佐藤洋一郎
とぅっけ
山口吉野
第63回毎日王冠(7日、東京11R、GII、3歳上オープン国際(指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金6000万円=出走16頭)秋山真一郎騎乗、1番人気のカレンブラックヒルが、3番手から抜け出して快勝。天皇賞・秋(28日、東京、GI、芝2000メートル)へ向けて、好発進した。タイム1分45秒0(良)。クビ差の2着には伏兵ジャスタウェイが突っ込み、3歳馬がワンツーフィニッシュ。さらにクビ差の3着にはタッチミーノットが入り、2番人気のエイシンフラッシュは9着に沈んだ。 スピードスターから、競馬界を代表するエースへ。無敗の3歳馬カレンブラックヒルが古馬を一蹴。連勝を「5」に伸ばし、天皇賞の主役に躍り出た。 レース内容は文句なし。好スタートを決めると、軽快に飛ばすシルポートを見ながら、離れた3番手を追走。直線では早めに動いて先行勢をかわし、ジャスタウェイ以下の追撃を抑えきった。手応えが怪しくなりかけながらも、しぶとく盛り返す粘り強さは父ダイワメジャー譲りだ。GI級のこのメンバーで、正攻法で勝利した意味は大きい。 「位置どりはほぼイメージどおり。3コーナーまではスムーズだったけど、そこから反応が鈍くて…。何とかしのいでくれました」と秋山真一郎騎手。NHKマイルC以来、5カ月ぶりの実戦だった影響は少なからずあったようだが、それでも押し切るのだから、底知れぬ大物だ。 「いい形で天皇賞へ向かえます。距離も2000メートルまでなら問題ないでしょう」と平田修調教師は前哨戦の勝ちっぷりに納得。本番への手応えをつかんだ。 3歳秋を迎え、肉体面の充実だけではなく、精神面が成長。「落ち着いて大人になった」と平田修調教師、秋山騎手は口をそろえる。この日もスタート後、外からグランプリボスにかぶせられそうになったが、エキサイトすることなく、自分のリズムを守って走れた。鞍上との意思疎通も一戦ごとに進歩しており、脚質にも幅が出た。 期待は高まるばかり。無敗のカレンブラックヒルが、中距離戦線の頂点へ大きく前進した。(加藤隆宏)