伊吹雅也のPOG分析室 (2021) ~第7回ワールド上位者考察
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JRAの夏季競馬が先週をもって終了。今週からはいよいよ秋季競馬がスタートします。
2021年の夏季競馬シーズン中に施行されたJRA、かつ2歳のレースは177競走。既に1300頭がデビューを果たし、約13%にあたる170頭が勝ち上がりました。重賞も既に4レースが施行され、7月17日の函館2歳ステークス(2歳G3・函館芝1200m)をナムラリコリス(ナムラキッスの2019)が、8月29日の新潟2歳ステークス(2歳G3・新潟芝1600m外)をセリフォス(シーフロントの2019)が、9月4日の札幌2歳ステークス(2歳G3・札幌芝1800m)をジオグリフ(アロマティコの2019)が、9月5日の小倉2歳ステークス(2歳G3・小倉芝1200m)をナムラクレア(サンクイーン2の2019)が勝利。各ワールドのランキングにも大きな動きが出てきたところです。
今回は、9月5日終了時点における各ワールドの上位プレイヤーと、その指名馬をひと通りチェックしていきたいと思います。まだスペシャル以外の各ワールドでは仮想オーナー募集枠が順次解放されていますし、そもそも最終的な順位を左右するようなビッグレースが施行されるのはかなり先。好スタートを決めたプレイヤーの指名戦略を読み取り、今後に向けた対策を検討しましょう。
なお、2020年、かつJRA、かつ2歳のレースにおける競走馬ごとの本賞金額(9月5日終了時点)トップ20は下記の通りでした。
【1位】ナムラクレア(サンクイーン2の2019) 4880万円
【2位】ナムラリコリス(ナムラキッスの2019) 3890万円
【3位】ジオグリフ(アロマティコの2019) 3800万円
【3位】セリフォス(シーフロントの2019) 3800万円
【5位】トーセンヴァンノ(トーセンソニアの2019) 2860万円
【6位】ヴィアドロローサ(ロイヤルストリートの2019) 2300万円
【6位】ラブリイユアアイズ(オープンユアアイズの2019) 2300万円
【8位】ベルウッドブラボー(マチャプチャレの2019) 2290万円
【9位】アスクワイルドモア(ラセレシオンの2019) 2190万円
【10位】アライバル(クルミナルの2019) 1900万円
【10位】カイカノキセキ(カイカヨソウの2019) 1900万円
【10位】スリーパーダ(シンハリーズの2019) 1900万円
【13位】コムストックロード(ニシノムーンライトの2019) 1730万円
【14位】ヒノクニ(トワイスアップの2019) 1677万円
【15位】ブッシュガーデン(フリスコベイの2019) 1530万円
【16位】アネゴハダ(イニシャルダブルの2019) 1480万円
【16位】オタルエバー(ルージュクールの2019) 1480万円
【18位】エーティーマクフィ(テンシンランマンの2019) 1430万円
【19位】カワキタレブリー(カフジビーナスの2019) 1410万円
【20位】テイエムスパーダ(トシザコジーンの2019) 1340万円
【20位】ポメランチェ(オレンジティアラの2019) 1340万円
重賞ウイナーが上位を占めているものの、8月14日のコスモス賞(2歳オープン・札幌芝1800m)を制したうえ札幌2歳ステークスでも3着に食い込んだトーセンヴァンノ(トーセンソニアの2019)など、地道にポイントを積み重ねた馬も少なくありません。こういったタイプの扱いにも注目しておきたいところです。
スペシャルワールドでトップに立っているのは、1億2726万円を獲得したムーンシュタイナーさん。スリーパーダ(シンハリーズの2019)などを指名している長澤まさみさんが最終週に迫ったものの、1401万円差で夏季競馬シーズンのチャンピオンに輝いています。
ムーンシュタイナーさんは第1回入札でセリフォスを獲得。本賞金額トップ20にランクインした指名馬はこの馬だけでしたが、9月5日のすずらん賞(2歳オープン・札幌芝1200m)で4着に食い込んだジョーブリッランテ(ジョーアラマートの2019)など、他にも3頭の指名馬が勝ち上がりを果たしました。また、新馬や未勝利で上位に食い込んだ馬も多数。これらの馬が順調に出世したら、獲得ポイントはさらに伸びてくるでしょう。夏季競馬に特化しての作戦勝ちというわけではなく、層の厚さや順調度の差で自然と首位に立った印象です。
G1ワールドは1億5686万円を獲得しているよ~じさんがトップ。ジオグリフを第5回入札で、セリフォスを第3回入札で獲得し、この2頭が2週連続で重賞を制しました。デビュー戦を勝ち上がった後の馬、それも夏の2歳重賞で有力視されるような馬は、注目度が上がってしまいがち。未デビュー馬とは違った難しさもある中で落札した2頭がしっかり結果を出したのですから、お見事と言うほかありません。全体的なラインナップを見ても、将来性のある逸材が多数。今後もしばらくはよ~じさんが首位争いの中心となっていくのではないでしょうか。
G2ワールドは1億1285万円を獲得している0d2fb65705さんがトップ。ナムラクレアやアライバルをデビュー前に獲得していました。ナムラクレアは新馬こそ3着に敗れてしまいましたが、未勝利の身で出走した8月14日のフェニックス賞(2歳オープン・小倉芝1200m)、そして小倉2歳ステークスを連勝。指名できた方、特にデビュー戦前後の段階で獲得した方にとっては、会心の展開だったのではないかと思います。
G3ワールドは1億2981万円を獲得しているムタオさんがトップ。よ~じさんと同じくジオグリフやセリフォスを指名されていますが、いずれも獲得したのはデビュー前です。ムタオさんは全体的に入札が早く、第4回までに20頭すべての指名を完了。ラインナップを拝見したところ、当連載の第1回でも名前が挙がっていたような、POG期間中の成績が良い調教師を重視されているように見えました。所属ワールドのルールは異なれど、基本的な戦略はおそらく私とほぼ同じ。もっとも今後が気になるプレイヤーと言っても過言ではありません。
オープンワールドは1億5813万円を獲得している銀の荼毘さんがトップ。ナムラリコリスを第4回の入札で獲得しているほか、8月14日のコスモス賞(2歳オープン・札幌芝1800m)で2着となったエーティーマクフィ(テンシンランマンの2019)らを指名されています。夏季競馬シーズンの重賞やオープン特別を積極的に狙ったと思しきラインナップで、思惑通りのスタートダッシュ成功だったんじゃないでしょうか。既に11頭の指名馬が勝ち上がりを果たしていますから、今週以降も着実に獲得ポイントを伸ばしてきそう。どこまで勢いが続くのか楽しみです。
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』で「データ分析」のコーナーを、TCKホームページ内『データ&コラム』で「分析レポート」を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラムなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『コース別 本当に儲かる血統大全 2019-2020』(ガイドワークス)、『ウルトラ回収率 2019-2020』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)、『コース別 本当に儲かる騎手大全2018秋~2019』(ガイドワークス)など。POG関連メディアの制作にもさまざまな形で携わっており、「ウマニティPOG 2014」では最高位クラスのスペシャルワールドにおいて優勝を果たした。 |
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くりーくの中間調教チェック 札幌2歳ステークス2021
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こんにちは、くりーくです。このコラムでは、今週行われる重賞競走の中間の調教内容を中心に分析してご紹介します。私の予想の基幹部分でもある調教分析術を是非あなたの予想にお役立て下さい。
今回も前走からの中間の調整内容(評価はA~F)を中心に各馬コメントをしていきたいと思います。
9月4日(土) 札幌11R 第56回札幌2歳ステークス(2歳G3・芝1800m)
【登録頭数:13頭】(フルゲート:14頭)
トーセンヴァンノ(牡馬、前走476kg-2、中2週、前走時印×)<C>
デビューからのパドックを見ても特に使われつつ良くなっているという印象はなく、毎回同じようなモッサリとした周回でのんびりしている感じなので、長い距離のほうが向いているのかもしれない。ここも中2週とずっと使い詰めできているが、この中間も1週前追い切りでは併せて先着と疲れはなさそう。その反面、あまり大きな上積みも感じられない。相手なりに走る堅実さ、距離延長、普段追い切りをつけている山田騎手が引き続き騎乗予定と、プラス材料はあるがどこまでやれるか。
オンリーオピニオン (牝馬、前走476kg、中7週、前走時印×)<B>
デビュー前の調教では南Wと芝で終い好時計が出ていて、脚がしなるような柔らかな走りで終いの伸び脚が抜群に良かった。この中間は札幌に移動して速い時計は1週前の併せ馬のみ。それでも3頭併せの中で終いは楽に伸びていて、予想以上に出来は良さそう。
クリノメガミエース (牝馬、前走482kg、連闘、前走時印◯)<E>
ダートの新馬戦を勝っての連闘。先週の予想コメントでも書いたように、首が高くダート馬の走り。パドックではまだ締まりそうな馬体で連闘でも状態面での上積みはありそうだが、血統も走り方もダートという馬を1週間で芝馬に変えることはできないのでここでは強く推せない。
ジオグリフ(牡馬、前走490kg、中9週、前走時印◯)<A>
新馬戦は「再入厩後すぐに速い時計が出ていて牧場でキッチリ仕上げてきた感じ。坂路でも好時計出ていて初戦から勝ち負け」という評価。南Wと坂路で好時計が出ていたが、この中間も自動計測になったぶんの補正を含めてほぼ同等の時計が出ている。札幌移動後も、芝コースとダートコースで好時計が出ていて状態は引き続き良好。中9週と間隔も十分空いていて、ジックリ乗り込まれて良い状態で出走できそう。
スカイフォール(牡馬、前走466kg、中1週、前走時印▲)<C>
新馬戦当時の評価は「函館芝併せ馬の外。切れる感じはないがスタミナがあって長く良い脚を使えそう」というもので、このコースと同じ新馬戦を勝ち上がり。芝コースで好時計が出ていてパドックでも太め感がなく、仕上がりは良さそうだった。この中間は中1週で軽めの調整となっている。
ダークエクリプス(牡馬、前走478kg、中3週、前走時印-)<D>
「函館芝併せ馬の内。首が高めで走りにも硬さがある。乗り込まれているが時計が詰まってこない」との新馬戦当時のコメント。無印としたが、パドックでは毛艶が良く、力強さがあって好馬体を見せていた。この中間も追い切りでは平凡な時計で併せ馬では遅れと、強く推せる材料がない。
トップキャスト(牝馬、前走428kg、中5週、前走時印▲)<B>
新馬戦では「函館芝併せ馬の内。追い切り映像も多く仕上がりは良さそだが、気が勝った感じでスピードが勝っている感じでこの距離がどうか」という評価。パドックでは落ち着きもあったもののレースでは大外枠から勢いがついてハナに。終始力みが見られる感じで、結果的に逃げ切りに成功も最後は脚が上がっており、札幌では同じような感じでは逃げ切れないかなという内容だった。この中間は乗り込み量も多く、2週前、1週前と好時計を計時。ただ時計的には速いがここもスピードが勝っている印象で、道中息を入れられるかがポイントになりそう。
ユキノオウジサマ (牡馬、前走504kg、中2週、前走時印×)<D>
新潟の新馬戦では、メンバー中で好時計が出ていたほうの1頭で押さえていたが、マイペースの競馬でそのまま逃げ切り。この中間は、1週前に南Wで軽めの調整。大きな馬で前走のパドックではまだ絞れそうな印象も受けた。その点、札幌までの輸送も大きなマイナスにはならないだろう。ただ、中2週で札幌へ輸送しての競馬は万全の状態で出走するにはハンデにはなりそう。
リューベック(牡馬、前走472kg、中6週、前走時印◎)<A>
新馬戦でも◎にしていて、当時のコメントでは「須貝厩舎らしく栗東、函館と乗り込み量は豊富で栗東坂路、CW、函館W、芝と好時計を連発していて動きを見ても柔らかみがあり、終いの伸びもしっかりしていて仕上がりは良さそう。併せ馬では調教駆けする3歳馬相手に楽に先着してくるあたり、かなり素質を秘めた馬かも」と高い評価を下した馬。パドックでも毛艶良く、キビキビと周回していてかなり良く見せていた。この中間は、2週前、1週前と函館芝コースで追い切られてともに先着。1週前追い切りでは、悪い馬場で時計は掛かっているが、集中した走りで終いしっかりと伸びた。引き続き出来は良好だろう。
アスクワイルドモア(牡馬、前走456kg-2、中3週、前走時印◯)<C>
前走3戦目での未勝利勝ち。新馬戦の時には、馬体も太かったが使われるごとに締まってきて、前走時は毛艶も良く気合い乗りも抜群だった。これ以上馬体が減ってテンションが高くなるのはマイナスになるとみてか、この中間は単走調整でどちらかというと控えめな内容に終始。ただ、この馬にとってはこれぐらいが良さそうで、まず最優先は前走のような状態で出走することだろう。
エーティーマクフィ(牡馬、前走436kg±0、中2週、前走時印◯)<B>
それほど大きくない馬だが、使われる度に良くなっていて前走時も好調教、パドックでは落ち着きが見られて好仕上りだった。この中間は、中2週となるが土曜日に強めに追われて好時計をマーク。小柄な馬でこれだけ追えていることは、好状態と判断しても良さそう。
モチベーション (牝馬、前走434kg-2、連闘、前走時印◎)<D>
先週未勝利勝ちも小柄な馬で中1週、連闘というローテーションは厳しそう。上積みは期待できそうにない。
レモンケーキ(牝馬、前走428kg+8、連闘、前走時印×)<D>
新馬戦の時にはしっかり乗り込まれていたが、前走時は日曜日に追われてレース週には速い時計を出さず。小柄な馬でトモもまだ寂しく、連闘での上積みに期待は酷か。
※今回のこのコラムからの推奨馬はリューベック、ジオグリフ、オンリーオピニオン、エーティーマクフィの4頭をあげておきます。
◇今回は札幌2歳S編でした。
2010年8月29日にスーパークリークが亡くなってから、今年で11年となります。時間が経てば経つほど記憶はだんだん薄れていくもので、忘れていくというよりは遠くに来てしまった感じです。それでも菊花賞や天皇賞(秋、春)の声を聞けば過去の映像で記憶も蘇りますし、あまり詳しくはありませんが大人気の「ウマ娘」の中にもスーパークリークがいるみたいなので、まだまだ何かのキッカケで脚光を浴びるシーンもあるかもしれません。何より「くりーく」という名前を背負っているので、この名前を見て思い出してもらえれば幸いです。『天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念』を、オグリキャップ、イナリワンと共に走ったあの年のことは、今でも鮮明に蘇ります。
※札幌2歳S出走各馬の最終追い切り評価については、最終予想内でコメントする予定です。
※最終結論は、レース当日のくりーくプロページでチェックしてください。
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