蒼馬久一郎
岡村信将
きいいろ
第53回きさらぎ賞(3日、京都11R、GIII、3歳オープン国際(特指)、別定、芝・外1800メートル、1着本賞金3700万円=出走8頭)和田竜二騎乗で6番人気のタマモベストプレイが、直線での競り合いをクビ差制して重賞初Vを果たした。タイム1分48秒9(良)。春のクラシック第1弾・皐月賞(4月14日、中山、GI、芝2000メートル)へ向けて弾みをつけた。2着は5番人気マズルファイヤー、3着は3番人気アドマイヤドバイ。1番人気のリグヴェーダは8着に敗れた。 淀のターフで手に汗握るデッドヒート。激しい競り合いを制したのは、タマモベストプレイだった。 「スローペースになったけど、上手に競馬をしてくれましたね。スタートが良かったです」 和田竜二騎手が笑顔を浮かべた。 前走のシンザン記念(3着)はスタート後にダッシュがつかず、押して好位置に行った分、ラストで伸びを欠いた。この日はゲートを巧く出てスッと2、3番手へ。直線で逃げたマズルファイヤーとの追い比べをし、クビ差抜け出したところがゴールだった。 陣営に「子供っぽい」と評される素質馬が確実に成長の跡を見せ、距離延長も克服した。2004年スワンSなどを制した全兄タマモホットプレイをはじめ、兄姉はどちらかといえば短距離向き。南井克巳調教師は「距離を心配していたけど、折り合いもついたし、もってよかった。上(兄姉)とは違うね」と胸をなでおろし、ジョッキーは「スローだったので(距離が本当にもつか)まだ分からないが、きょうだいでは一番もつと思う」と指摘した。 03年Vのネオユニヴァースが皐月賞と日本ダービーを、07年Vのアサクサキングスが菊花賞を制覇するなど、出世レースのきさらぎ賞をものにして、クラシックへ向けて視界良好だ。 南井調教師によると、次走はフジテレビ賞スプリングS(3月17日、中山、GII、芝1800メートル)などを予定。トライアルを使って皐月賞へ向かう公算が大きい。 「この馬でクラシックへ行ければと思います」 和田騎手は前を見つめた。収穫大の1勝を足掛かりに春の中山へ歩みを進める。 (野下俊晴)タマモベストプレイ 父フジキセキ、母ホットプレイ、母の父ノーザンテースト。栗毛の牡3歳。栗東・南井克巳厩舎所属。北海道浦河町の信成牧場の生産馬で、馬主はタマモ(株)。戦績4戦3勝。獲得賞金は6345万8000円。重賞初勝利。きさらぎ賞は南井克巳調教師、和田竜二騎手ともに初勝利。