第47回
函館記念(24日、函館11R、GIII、3歳上オープン国際、ハンデ、芝2000メートル、1着本賞金4300万円、サマー2000シリーズ第2戦=出走16頭)
横山典弘騎乗、4番人気の
キングトップガンが中団のインから鮮やかに抜け出して快勝。
目黒記念に続く重賞連勝を果たした。タイム2分0秒3(良)。8歳馬の
函館記念優勝は初めてで、クビ差の2着には10歳の12番人気の
マヤノライジンが踏ん張り、追い込んだ8歳の
アクシオンが3着。高齢馬が上位を独占し、1番人気の
マイネルスターリーは伸びを欠いて8着に敗れた。
オヤジたちの激走が波乱を巻き起こした。12番人気の10歳馬
マヤノライジンをゴール前で差し切ったのは、4番人気の8歳馬
キングトップガン。前走の
目黒記念で初重賞Vを成し遂げた超遅咲きが、重賞連勝だ。
「直線で窮屈なところから出てくるのに手間取って、ヒヤヒヤしたけどね。完勝でした」
笑顔で振り返る
横山典弘騎手にとっては96年
ブライトサンディー、04年
クラフトワークに続く
函館記念3勝目。父で元騎手だった故・富雄さん、
藤田伸二騎手と並ぶ、最多記録となり、自身の重賞130勝目というメモリアルVとなった。
道中は中団の内につけて引っ張りきれないほどの手応え。3~4コーナーではラチ沿いをロスなく回る絶妙のコーナーリングで差を詰める。逃げた
メイショウクオリアをさばくのに苦労したが、外に出してからもうひと伸び。ゴール寸前で
マヤノライジンをかわし、
函館記念史上最高齢の8歳馬の勝利を決めた。
「調教にも乗って、状態は良さそうだった。自信はあったんだけど、自信満々でも負けることがあるのが競馬。オレはいつも自然体。でも勝てば厩舎の励みになるから」
父の富雄さんに連れられて、子供の頃から遊びに来ていた函館で、43歳になったベテランが今年も存在感を放った。
管理する
鮫島一歩調教師も「ジョッキーの好判断」と舌を巻く。「2度骨折したりこれまで運がなかったけど、8歳になって重賞を連勝するなんて、やっと報われた気がする」と、ようやく花開いた老雄を感慨深そうに見つめた。
今後は函館に滞在して
札幌記念(8月21日、札幌、GII、芝2000メートル)へ。その結果次第では
目黒記念後に招待を受けたメルボルンC(11月1日、豪フレミントン、GI、芝3200メートル)への出走プランも現実味を帯びてくる。
あきらめずに走り続けてきた
キングトップガンが8歳にして切り開いた夢の道。まだまだ重賞戦線を若い馬だけに任せてはおけない。(柴田章利)
