蒼馬久一郎
第60回府中牝馬S(13日、東京11R、GII、3歳上牝馬オープン国際(指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金5100万円=出走17頭)松岡正海騎乗の10番人気マイネイサベルが、中団から直線外を鋭く伸びて快勝。2010年新潟2歳S以来となる2年1カ月ぶりの勝利で重賞2勝目を挙げた。タイム1分45秒5(良)。この後はエリザベス女王杯(11月11日、京都、GI、芝2200メートル)へ向かう予定。2着にスマートシルエット、1番人気のドナウブルーは3着。今春のヴィクトリアマイル覇者で2番人気のホエールキャプチャは見せ場なく11着に敗れた。 2歳時の輝きを取り戻した。デビュー2戦目の新潟2歳S以来、白星から見放されていたマイネイサベルが、秋が深まる府中の杜で復活のノロシだ。直線で馬群の外から豪快に脚を伸ばして、待ちに待った勝利の美酒を味わった。 「最近は追い出してから少し鈍い感じだったが、きょうは10キロ絞れていい体になっていたよ」と松岡正海騎手は“してやったり”の表情を見せた。向こう正面で一瞬、前が塞がる格好になったが、リズムを崩すことなく折り合えたのが、ゴール前の鋭い伸びにつながった。 ローズSなどで2着はあったが、14戦も勝ち星から遠ざかった。水野調教師も試行錯誤を繰り返してきたが、復活を信じていた。「結果を出せていなかったが、能力は持っている馬だからね。(今回は)ジョッキーから少し体を絞って欲しいと言われたので意識的に絞った。道中は脚をしっかりタメてくれと指示。久しぶりにこの馬らしい切れ味を見せてくれた」。期待馬の復活と合わせて、この日は3勝。笑いが止まらない。 このあとはエリザベス女王杯が濃厚。初めての距離となるが、トレーナーは心配していない。「自分の競馬ができれば2200メートルでも克服できるんじゃないかな」と、GIでも好勝負を期待する。 見事な復活劇を見せたマイネイサベル。今度は舞台を京都に移し、どんな切れ味を見せてくれるかが楽しみだ。 (片岡良典)