第54回
宝塚記念(23日、阪神11R、3歳上オープン、GI、芝2200メートル、11頭立て、1着賞金=1億3200万円)4歳3強対決となった上半期をしめくくるGIは、
内田博幸騎乗の2番人気、
ゴールドシップが完勝。圧倒的1番人気で敗れた春の天皇賞の雪辱を果たし、GI4勝目を挙げた。タイム2分13秒2(良)。このあとは休養して、秋は国内の古馬王道路線を歩む。2着に5番人気の
ダノンバラード。1番人気の
ジェンティルドンナは3着、3番人気の
フェノーメノは4着に敗れた。
どんなもんじゃい!! 3強が並んだ直線での追い比べ。最後の坂を力強く駆け上がる芦毛の馬体が、一完歩ごとにライバルを突き放す。7万413人の大歓声を独り占めした
ゴールドシップの上で、
内田博幸騎手は右手を高く突き上げた。
「強い
ゴールドシップが帰ってきて本当にうれしい。調教の動きがよかったので、押していけば、前に行ける確信があった。馬がやる気満々だったのが勝因だと思う」
どよめきが起きたスタート直後の位置取りが最大のポイントだった。勝負どころのように激しく手綱をしごいて4番手へ。「
共同通信杯では好位から勝っている。1コーナーからハミを取って行けた」。代名詞の後方待機まくり策から一転、好位追走。内に
ジェンティルドンナ、外に
フェノーメノを従えて直線に向く。メンバー最速の上がり3ハロン35秒2の脚を繰り出して2強を振り切り、急坂でもグングン加速。残り150メートルで前の
ダノンバラードもかわす。3馬身半差の完勝劇。復権を告げるGI4勝目のゴールを駆け抜けた。
「調教から乗せてもらって、
ゴールドシップや厩舎のみなさんとの絆が強くなると思った。それを信じた答えとして走ってくれたと思う」
1番人気の天皇賞・春で5着に敗れ、背水の陣の思いだった。2週前の6月11日から志願して栗東トレセンに出向き、付きっきりで調教を行った。担当の今浪厩務員は「内田さんはすごく馬をかわいがってくれるけど、怒るときは怒る。メリハリをつけてよさを引き出そうとしてくれるから、シップとの信頼関係ができている」と、密着調教の効果を明かす。主戦の情熱と執念が、Vとして結実した。
「(
オルフェーヴルに)いつかは挑戦者として胸を借りたい。世界でも通用するあの馬との実力差をはかりたい」
今回、肺出血で回避して対戦が実現しなかった
オルフェーヴルとは仏GI・
凱旋門賞後の
ジャパンC、
有馬記念でぶつかる可能性がある。4歳世代最強を証明した
ゴールドシップが、日本最強の座へと突き進む。 (川端亮平)
★阪神11R「
宝塚記念」の着順・払戻金はこちら
★アラカルト
◆ファン投票レースV2
ゴールドシップは昨年の
有馬記念に次ぐファン投票レース2勝目。これは
オルフェーヴル(2011年
有馬記念、12年
宝塚記念)に次いで史上13頭目で、13頭はいずれも連勝、あるいは3連勝。
◆芦毛馬のV 1988年
タマモクロス、93年
メジロマックイーン、94年
ビワハヤヒデ、03年
ヒシミラクルに次ぐ5勝目。
◆
内田博幸騎手 08年
エイシンデピュティ以来の5年ぶり2勝目。JRA・GIは10勝目。
ゴールドシップ 父
ステイゴールド、母ポイントフラッグ、母の父
メジロマックイーン。芦毛の牡4歳。栗東・
須貝尚介厩舎所属。北海道日高町・出口牧場の生産馬で、馬主は小林英一氏。戦績13戦9勝。獲得賞金8億4798万5000円。重賞は2012年GIII
共同通信杯、GI
皐月賞、GII
神戸新聞杯、GI
菊花賞、GI
有馬記念、13年GII
阪神大賞典に次ぐ7勝目。
宝塚記念は、
須貝尚介調教師は初勝利、
内田博幸騎手は08年
エイシンデピュティに次ぐ2勝目。