第62回
毎日王冠(9日、東京11R、GII、3歳上オープン国際(指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金6500万円=出走11頭)春からの成長を感じさせる勝利だった。
福永祐一騎乗の
ダークシャドウが、1番人気に応えて
エプソムCに続く重賞連勝となった。直線では窮屈になるシーンもあったが、上がり3ハロン32秒7の極限とも思える末脚を駆使して馬群を割って出た。タイムは1分46秒7(良)。2着は
安田記念を勝った
リアルインパクトが入り、堀厩舎のワンツーとなった。
ダークシャドウは引き続き、福永騎手で天皇賞・秋(30日、東京、GI、芝2000メートル)に向かう。
この勢いは止められない。春に
エプソムCで重賞初制覇を飾った新星
ダークシャドウが、勝負強い走りで重賞連勝。完全本格化を高らかにアピールし、秋の盾をグイッと引き寄せた。
「頭数が多くないし、自分のリズムで走らせた方がいい脚をつかえるかと思った。なかなかスペースが開かず、直線半ばまでどうしようかと思いましたが、抜け出してからは気持ちよさそうに走っていましたよ」
昨年の
アリゼオに続く
毎日王冠連覇を決めた
福永祐一騎手が、さわやかな笑顔で汗をぬぐう。この勝利で今年のJRA年間100勝一番乗りを果たした。
後方からレースを進め、直線では前が開かず“万事休す”かと思われたが、残り200メートルで
アクシオンと
シンゲンの間に突っ込んで抜け出す。1歳下の僚馬
リアルインパクトを2着に従える堀厩舎のワンツーフィニッシュ。産経
大阪杯で、のちに天皇賞・春を勝つ
ヒルノダムールのハナ差2着と素質を見せつけた
シンデレラボーイは夏場の放牧で心身ともたくましくなり、ターフに戻ってきた。
ダークの頑張りには、飯塚知一オーナー(59)もご満悦だ。「完全に負けたと。5着くらいかなと思いました。なかなかあそこから来られる馬はいません。自分の馬ながら驚きましたよ」と愛馬をたたえる。今年の
新潟記念では誘導馬にも騎乗したほどで、乗馬もたしなむオーナーは「パドックでは一番よかったし、デビュー以来、一番のデキでした。体に芯が入り、歩様が良くなっていたし、精神的にも良くなっている」と成長を実感していた。
GIロードを歩むためには賞金加算が不可欠だったが、この勝利で一発
クリア。「いいメンバーだったし、きょうが天皇賞の試金石と思っていました。ユーイチ君(福永)で天皇賞・秋へ行きます。ゲイト君(
シャドウゲイト)と一緒に」とオーナーがGI初制覇に意欲を見せれば、「精神的にも落ち着いてきたし、もっといいレースができる」とユーイチも期待を込める。
東京では5戦5勝のパーフェクト。無敗伝説は継続しており、大仕事をやってのけそうな雰囲気が漂う。秋の府中で
ダークシャドウが大輪を咲かせる。 (森田実)