展開の利
シムーン
夢月
第26回根岸S(29日、東京11R、GIII、4歳上オープン国際(指)、別定、ダート1400メートル、1着本賞金3500万円 =出走16頭)藤岡康太(23)=栗・宮=騎乗のシルクフォーチュンが、最後方から馬場の大外を豪快に突き抜け、2着の9番人気トウショウカズンに1馬身半差で重賞2勝目を挙げた。タイム1分23秒5(良)。フェブラリーS(2月19日、東京、GI、ダ1600メートル)に向けて、「これならいい競馬ができそう」と藤岡康は意欲を見せた。1番人気ダノンカモンは直線で伸びきれず5着に敗退。 芝の上を駆けているかのような、爽快感あふれる差し切り劇だった。最後方を追走した藤岡康太騎乗の4番人気シルクフォーチュンが、メンバー最速の上がり3ハロン34秒9を駆使して、直線で大外からライバル14頭をごぼう抜き。東京の長い直線で持ち前の末脚をフルに生かし、昨年7月のGIIIプロキオンS以来となる重賞2勝目を飾った。 「返し馬の雰囲気はよかったし、調子も上向いていると聞いていたから、この馬の競馬をしました。重賞(プロキオンS)を勝ってからは、オープン特別でも勝ち切れない状況が続いていたので、勝たせることができてほっとしましたね」 このひと鞍のために東京に遠征してきた藤岡康は、これまでのうっぷんを晴らすかのような快勝に、笑みを浮かべた。 スタートで少し遅れたが「これまでと違って、自分から行く気を見せていた」と鞍上が振り返るように、道中は馬群から離されることなく追走できた。直線で外に持ち出すと豪脚を発揮。藤岡康の左ムチに応えてグイグイ伸び、ラスト100メートルあたりで前を捕らえきった。 前残りの流れをモノにして「ペースが(速く)流れていなかったが、この状況で勝てたのは自信になった」と言う藤岡康は、左自然気胸を治療して昨年12月に復帰してから初の重賞V。09年のNHKマイルCをジョーカプチーノで勝ち、順風満帆な騎手生活だったが、10年3月に左自然気胸を発症して手術。昨秋に再発したが、それを乗り越えての重賞7勝目は、藤岡康にとっても大きな自信になったに違いない。 次走のフェブラリーSで待ち受けるのは、11年最優秀ダートホースのトランセンド。昨秋のGI南部杯ではアタマ+半馬身差の3着に敗れたが、藤沢則雄調教師が「いい勝ち方ができたし、GIでも(勝てる)可能性が出てきた」と話せば、藤岡康も「当時より力をつけているし、距離も大丈夫そう。いいイメージで臨めます」とキッパリ。通算【2・0・3・0】と好相性のコンビが、3週間後の東京で王者撃破に挑む。 (板津雄志)