第12回中山グランドジャンプ(17日、中山11R、J・GI、障害4歳上オープン国際、定量、芝4250メートル、1着本賞金7500万円=出走14頭)8番人気のメルシーモンサンが、最終障害飛越後に逃げたテイエムトッパズレを内からかわして先頭に立つと、オープンガーデンの急襲をクビ差で凌いでV。高野容輔騎手(26)=栗・フリー=と人馬ともにJ・GI初制覇を決めた。5分3秒5(不良)。1勝馬の勝利は中山GJ史上初。1番人気のメルシーエイタイムは、外回りコースに入った最初の8号ハードル障害飛越後に落馬し競走を中止した。 最後の障害を飛越して内からグイッと伸びたのは同じ“メルシー”でもエイタイムではなく、1勝馬のモンサンだった。大土塁を飛越してから徐々に位置取りを上げて、最終障害手前ではテイエムトッパズレを射程圏に入れた。道悪に脚を取られて体力を消耗する馬が多い中、自慢のスタミナとパワーを存分に生かしてオープンガーデンの追撃をクビ差で振り切った。 「豊富なスタミナがこの馬の武器なので(1~2角の)バンケットを上がった所からロングスパート。4000メートル以上が合うのでJ・GI向きなんです」。笑みを浮かべた高野容騎手は、今年初勝利がJ・GI。重賞は08年マーメイドS(トーホウシャイン)以来でJ・GIは初めてだ。毎日、調教に跨って信頼関係を築いてきた成果が大舞台で実った。「普段は49キロで今はいくら食べても太らない。最軽量(48キロ)と最重量(63・5キロ)の重賞を勝ったのはボクぐらいですかね」と“珍記録”達成に笑顔が絶えなかった。 「最後、叩き合いになったらしぶといね。前走後から馬が一気に変わってきて、ジョッキーもうまく乗ってくれた。暮れの大障害には、モンサンとエイタイムの2頭で挑戦したい」と武宏平調教師。障害センスとスタミナがセールスポイントのメルシーモンサンが、新たにジャンプ界を牽引していく。(片岡良典)