エルムステークスの追い切りが9日、札幌、函館の両競馬場で行われた。3連勝中のテイエムジンソクは札幌ダートで一杯に追われ、文句なしのデキをアピール。調教評価は最上位の『S』となった。また、けがで戦列を離れていた三浦皇成騎手(27)=美・鹿戸=はドリームキラリの追い切りに騎乗。復帰ウイークの重賞挑戦に意欲を燃やした。
豪快に砂煙を巻き上げて、テイエムジンソクがぐんぐん加速する。これが3連勝中の脚力だ。絶好の動きで重賞取りへ、猛アピールを見せた。
「しまいはしっかりやりましたが、いい動きでしたね」
騎乗した武英技術調教師が汗をぬぐって笑みを浮かべた。馬場入りに少しうるさいしぐさをみせたが、「あれぐらい、この馬のテンションからしたら“10のうちの1”ぐらい」と武英師。ダートコースに出てからは、スムーズな走りを披露した。誘導するカフジナイサー(500万下)を3秒以上追走し、最後まで併せ馬にはならなかったが、5ハロン65秒9、3ハロン37秒6-12秒3をマーク。最後はムチを入れられると、はじけるように駆け抜けた。
「前に馬がいるとむきになるので、きょうは馬がいてもリラックスできるか見たかった」
武英師は折り合い面にも合格点を与えた。休み明けの東大路Sを勝ち、大沼S、マリーンSと圧勝につぐ圧勝だが、武英師は「大沼SからエルムS(に直行)では間隔があきすぎるので、前走は強い調教をしないまま使った。それを考えれば、今回の方がきっちりやっていますからね」と、目標のレースに抜かりのない仕上げを強調する。
勝ちきれなかった馬が目覚めたような3連勝。「心肺機能や筋肉の付き方が変わったわけじゃなく、気性が激しくて真っすぐ走れなかった。それを、休養前まで乗っていた竹之下騎手が教え込んでくれていたのが、ようやく実になってきた」と変身の理由を分析した。
芦毛の馬体と、他馬を寄せ付けない走りは父クロフネをほうふつさせる。「この馬の強みはどんな競馬もできること。行く馬が多ければ控えることもできる。3連勝は馬が自信をつけているのかも」と武英師。勝てば勝つほど強くなるテイエムジンソクが、重賞ウイナーへ、さらにその先の大きな舞台へ、飛躍する準備が整った。 (柴田章利)
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