狙うべきは主演を食う助演女優。ディーパワンサが世代最初のGIウイナーになる。
桜花賞と同じ舞台ながら、09年の3冠牝馬アパパネのあと、阪神JFを勝ち桜の女王に輝いた馬はいない。クラシック本番でスポットライトを浴びるプリマドンナ的なきらびやかな資質は、ここでは不要。実際、近5年の勝ち馬は(4)(5)(5)(5)(1)番人気と、昨年のメジャーエンブレムを除けば“主役未満、端役以上”。微妙な立ち位置の若きアクトレスが、したたかに頂点をかすめ取っている。
今年、しっくりくるのがディーパワンサだ。
超良血ソウルスターリング、脅威のレコードVリスグラシューの2強の前に、現時点でアピール度には欠けている。しかし、その足跡は戴冠を予感させるものだ。
まずは末脚の確かさ。3戦すべてで最速の上がり3Fをマーク。長く使える鋭い脚は、阪神外回りのフルゲート勝負で何よりの武器となろう。
さらにローテーションからの上積みだ。前走のデイリー杯2歳Sは3カ月半ぶりでプラス10キロ。勝負どころで反応が鈍って4着に敗れたが、ゴール前の伸び脚は際立ち、「休み明けで反応が遅かったが、ラスト100メートルはすごい脚。次は良くなる」と、ルメール騎手も太鼓判を押していた。
そんな名手の予告どおりに、乗り替わるシュタルケ騎手が手綱を取ったこの中間は、先週30日にCWコースで6F80秒7の好タイムを弾き出し、今週7日はラスト1F12秒0で2歳新馬を3馬身突き放した。
愛馬が初めて見せた鋭い反応に、「前走時はモタモタしてレースでも反応できなかったけど、今回はいい。阪神の外回りは合うと思うし、折り合いがつくのも強みだと思う」と、松下調教師も手応えを隠さない。
「反応は良く、素直でコントロールしやすい。あとは本番でしっかり乗りたい」とシュタルケ。こちらも密かに巡ってきた初主演(GI獲り)へ集中力はMAXだ。
“究極の3連単”は1着にディー、2着に○ソウルスターリング、▲リスグラシューを据えた12点。(夕刊フジ)
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