今週31日はいよいよ競馬の祭典、
日本ダービーが東京競馬場で行われる。中心は、『3強』ムードの
皐月賞で『1強』といえるパフォーマンスを発揮した
アンライバルド。牡馬の春クラシック連覇の確率は牝馬以上に高く、
桜花賞&
オークス馬
ブエナビスタに続く2冠馬の誕生が濃厚だ。
最終登録馬へ さらなる進化を遂げている
皐月賞馬
アンライバルドが、
桜花賞&
オークスの牝馬クラシック2冠を制した
ブエナビスタに続く。そのブエナを新馬戦で破り、ここまで5戦4勝、現在は3連勝中。名の通り、敵なしの勢いで今週末のダービーを制して、牡馬クラシック2冠の栄誉を手にする。
24日早朝に豊富な運動をこなし、トレセンが休日の25日は栗東の馬房でリラックス。研ぎ澄まされた筋肉質の馬体が、状態の良さを物語る。杉村利士一調教助手は「
皐月賞は(小回りの)中山なので追い切りでも早めに動くようにしていたが、今回は(広い)東京を意識して、直線まで我慢させる調教をこなしてきた」。“ダービー仕様”の仕上げに、手応え十分の様子だ。
友道康夫調教師は大目標を控えて万全の状況に、胸を張る。
「もともと
皐月賞よりダービーの方が向いている、と思っていましたから。順調に調整できていますし、左回りも調教の感じからは大丈夫だと思います」
半兄
フサイチコンコルド(父カーリアン)は96年、デビュー3戦目でダービー制覇という戦後2歳競馬が始まってからの新記録を樹立し、父
ネオユニヴァースは03年に
皐月賞、ダービーの2冠を制覇。まさにダービー向きの血が新緑の季節を迎えて燃えたぎる。
前走の
皐月賞は
ロジユニヴァース、
リーチザクラウンとともに“3強”を形成したが、あくまでも評価は3番人気だった。しかし、レースは
アンライバルドの独壇場。ライバルが4コーナーで失速するのとは対照的に、後方から徐々に進出し、直線は凄まじい脚で一気に突き抜けた。
2着
トライアンフマーチとの1馬身1/2の着差以上の圧倒的な内容に「これまでで一番強い競馬だった」。豪快なパフォーマンスに頬を紅潮させた
岩田康誠騎手。24日の
オークスでは
ワイドサファイアが放馬して競走除外となり、「関係者に申し訳ありません。来週はゲートまでたどり着きたい」。悲壮な表情で、決意を強くした。
1番人気が予想される今回。ダービーは過去10年で1番人気が7勝2着2回と抜群の成績を残している。さらに
皐月賞&ダービーの2冠馬誕生の確率は高く、データも後押しする。
強い
皐月賞馬が調教で課題を
クリアし、さらに前進のムードを漂わせている。それならば、今度は“3強”ではなく紛れもなく“1強”。ダービーも再び、
アンライバルドが豪快に突き抜ける。(下村静史)
★
皐月賞馬有利
ダービーに出走した
皐月賞馬は59頭で21頭が優勝し、勝率35.6%。一方、
オークスが秋から春に移った53年以降を対象にすると、
桜花賞馬は48頭が
オークスに挑み10勝で勝率20.8%。牡馬春2冠の確率は牝馬春2冠より断然高い。
桜花賞から
オークスへは800メートルの延長が大きな課題だが、牡馬は400メートル差と牝馬よりハードルが楽。
★同一年の牡&牝春2冠馬
64年牡シンザン・牝カネケヤキ、75年牡カブラヤオー・牝テスコガビー、03年牡
ネオユニヴァース・牝
スティルインラブの3回ある。このうち、シンザンは
菊花賞も勝って3冠馬に。牝馬は69年まで3冠目に相当するレースがなかったが、
スティルインラブは
秋華賞も制覇して牝馬3冠を達成した。ちなみに52年には牡馬クリノハナが春2冠を達成、牝馬スウヰイスーは
桜花賞を勝ち、この年まで秋に実施されていた
オークスも勝った。
★1番人気断然
グレード制導入の84年以降の25回でダービーの1番人気は15勝。勝率60%は、平地GI22レースの中で最も高い(2位は
マイルCSの52%、
オークスは今年を含めて26.9%)。また
皐月賞馬がダービーで1番人気に支持された8回のうち、敗れたのは00年
エアシャカール(2着)のみと、今年1番人気が濃厚な
アンライバルドには実に心強いデータがある。過去10年に絞ればダービー1番人気馬の成績は7勝2着2回7着1回とさらに良くなる。フルゲート28頭の時代が長く続いたが、86年から徐々に減少。92年からは18頭になり、有力馬が能力を発揮しやすくなったといえる。