今週土曜の中山メーンは暮れの風物詩、
中山大障害(J・GI、芝4100メートル)。障害馬の頂点を決めるレースに、東西の名ジャンパーが集結する。施行距離は、春の
中山グランドジャンプ(4250メートル)より短いが、最後に平地の外回りコースを走る春と違い、暮れの大一番は最後にもう一度バンケットの上り下りという難関を
クリアしなければならない。飛越の上手さに加えて、スタミナも不可欠。何より人馬一体の呼吸が求められる。
アポロマーベリック(美浦・
堀井雅広厩舎、牡5歳)は昨年の覇者で、春のJ・GI
中山グランドジャンプも勝っている障害界のトップホースだ。安定した飛越が武器で、スタミナも豊富。2走前のJ・GII
東京ハイジャンプは6着に敗れたが、難度の高い中山で距離が延びれば底力がものをいう。平地の条件戦を叩いて調整も万全。ここを勝てば、2年連続最優秀障害馬のタイトルは文句なしに確定だ。
オースミムーン(栗東・
小野幸治厩舎、牡5歳)は、小倉、阪神、東京、京都の4場で重賞勝ちしているオールラウンドプレイヤー。春の
中山グランドジャンプでは前記アポロを2番手で追走して6着に敗れたが、一度大障害コースを経験したことで前進が見込める。来年2月いっぱいで定年を迎える小野調教師は、今年10年ぶりに20勝ラインを突破するなど絶好調。最後に障害のビッグタイトルを手にして、引退の花道を飾りたいところだろう。
バアゼルリバー(栗東・
松田博資厩舎、牡8歳)は、一昨年の2着馬。大障害コースを4回も経験しているベテランだ。今回は
西谷誠騎手との初コンビで挑む。経験豊富な人馬は中間の調教で
コンタクトを重ねており、8歳にして悲願のGI初制覇というシーンも十分に考えられる。
ケイアイドウソジン(美浦・
田村康仁厩舎、牡8歳)は、障害デビューから3連勝で
阪神スプリングジャンプを制覇。平地(
ダイヤモンドS)に続いて障害でも重賞ウイナーに輝いた。しかし、
京都ハイジャンプで落馬の憂き目を見ると、前走の
東京ハイジャンプでも8着と案外な結果。スタミナとパワーは申し分ないが、中山コースも未経験だけに、新コンビ・
山本康志騎手の手綱に期待がかかる。
前走の
東京ハイジャンプをブービー人気(13番人気)で制するなど力をつけてきた
サンレイデューク(栗東・
高橋義忠厩舎、牡6歳)は、中山でオープン2勝の実績馬。春のグランドジャンプでも5着に踏ん張っており、充実してきた今ならさらに上位を狙えそうだ。
同じく中山コースに実績のある
リキアイクロフネ(美浦・
田中剛厩舎、牡7歳)、イルミネーションジャンプSを制した
レッドキングダム(栗東・
松永幹夫厩舎、牡5歳)、前崩れの展開になれば台頭してくる
セイエイ(美浦・
小桧山悟厩舎、牡6歳)などにも注意しておきたい。
年に2回しか使用されない大障害コース。大竹柵、大生け垣(通称・赤レンガ)を華麗に飛越していく人馬一体の走りを、手に汗握って堪能しよう。
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