第105回
京都記念(12日、京都11R、GII、4歳以上、芝2200メートル、1着賞金6000万円=出走9頭)5番人気の
トレイルブレイザーが、名手・
武豊騎手に導かれ快勝。重賞2勝目をマークし、
ドバイシーマクラシックへの参戦に意欲を見せた。タイムは2分12秒4(良)。2着は1番人気の
ダークシャドウ、3着は3番人気の
ヒルノダムールが入った。
この相手に完勝なら、間違いなく本物だろう。出走馬9頭中、6頭が重賞ウイナーという伝統の古馬GII戦。明け5歳の
トレイルブレイザーが、並みいる強豪を撃破し、2個目の重賞奪取に成功。本格化を強烈にアピールした。
「いいスタートが切れて、道中もうまく行きました。以前乗ったときより、さらに力を付けた感じです」。1987年のデビューから26年連続で重賞勝ちを決めた
武豊騎手が、笑みを浮かべた。
勝利のポイントは、ゲートだった。前走の
香港ヴァーズ(6着)は馬が落ち着きすぎて出遅れたが、この日は逆に本馬場へと向かう地下道で、軽いキャンターが出るほどの気合乗り。それでも、難なくスタートを決めるのが、名手のゆえんだ。好位3番手で流れに乗ると、3コーナー過ぎからスパートをかけて、4コーナーで早め先頭。直線も脚色は鈍らず、2着に2馬身差を付けて快勝した。「テンションが高くて、出遅れを心配したけどね。ホント、ジョッキーがうまくゲートを出してくれた。さすが、ユタカだね」。69年生まれで
武豊騎手とは、幼なじみの池江寿調教師。同級生とのコンビで3回目の重賞勝ちに頬が緩んだ。
昨秋の
アルゼンチン共和国杯で重賞初Vを飾ったように、ここにきて急激に体質が強化。以前に比べて、調教でも好時計が出るようになった。「馬体重は変わらないけど、大人の体になった。この相手に、どこまでやれるかと思っていたけど強い競馬をしてくれた」と師は成長ぶりにも目を細めた。
今春はドバイ遠征を視野に入れる。選出されたゴールドカップ(3月31日、メイダン、GIII、芝3200メートル)は辞退したが、まだ招待状の届いていないシーマクラシック(GI、芝2410メートル)への参戦には前向きだ。「
ダークシャドウ、
ヒルノダムールなどの、レーティング上位の馬を引き離して勝ったからね。これで(シーマCに)選ばれれば」とトレーナー。
有馬記念で“4冠”達成した
オルフェーヴル、
きさらぎ賞を制した
ワールドエースなどの素質馬揃いの池江寿厩舎に、また1頭、スターが誕生した。 (鈴木康之)