第61回
阪神ジュベナイルF(13日、阪神11R、GI、2歳牝馬オープン、馬齢、芝・外1600メートル、1着本賞金6000万円=出走18頭)
蛯名正義騎乗の
アパパネが、大外18番から直線では内から鋭く伸びて3連勝で2歳女王に君臨した。1分34秒9(良)。
キングカメハメハ産駒はGI初制覇。このレースの優勝馬は3年連続でクラシックを制覇しており、
桜花賞(4月11日、阪神、GI、芝1600メートル)での走りが楽しみ。1番人気の
シンメイフジは出遅れが響いて5着に敗れた。
タフな阪神の直線を、ピンクの帽子の
アパパネが駆け抜けた。母が手にできなかった2歳女王の座。7年前の雪辱を同じ厩舎、同じ騎手でついに成し遂げた。
陣営が心配した大外18番枠からのスタート。前走の赤松賞で大外から引っ掛かりながらもレコード勝ちしたことで、
蛯名正義騎手は「今回は馬を信じて乗った」と振り返る。ゲート入りをゴネてムチで叩かれたが、好スタート。掛かる姿は見せずスムーズに追走し、直線で外から被せられて内に進路を切り替えると、
アパパネの前には誰もいなかった。ジョッキーの渾身のムチに応えて繰り出した上がり34秒3の末脚。一緒に伸びてきた
アニメイトバイオを1/2馬身退け、1分34秒9(良)のタイムで2歳牝馬の頂点に立った。
「前走より流れが速かったので、思ったよりスムーズに折り合えた。デビューの頃とは弾け方が違うし、前走の内容ならここでもやれると思っていたけど、結果が出せてホッとしました」
ジョッキーが冷静に振り返ったのも、彼女の力を信じていたからこそ。7年前に同じレースでコンビを組んだ母の
ソルティビッドは17着に敗れたが、「お母さんは典型的な
スプリンター。こちらはもっと伸びやか」と距離の不安もなかった。
昨年、
ダノンベルベールで2着に敗れた
国枝栄調教師は5度目の挑戦で初の
阪神JF制覇。国枝厩舎といえば、前記のダノンも含め栗東滞在で馬を鍛えてこれまでにも天皇賞・春の
マイネルキッツなどが結果を出してきた。
アパパネも栗東留学が実を結んだ。
「長距離輸送などの不安要素を取り除けるのが一番ですが、馬に実が付いて締まってきたあたりが効果ですかね」
来春の
桜花賞と同じ舞台のGIを制し、「恥ずかしくない競馬をしないといけないね」と話す国枝師。来春の始動戦がどこになるかは未定だが、「また栗東に持っていくよ」と再度の栗東滞在で桜の女王の座も狙うことを誓った。関西で羽ばたいた関東馬
アパパネ。来春にはどんな姿を見せてくれるのか、楽しみが大きくふくらんできた。(柴田章利)