第69回
朝日杯フューチュリティステークス(17日、阪神11R、GI、2歳オープン国際(指)、セン馬不可、馬齢、芝・外1600メートル、1着本賞金7000万円=出走16頭)圧巻の強さだ。1番人気の
ダノンプレミアムが、2着の3番人気
ステルヴィオに3馬身半差をつけ、デビュー3連勝でGIタイトルを獲得。タイム1分33秒3(良)は中山開催も含めてのレースレコードだった。来年は3歳の頂点を決めるダービーを目指す。3着に2番人気の
タワーオブロンドンが入り、上位人気馬の決着となった。
その名の通りの格別なパフォーマンスだ。3番手で迎えた直線、目の前にヴィクトリーロードが開くと、1番人気
ダノンプレミアムが進撃を開始。ついて来られる馬はどこにもいない。独走状態でゴールに飛び込み、
サウジアラビアロイヤルカップに続くレースレコードで締めくくった。
「4コーナーの手応えが本当に良く、その時点で(後続に)捕まることはないと思いました。自信を持って、馬の力を信じてゴーサインを。いい内容でしっかり強い競馬をしてくれました。この馬の賢さが、いろいろな良さを引き出してくれています」
これが区切りのJRA・GI10勝目となった川田騎手が、3馬身半差で完勝したパートナーの強さを誇らしげに語る。グレード制導入の1984年以降では、93年
ナリタブライアンに並ぶ最大着差でのVだ。
賢さを武器に〔1〕枠(1)番から盤石のレース運び。スタートを決めて好位で我慢がきき、直線で仕掛けられると瞬時に抜け出した。好位からメンバー最速(3ハロン33秒6)の決定打を繰り出されては後続は手も足も出ない。
中内田調教師にとっては開業4年目で初のGIタイトル。「素直にうれしいです」と喜びを表したトレーナーは、「事前にジョッキーと『王道の競馬を』と話しました。抜け出したときに、勝ったな、というイメージがあった」と期待通りの走りに満面の笑みだ。
デビュー3戦3勝。無限の可能性を持って迎える来年に「目指すところはひとつかな」と指揮官は胸を張る。当然、視野に入るのは3歳最高峰のダービーだ。前哨戦を使って
皐月賞へ行くのか、それともダービー1本にするのかも含め、最善のローテーションを組んでいく。
「まだ成長の余地を残しています。もうひとつ大きな舞台で戦える馬に育てていきたい」
前週の2歳女王
ラッキーライラックと同じ4月3日生まれの無敗王者の行進は年が明けても止まらない。 (板津雄志)