スガダイ
にしのけいご
伊吹雅也
第42回高松宮記念(25日、中京11R、GI、4歳以上オープン、芝1200メートル、1着賞金9500万円=出走18頭)堂々たる勝利で女王の貫禄を示した。池添謙一騎乗で2番人気のカレンチャンが、2番手から抜け出して押し切る完勝。新装された中京競馬場で、牝馬史上3頭目のJRAスプリントGI完全制覇を達成した。1分10秒3(良)。2着は3番人気のサンカルロ、3着は1番人気のロードカナロアが入った。 柔らかな日差しを浴び、芦毛の馬体が一層きらめいた。昨年の最優秀短距離馬カレンチャンが、王者の強さを見せつけて秋春スプリントGIを連勝。鮮やかにエスコートした池添謙一騎手は、何度も拳を突き上げて、新・中京競馬場に詰めかけた4万3360人の大歓声に応えた。 「最後の直線は長かったですね。先頭になってからは、何とかしのいでくれと思ってました。正攻法で勝つんだから、大したもんですよ」 人馬が気持ちをひとつにして、ライバルたちにつけいるスキを与えなかった。好スタートを切って2番手を追走。スムーズに4角を回ると、412・5メートルに延びた直線半ばで先頭に立つ。最後はサンカルロの猛追をクビ差しのいで、歓喜のゴールを駆け抜けた。 「きのう(24日)と違って内の馬が残っていた。ロスなく競馬しようと思っていた」。ジョッキーの判断による攻めの騎乗で、新装された中京競馬場初のGI馬として名を刻んだ。 ローテーションの変更も吉と出た。当初は昨年12月のGI・香港スプリント5着後、ここに直行する予定だった。しかし、馬体に余裕があったため、前哨戦のGIII・オーシャンSに参戦。4着と約1年1カ月ぶりに国内で敗戦を喫したが、ひと叩きした効果は大きかった。安田隆行調教師が「1回使ってグーンとよくなった。前走は装鞍所でイライラしていたけど、きょうはリラックスしていた」とうなずけば、池添騎手も「ゲートの中で集中していて抜群のスタートだった」と勝因に挙げた。 これでフラワーパーク、ビリーヴに続く牝馬では史上3頭目のJRAのスプリントGI完全制覇を達成。今後については、シンガポールのGI・クリスフライヤーインターナショナルスプリント(5月20日、クランジ、芝1200メートル)にも登録しているが、未定。指揮官は「オーナーと相談して、1週間後くらいに報告できると思います」と見通しを語った。 「スプリントなら世界でも通用する」。ジョッキーは日本の短距離界を制圧した女王のワールドクラスの実力を口にする。輝きを増す最速女王が、春のGI開幕を告げるレースをかれんに駆けた。 (川端亮平)