第12回
キーンランドカップ(27日、札幌11R、GIII、3歳上オープン国際(指)、別定、芝1200メートル、1着本賞金4100万円、1着馬に
スプリンターズステークスの優先出走権=出走13頭)クリストフ・ルメール騎乗で12番人気の伏兵エポワスが、直線鋭く伸びて先行馬を一気にかわし、6度目の重賞挑戦で初勝利。9歳以上による平地重賞Vは、JRA史上5度目となった。タイム1分9秒0(良)。優先出走権を獲得した
スプリンターズSには向かわない見込みだ。首差2着は2番人気の
ソルヴェイグ。1番人気
モンドキャンノは6着に敗れた。
ターフにどよめきまじりの歓声がこだました。馬群を割って力強く伸びてきたのは、単勝12番人気の9歳馬エポワスだ。待望の重賞初勝利に導いたルメール騎手も興奮を隠せなかった。
「ごっつぁんです!! きょうはおじいちゃんと勝ちました。最初は少し忙しかったけど、直線で進路があいてラスト150メートルはよく伸びました」
よどみない流れになった道中は中団の後方を進む。徐々にエンジンをふかして直線に向くと、眼前にVロードが開けた。馬群を縫うようにメンバー最速の上がり3ハロン34秒4の末脚を繰り出し、通算6度目の挑戦で重賞タイトルをつかんだ。
3歳時にデビュー2連勝でGIII
ラジオNIKKEI賞にエントリーしたが、左肩跛行で出走取り消し。約2年の休養を強いられて去勢も行った。苦労を重ねてきた馬だけに、人間でいえば40歳近いといわれる9歳馬の快挙に喜びもひとしおだ。
藤沢和調教師は「去年(6着)も一昨年(9着)もアンラッキーで悪くはなかった。きょうはうまく乗ってくれたね。それに(担当の大館)厩務員さんは(2走前の)
函館スプリントS(3着)で定年だったけど、今回は臨時で来てもらったんだ」と厩舎を支えてきた人馬をねぎらった。さらにこの白星で歴代単独2位のJRA通算1359勝を達成。「エポワスと一緒で、長くやらせてもらって、応援もしてもらっているからね。もう少し頑張ります」と喜びをかみしめた。
サマースプリントシリーズでトップに立ち、14点で優勝の条件も満たしたが、ベテランは決して無理をしない。シリーズ最終戦の
セントウルSや
スプリンターズSには向かわず、年末の阪神C(12月23日、阪神、GII、芝1400メートル)に目標を定める。トレーナーは「GIにはいかない。こういう重たい馬場じゃないとね」と適性重視の方針を明言。大きな勲章を手にしたエポワスは、これからも“適材適所”で輝きを放ち続ける。 (川端亮平)
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エポワス 父
ファルブラヴ、母マニックサンデー、母の父サンデーサイレンス。鹿毛のセン9歳。美浦・
藤沢和雄厩舎所属。北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は 多田信尊氏。戦績29戦7勝。獲得賞金2億219万円。重賞初勝利。
キーンランドCは、
藤沢和雄調教師、クリストフ・ルメール騎手ともに初勝利。馬名は「フランスの地名」。