朝日杯FS(21日、阪神11R、GI、2歳オープン国際(指)、セン馬不可、馬齢、芝・外1600メートル、1着本賞金7000万円=出走18頭)
蛯名正義騎乗の1番人気
ダノンプラチナが、直線で鋭く脚を伸ばして快勝。2歳王者に輝いた。タイム1分35秒9(稍重)。秋のGIでの1番人気の連敗は9でストップ。蛯名騎手は前週の
阪神JF(
ショウナンアデラ)に続くGI連勝で、2002年福永騎手以来となる2度目の2歳GI連勝となった。
クリスマス間近の阪神で、雪化粧したような白い馬体が外から伸びてきた。
ディープインパクト産駒
ダノンプラチナが、1番人気に応えてファンにひと足早いクリスマスプレゼントを運んできた。
「1番人気馬が負け続けていたからね。ここで嫌なジンクスを断ち切りたいと思っていた」
この秋、GIで1番人気馬が全敗。その流れを変えたのは前週、
阪神JFを5番人気の
ショウナンアデラで勝った蛯名騎手だ。「ディープ産駒らしくいいフットワークで走るから、馬場の悪い内は走らせたくなかった」と、(2)番枠だったがポジションを取りに行かず意識的に後方から。3コーナーでは
ブライトエンブレムの後ろから一緒に上がっていくと、直線であっさり先行勢をかわし去った。
「アデラは外枠で出していって引っ掛かるのが嫌だった。今回は前日の雨で悪くなったところを走りたくないから内枠から下げていった。上手な競馬をするより、馬を信じてラストを伸ばす競馬をしたんだよ」
2002年の福永騎手以来12年ぶり2度目となる2歳GIダブル制覇を達成した蛯名騎手。
ショウナンアデラとは同じメンバー唯一のディープ産駒で、デビュー戦2着のあと2連勝で臨んだローテーションも同じ。しかし、同じコースで同じように差し切り勝ちでも、内容はまったく違うところが、乗っている男の真骨頂だ。
朝日杯が阪神に移設されて最初のV。国枝調教師は「もちろんクラシックが目標になるし、どこかトライアルを使って向かうことになると思う。朝日杯の勝ち馬として恥ずかしくない状態で出さないとね」と、すでに来春に目を向けている。
芦毛のディープ産駒のGI制覇は初めて。父譲りの鋭い末脚で2歳王者についた
ダノンプラチナが、来春のクラシック戦線でもその名のように光り輝く。 (柴田章利)
★21日阪神11R「
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★入場、売り上げアップ
21日の阪神競馬場の入場人員は2万3869人。昨年の同開催日は重賞が組まれていなかった事情はあるが、135.1%と大幅にアップした。
朝日杯FSの売り上げも118億2486万7400円で同104.2%と増加。今年のGIは21レースが終了し、14レースの売り上げが前年を上回っている。
★ベストターンドアウト賞
朝日杯FSのパドックでベストターンドアウト賞の審査が行われ、
ナヴィオンを担当する酒井慎助手が受賞した。「前走のレース後に馬を洗ってからは一度も洗わず、ブラシがけだけで体調管理ときれいに保つことを心がけてきました」と喜びを語った。同賞は最も美しく手入れされた馬の担当者に贈られる。
アラカルト ★1番人気馬 秋のGIシリーズの1番人気馬は9連敗でストップ。2歳重賞では昨年の
札幌2歳Sから22連敗で止まった。 ★
国枝栄調教師
朝日杯FS初勝利。JRA・GIは
アパパネでの11年
ヴィクトリアマイル以来の11勝目。 ★
ディープインパクト産駒
阪神JFが牝馬限定戦になってから、
朝日杯FSとの両レース制覇は09年
キングカメハメハ産駒(
アパパネ、
ローズキングダム)以来の2例目。JRA・GIは前日の
中山大障害(
レッドキングダム)も含めると今年10勝目で、父サンデーサイレンスが03年に記録した年間最多10勝に並んだ。JRA・GIは23勝目。
ダノンプラチナ 父
ディープインパクト、母バディーラ、母の父アンブライドルズソング。芦毛の牡2歳。美浦・
国枝栄厩舎所属。北海道新ひだか町・千代田牧場の生産馬。馬主は(株)ダノックス。戦績4戦3勝。獲得賞金8914万7000円。重賞初勝利。
朝日杯FSは、
国枝栄調教師は初勝利、
蛯名正義騎手は2006年
ドリームジャーニーに次いで2勝目。馬名の意味は冠名+プラチナ。プラチナのように光り、活躍する芦毛馬になるように。