第66回北海道新聞杯クイーンステークス(29日、札幌11R、GIII、3歳上牝馬オープン国際(特指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金3600万円 =出走11頭)クリストフ・ルメール騎乗で1番人気のディアドラが、大外一気で豪快に突き抜けた。ドバイターフ3着以来の国内復帰戦を飾り、昨年の秋華賞以来の重賞3勝目を挙げた。タイム1分46秒2(良)。2着は4番人気のフロンテアクイーン、3着は2番人気のソウルスターリングが入った。
初の海外遠征後の休み明けも、先行有利の開幕週の馬場も関係なかった。鮮やかな緑色のターフを疾走したディアドラが、GIウイナーの貫禄勝ち。手綱を取ったルメール騎手は満面の笑みでパートナーをたたえた。
「強かったね。コンディションは100%じゃなかったと思うけど、きょうはこの馬の能力が上で、結構、楽勝だった」
最大風速11メートルの強風が吹いた北の大地で、名手の好騎乗が光った。道中は後方2番手。向かい風が強い向こう正面では、前に馬を置いて消耗を最小限にとどめた。追い風を受ける直線で満を持して大外に持ち出すと、メンバー最速となる上がり3ハロン33秒7の末脚で突き抜けた。「いい反応で切れ味も生かせたね」。ゴール前は流しながら後続に3馬身差をつける完勝。ドバイターフ3着以来、約4カ月ぶりの始動戦で、昨年の秋華賞馬が力を示した。
頼れる鞍上はJRA免許取得後、夏場は腰を据える札幌で絶好調モードだ。この日の6Rで4年連続4度目の年間100勝を一番乗りで達成。場内インタビューでは「なまら(とても)うれしいです」と方言を使いこなし、ファンから喝采を浴びた。開幕週は7勝を挙げ、2年連続リーディングに向けてモレイラ騎手と並んで首位発進だ。
橋田調教師は「向かい風が強かったけど、落ち着いて乗っていたね。馬のこともよく知ってくれています」と主戦の手綱さばきを絶賛。今後は「きょうの内容がよかったので、様子を見ながら考えます。同じ馬場で走れるので」と、好メンバーがそろう札幌記念(8月19日、札幌、GII、芝2000メートル)出走を視野に入れる。
秋には香港国際競走(12月9日、シャティン)に参戦するプランもある。世界舞台に向けて確かな一歩を刻んだ。 (川端亮平)
★29日札幌11R「クイーンS」の着順&払戻金はこちら
ディアドラ 父ハービンジャー、母ライツェント、母の父スペシャルウィーク。鹿毛の牝4歳。栗東・橋田満厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は森田藤治氏。戦績18戦6勝(うち海外1戦0勝)。獲得賞金2億7095万5500円(うち海外3095万6500円)。重賞は2017年GIII紫苑S、GI秋華賞に次いで3勝目。クイーンSは、橋田満調教師、クリストフ・ルメール騎手ともに初勝利。馬名は「ケルト神話に登場する女性名」。
【クイーンS】トーセンビクトリー、決め手に差4着
©サンケイスポーツ
7月30日(月) 05:06
第66回北海道新聞杯クイーンステークス(29日、札幌11R、GIII、3歳上牝馬オープン国際(特指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金3600万円 =出走11頭)2着フロンテアクイーンからクビ+クビの4着はトーセンビクトリー。岩田騎手の負傷乗り替わりで急きょ、手綱が回ってきた池添騎手は「返し馬で具合は良さそうと感じた。道中はロスなく運べて“あるかな”と思ったが、最後は決め手の差が出たね」とサバサバと振り返っていた。
★29日札幌11R「クイーンS」の着順&払戻金はこちら
【クイーンS】レースを終えて…関係者談話
©サンケイスポーツ
7月30日(月) 05:06
◆国分恭騎手(アンドリエッテ5着) 「手応えが良くなかったので、直線は外に出さずに内を狙ったが、前があかなかった」
◆四位騎手(エテルナミノル6着) 「本当は馬の後ろにつけたかったけど大外枠は厳しい。ただ、2戦ともゲートを出たのは収穫」
◆モレイラ騎手(アグレアーブル7着) 「もっと前のポジションが欲しかったが、ラチを気にしたので無理に行かなかった。自己条件なら違うはず」
◆藤岡康騎手(ハッピーユニバンス8着) 「スタートしていいポジションが取れず、流れ込むような形になってしまった」
◆吉田隼騎手(ツヅミモン9着) 「勝負どころで後ろから来られて、前の馬には厳しい展開だった。距離も少し長いかも」
◆北村友騎手(リバティハイツ10着) 「休み明けでいつもより気が入っていたし、この距離やコーナー4つの競馬に戸惑っていた」
◆竹之下騎手(ティーエスクライ11着) 「小細工なしにある程度のペースで。この相手でよく頑張ってくれた」
★29日札幌11R「クイーンS」の着順&払戻金はこちら
【クイーンS】フロンテアクイーン、5戦連続2着
©サンケイスポーツ
7月30日(月) 05:06
第66回北海道新聞杯クイーンステークス(29日、札幌11R、GIII、3歳上牝馬オープン国際(特指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金3600万円 =出走11頭)後方から2着まで追い上げたのはフロンテアクイーン。実に5戦連続の2着で、重賞の銀メダルも通算5度目となった。「4コーナーで外から(勝ち馬に)一気に出られて、かなりきつい競馬だった。心房細動の休み明けとかいろいろあったなかで、よく頑張っている」と蛯名騎手。国枝調教師は「勝ち馬が強過ぎるよ。今後は府中牝馬S(10月13日、東京、GII、芝1800メートル)とか、牝馬路線でまた挑戦します」と悲願達成への展望を語った。
★29日札幌11R「クイーンS」の着順&払戻金はこちら
【クイーンS】ソウルスターリング、復調の兆し示した3着
©サンケイスポーツ
7月30日(月) 05:06
第66回北海道新聞杯クイーンステークス(29日、札幌11R、GIII、3歳上牝馬オープン国際(特指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金3600万円 =出走11頭)デビューVの地で復権を狙った昨年の樫の女王ソウルスターリングは、3着に敗れた。道中3番手で手応え十分に運んだが、直線は勝ち馬の切れ味に抵抗し切れず、最後はフロンテアクイーンにもかわされた。
オークスでは0秒7突き放している同期の秋華賞馬の引き立て役に回る格好となったが、北村宏騎手は「思ったより落ち着いて臨めたし、ゲートも一緒に出て自分のリズムで運べた。早めに先頭に立つ形になっても、最後まで歯を食いしばって走っていたし、これが立ち直りのきっかけになれば」と復調の兆しを感じ取った様子。藤沢和調教師も「少し右に行くところはあったけど、速い流れで自分の競馬をして負けたんだから仕方ない」と納得していた。今後のローテは様子をみて決められる。
★29日札幌11R「クイーンS」の着順&払戻金はこちら