北村友一騎乗で4番人気の
ヴァルディゼールが直線インから鋭く伸びて快勝。53回目にして初めて、キャリア1戦の馬が優勝した。管理する
渡辺薫彦調教師は開業4年目でうれしい重賞初勝利。タイム1分35秒7(良)。クビ差2着が10番人気
マイネルフラップで、1番人気の
アントリューズは8着に敗れた。
新春の夕日が映える淀のターフで、期待の新星が誕生した。
ヴァルディゼールが無傷の連勝で重賞初制覇。デビュー2戦目での
シンザン記念Vは、史上初の快挙だ。
「いい枠でしたし、ゲートだけしっかり出て好位で競馬をしたいと思っていました。抜け出してからフワフワする面を見せたけれど、それも能力のある証拠。(渡辺調教師に)重賞初勝利をプレゼントできてうれしいですね」
昨年、キャリアハイのJRA年間90勝を挙げた北村友騎手が、勢いそのままに、今年最初の重賞騎乗で初笑いだ。発馬を決めて、道中は中団の内をリズム良く追走。直線で馬群が内外にばらけると最内に進路を取って一気に加速する。残り200メートル付近で先頭に立つと、一瞬気を抜いたが、最後は
マイネルフラップの猛追にグイッともうひと伸び。クビ差しのいで先頭でゴールを切った。
渡辺調教師は、開業4年目、18度目の出走でうれしい重賞初勝利。「完璧に乗ってくれました。外からやられたと思ってドキドキしましたが、最後に伸びましたね」と満面の笑みを浮かべた。騎手時代は
ナリタトップロードの
菊花賞(1999年)など重賞10勝と活躍。「あのときはわけが分かりませんでしたが、(調教師になって)ひとつ勝つことが大変だと分かりましたし、よかったです」と喜びをかみしめる。
近年、出世レースとして定着している
シンザン記念。2011年2着の
オルフェーヴルが三冠馬に輝き、12年
ジェンティルドンナ、昨年の
アーモンドアイはここを勝って牝馬3冠、さらには
ジャパンCまでも制した。そのアーモンドと同じ
ロードカナロア産駒だけに、夢がふくらむ。
「体も気性もまだ幼いですが、伸びしろと捉えたいですね。ポテンシャルはあるので、もっともっとこれから成長していってほしい」と主戦は大きな期待を寄せた。今後は未定だが、
ヴァルディゼールの視界には無限の可能性が広がっている。 (渡部陽之助)
■ヴァルディゼール
父
ロードカナロア、母ファーゴ、母の父
ハーツクライ。鹿毛の牡3歳。栗東・
渡辺薫彦厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(株)G1レーシング。戦績2戦2勝。獲得賞金4544万1000円。重賞初勝利。
シンザン記念は
渡辺薫彦調教師、
北村友一騎手ともに初勝利。馬名は「フランスの地名でスキーリゾート地。母名より連想」。
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