第43回
共同通信杯(8日、東京11R、GIII、3歳オープン国際、別定、芝1800メートル、1着本賞金4000万円=出走15頭)関東期待の星で1番人気の
ブレイクランアウトが直線鮮やかに抜け出し重賞初制覇(通算2勝目)を飾った。1分47秒3(良)はレースレコード。コンビを組んだ
武豊騎手は
京都牝馬Sに続いての2週連続重賞V。
ブレイクランアウトの最大目標はダービーで、
皐月賞(直行)または
NHKマイルCから、外国産馬として史上初のダービー制覇を目指す。
たまりにたまった鬱憤を一気に吹き飛ばした。1番人気の
ブレイクランアウトがインから突き抜けて鮮やかな重賞初V。2週連続の重賞Vに
武豊騎手の笑顔が弾けた。
「すごい瞬発力でしたね。負けられないと思っていましたが、完璧なレースができました。気持ち良かったですよ」
天才も自画自賛のV。中団のインでピタリと折り合い、直線も追い出しを我慢して、前が開くと一瞬で抜け出す。3連勝中の強敵に1馬身3/4差の完勝。上がり3ハロン33秒6の末脚を引き出したユタカの手綱さばきも、余裕しゃくしゃくだ。
「前に乗った2回はボクも手が痛かったし、人も馬も状態がアップしていたってことです」
冗談交じりでも、内心は期するものがあった。初騎乗の東スポ杯2歳Sは、前週の
エリザベス女王杯の落馬直後。
朝日杯FSは骨折明け初戦だった。懸命のリハビリを経ての騎乗でも、結果が悪ければ責任を感じるのは当然だ。「これ以上、馬にも陣営にも迷惑はかけられない」。自らを鼓舞して臨み、天才はキッチリ答えを出してみせた。
馬自身の成長も見逃せない。「まだまだ子供」と
戸田博文調教師が認める粗削りな素材だが、この中間は厩舎でじっくり調整して、体つきが見違えるほど変貌。落ち着きも出て、大人びた競馬を披露した。これを受けて戸田師は「最終的にダービー(5月31日、東京、GI、芝2400メートル)を使いたい」と表明。ユタカも「きょうの内容なら少々距離が延びても問題なさそうですね」と後押しする。
“ビリヤードで1つのミスもなくすべての球を落とす”意味の
ブレイクランアウト。低迷する関東から登場した待望のクラシック候補が、重賞Vの勢いに乗って立ちはだかるライバルたちをブレイクしていく。(黒田栄一郎)