬
アパパネなど多くのGI馬を育ててきた名伯楽も、この日の走りに驚きを隠さない。「
アーモンドアイはいつもわれわれが思っている上をいく。そして、まだ上があると思わせてくれる」と笑みをたたえた。
レース後はいつものように、ふらつくようなところがあり口取りは取りやめた
アーモンドアイだが、陣営が大事をとって判断したもの。次走は昨年勝った
ジャパンCか、登録のある
香港カップになるもようだ。
「GI馬10頭がいる中でワンサイド勝ち。(
凱旋門賞2連覇の)エネイブルとは戦っていないけど、世界のトップレベルにいる馬だと思う」
ルメール騎手が確信に満ちた表情で言った。府中に駆けつけた10万を超える大観衆に圧倒的な強さを焼き付けた
アーモンドアイ。この先も最強を証明しつづけていく。 (板津雄志)
★天皇賞制覇で133勝リーディング首位
騎手部門のリーディングをひた走っていた川田騎手に待ったをかけたのは、やはりこの男。昨年に215勝を挙げて年間勝利数記録を塗り替えたルメール騎手だ。3月から首位の座を走っていた川田騎手とは、7月14日終了時点で最大21勝差。それをこの日、
アーモンドアイの天皇賞制覇で133勝として並び、2着数の差(川田騎手90に対し102)でトップに返り咲いた。残り2カ月。2人の激しいリーディングジョッキー争いからも目が離せない。
★入場&売り上げ
天皇賞・秋の売り上げは215億7334万7900円。GI馬10頭参戦の好メンバーだったこともあって、対前年比は117・6%の大幅な売り上げ増となった。今年の平地GIは16レースを終了し、売り上げ増は10レース目。入場者の方も10万3920人で前年比107・5%のにぎわいだった。
アーモンドアイ 父
ロードカナロア、母
フサイチパンドラ、母の父サンデーサイレンス。鹿毛の牝4歳。美浦・
国枝栄厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績10戦8勝(うち海外1戦1勝)。獲得賞金12億9781万1900円(うち海外3億9570万900円)。重賞は2018年のGIII
シンザン記念、GI
桜花賞、GI
オークス、GI
秋華賞、GI
ジャパンC、19年の海外GI
ドバイターフに次いで7勝目。天皇賞は
国枝栄調教師が09年春の
マイネルキッツに次いで2勝目、クリストフ・ルメール騎手は18年秋の
レイデオロ、19年春の
フィエールマンに次いで3勝目。馬名は「美人とされる顔の目の形」。
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