春の東京最終週のメーンは恒例のGIII
エプソムC。注目は
安田記念を除外された08年の2歳王者
セイウンワンダーだ。休み明けの
マイラーズCを叩いて気配が上向いているここは、今後のGI挑戦へ、確実に賞金を加算しておきたいところだ。
安田記念除外の屈辱をここで晴らしたい。一昨年の2歳王者で陰の実力馬
セイウンワンダーが、久々の重賞タイトル獲りに挑む。
朝日杯FSを勝ってから1年半、勝ち星から遠ざかっている
セイウンワンダー。だが、その間に
皐月賞3着、
菊花賞3着など一線級と互角の勝負を繰り広げてきた。しかし、現行の重賞出走条件では、オープンクラスはクラス分け用の総賞金に、同じく過去1年のクラス分け用賞金の半額が加算されるため、重賞2着以上がないワンダーは賞金の上積みがない。そのため実力はありながら、春の目標としていた
安田記念で除外されるという不運に泣いた。
「残念だが、目標を
エプソムCに切り替えて調整している」
領家調教師は悔しさをにじませながらも、前向な姿勢を見せた。前走の
マイラーズCは4カ月の休養明けながら馬群を割って伸びてきた。結果はスローペースが影響して4着止まりだったが、上積みが見込め、広い東京で流れが向けば、GI級の末脚が威力を発揮するはず。それを見越して
安田記念の前予想で本命を打った記者もいたほどだ。
「最後は伸びてきたけど、久々の分、勝負どころでもたついた。叩いて次は良くなるはず」
マイラーズCで騎乗した福永騎手も、次走での好走を確信。
安田記念に出ていたとしても、この思いは変わらなかったはずだ。今回の
エプソムCは1800メートルだが、マイルから3000メートルまで、オールマイティーにこなしてきたワンダーにとっては十分、守備範囲といえる。
「状態は上向き。距離は問題ないので、今後のためにも、なんとしても賞金を加算しておきたい」
領家調教師の切実な願いは、2歳王者の実力を再びGIで見せたいからこそ。春競馬のラストウイーク。
セイウンワンダーが東京の直線を一気に駈け抜けて次へとつなげる。