とぅっけ
第57回京成杯オータムH(9日、中山11R、GIII、3歳上オープン国際(特指)、ハンデ、芝・外1600メートル、1着本賞金3800万円=出走16頭)究極の高速決着だ。横山典弘騎乗、2番人気のレオアクティブが、後方待機から鮮やかにインを強襲。驚愕の切れ味を見せつけ、1分30秒7(良)の日本レコードで駆け抜けた。2着に6番人気スマイルジャックが入り、1番人気エーシンリターンズは伸びを欠いて7着に敗れた。なお、サマーマイルシリーズ優勝の該当馬はいなかった。 若きスピードスターが世界最速のパフォーマンスで圧倒した。3歳のレオアクティブが、1分30秒7の日本レコードで古馬を一蹴。芝が青々と生え揃った開幕週の馬場を味方につけたにせよ、“世界記録”も一気に塗り替えてしまった。 「こういう馬場だったし、レコードが出るのは当たり前と思っていた」 昨年のフィフスペトルに続く京成杯AH連覇、札幌2歳S(コディーノ)に続く2週連続重賞Vを決めた横山典弘騎手は冷静にレースを振り返り、精神的に成長し、充実著しい相棒をたたえる 「気性的に燃えやすかったが、ひと夏を過ごしてだいぶ丸くなっているね。折り合い面も最初のころに比べると、気を遣わなくなった」 中団よりやや後ろのラチ沿いをスムーズに追走。折り合って脚をため、直線で最内を突く。先に抜け出したスマイルジャックを一瞬でかわしてVゴール。メンバー最速の上がり3ハロン33秒1は、2位(33秒6)のスマイルジャックとネオサクセスよりコンマ5秒も速い異次元の切れ味だった。 「軽い馬場もいいんだろうな。内枠なのでインを狙うしかなかったが、上手に競馬をしてくれた」 アクティブで制した昨年の京王杯2歳S以来、約10カ月ぶりのJRA重賞制覇となった杉浦宏昭調教師も笑顔を見せる。2歳時から非凡なスピードを発揮しながら、マイルはこれまで3戦して朝日杯FSの3着が最高だった。距離の壁を克服できたのは収穫だ。 今後はスワンS(10月27日、京都、GII、芝1400メートル)をステップに、マイルCS(11月18日、京都、GI、芝1600メートル)に駒を進める。杉浦厩舎にとっては、テレグノシス(2002年NHKマイルC)、ショウワモダン(10年安田記念)に続く、マイルGI3勝目がかかる。 「GIに出られるところまできたが、もう少し磨かないと。(マイルを)1回勝っただけでは何ともいえない」。一流マイラーを育てた杉浦師だけに辛口だが、それも期待が大きいからこそ。着実に進化を遂げるレオアクティブがGIを射程圏に入れた。 (森田実)