開成山特別(7日、福島9R、3歳上500万下(混)(特指)、定量、芝2600メートル、1着本賞金1050万円=出走12頭)中央競馬で2016、17年と2年連続最優秀障害馬に輝いたオジュウチョウサン(美浦・和田正一郎厩舎、牡7歳)が7日、4年8カ月ぶりに臨んだ平地競走の開成山特別(500万下、芝2600メートル)を武豊騎手(49)とのコンビで快勝。福島競馬場が大フィーバーに包まれた。レース後、陣営は有馬記念(12月23日、中山競馬場、GI、芝2500メートル)挑戦プランを改めて表明。ジャンプ界のアイドルホースは、二刀流のスターホースとしての第一歩を記した。
七夕のみちのくに、でっかい夢がかなった。J・GI5勝の現役最強障害馬オジュウチョウサンが、4年8カ月ぶりの出走となった平地競走を快勝。武豊騎手を背に障害戦からの連勝を「10」と伸ばし、最高の形で“二刀流”デビューを飾った。
福島駅の競馬場行きバス乗り場には朝から長蛇の列ができ、場内の食堂では売り切れメニューが続出。本来、のどかなはずの土曜日のローカル競馬場を襲った“オジュウフィーバー”に、堂々と最高の答えを出すのだから役者が違う。抜群のスタートから折り合いをつけて好位で運び、2周目の4コーナーでは力強く先頭に立つ横綱相撲。鮮やか過ぎるほどの完勝劇だ。
「強かった。乗った感じからして、すごくいい馬だと思ったし、スタミナはあるけど、道悪(稍重)で勝った感じじゃない。良馬場なら、もっと走れそうな感じがする」
断然の単勝1番人気(200円)に支持したファンからの大歓声に、殊勲の鞍上がGIばりのガッツポーズで応える。初騎乗とは思えぬ息の合った走りは、昨年までの最強パートナー・キタサンブラックをほうふつさせたが、キタサンとはまた違う重圧も味わった。「僕のキャリアでもあまりなかったケースで、500万下では感じたことのないプレッシャーだった。無事に走れれば力が違うと思っていたけど、勝ててほっとした。きょうの走りなら、平地でも上を狙えると思います」と表情を緩めた。
今年、開場100周年を迎えた福島競馬。障害王者の平地参戦という大花火を打ち上げた“仕掛け人”長山尚義オーナー(73)からは、レース後、壮大なプランが飛び出した。
「平地を走らせようと思ったのは去年、有馬記念のファン投票でたくさんの票(1278票)を頂いたからなんです。とにかく今年は有馬記念に出したい。それでもしも勝てたりしたら、次はドバイとかね。競馬は夢とロマンですから」