第34回
ジャパンカップ(30日、東京11R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝2400メートル、1着本賞金2億5000万円 =出走18頭)クリストフ・スミヨン(33)=ベルギー出身、フランス拠点=騎乗の4番人気
エピファネイアが、4馬身差の圧勝で昨年の
菊花賞以来のGI2勝目をあげた。タイム2分23秒1(良)。このあとは
有馬記念(28日、中山、GI、芝2500メートル)に向かうが、鞍上は未定。3連覇を狙った1番人気の
ジェンティルドンナは4着。
有馬記念がラストランとなる。
10万人超の大歓声は、最後の直線半ばで感嘆の声に変わった。国内外のGI馬12頭がそろった最強馬決定戦で、ライバルたちに影さえも踏ませない。昨年の
菊花賞馬
エピファネイアが圧勝の復活劇。初コンビのスミヨン騎手は、興奮気味にまくし立てた。
「
ブエナビスタ、
オルフェーヴルと強い馬に乗せてもらったけど、今まで自分が乗った日本馬の中で一番強いと思う。本当にこの馬の強さには驚いた。こんな思いを味わえるなんて世界一ラッキーな騎手だよ」
にこやかにレースを振り返ったが、ゴールするまで一瞬たりとも気を抜けなかった。パドックからイレ込んでいたエピファに、返し馬で振り落とされかける。スタート後も行く気満々で2、3番手で抑えるのがやっと。「レース前はあまり自信がなかった。コーナーごとに何とかしようとしたが…」。それでもギリギリのところで我慢をきかせ、抜群の手応えで最後の直線へ。残り400メートルで早々と先頭に立つと、ラストは流す余裕さえあった。
4馬身差のVは、2003年の
タップダンスシチーの9馬身差に次ぐ史上2番目の着差。名手は「マイラーのような勢いで走っていた。普通ならもたないけど、この馬は特別なものを持っている」と舌を巻いた。
期する思いもあった。4年前、圧倒的な1番人気の
ブエナビスタに騎乗したが、進路妨害で1位入線後に2着降着となった。「関係者やファンには大変申し訳なかった。(ブエナと同じ生産牧場のノーザンファーム代表)吉田勝己さんにまた乗る機会を与えてもらってとても感謝している。きょうの勝利はとても意味がある」と神妙な面持ちで語った。
陣営の努力も見逃せない。この中間はフォーム改善に着手。首が伸びきった状態でハミをとっていたので、操縦性を高めるため、首を起こしたところでハミをとれるように調教した。角居調教師は「素晴らしいパフォーマンスを見せられてホッとした」と目を細めた。
菊花賞以来1年ぶりのVを飾り、次は
有馬記念へ。スミヨン騎手は乗れないが、勝てば年度代表馬の座も見えてくる。日本最強の称号を勝ちとった
エピファネイアが、年末を盛り上げていく。 (川端亮平)
★30日東京11R「
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アラカルト ◆関西馬のV 09年
ウオッカ以来、6年連続で、日本馬は06年
ディープインパクトから9連勝。所属別勝利数は関西馬16勝、関東馬4勝、米国、英国がそれぞれ4勝、アイルランド、フランス、ニュージーランド、豪州、ドイツ、イタリアが各1勝。 ◆クリストフ・スミヨン騎手
ジャパンCは5度目の挑戦で初制覇。これまでは2010年
ブエナビスタの2着(1位降着)が最高。JRA・GIは6勝目。 ◆
角居勝彦調教師 JC2勝目で、
松田博資、マイケル・スタウト(英)、
石坂正調教師に並ぶ歴代最多勝記録。JRAGI21勝目。
エピファネイア 父
シンボリクリスエス、母
シーザリオ、母の父
スペシャルウィーク。鹿毛の牡4歳。栗東・
角居勝彦厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。戦績は12戦6勝(うち海外1戦0勝)。重賞は2012年GIIIラジオNIKKEI杯2歳S、13年GII
神戸新聞杯、同年GI
菊花賞に次いで4勝目。獲得賞金は6億7858万2400円(うち海外は1078万7400円)。
ジャパンCは
角居勝彦調教師は09年
ウオッカに次いで2勝目、クリストフ・スミヨン騎手は初勝利。馬名の意味由来は
クリスマスから12日目にあたる1月6日の公現祭(ギリシャ語)。