●単勝1.7倍のライデンリーダーを▲に落とし、7番人気ワンダーパヒューム◎で勝負 馬連4420円を第一本線で的中させた平成7年の桜花賞
今年、第70回を迎える桜花賞、すごい歴史である。第1回は戦前の昭和14年で、中山芝1800メートルでスタートしている。その後、東京、京都をへて現在の阪神芝1600メートルに定着したのは第10回、昭和25年のこと。私がこの世界(ダービーニュース)に飛び込んだのは昭和43年だから、仕事として初めて見た桜花賞は忘れもしない、コウユウが大外一気を決めた第28回ということになる。
これまで数々の名馬、名勝負を見てきた。しかし、桜花賞といわれて真っ先に思い出されるのは、昭和50年のテスコガビーをおいてほかにない。6戦5勝(唯一の敗戦は牡馬相手の東京4歳Sの2着=勝ち馬はのちの皐月賞、ダービーの2冠馬カブラヤオー)の星を引っ下げてで臨んだこの馬には、腰が抜けるほど驚かされた。いや、ド肝を抜かれた。
ゲートが開いた次の瞬間にはもう先頭に立っていたこの馬が、直線の半ばにさしかかったとき、テレビの実況アナウンサーが絶叫している、
「テスコガビー先頭、テスコガビー先頭、後ろからは何ーんにも来ないー」
声をからしながら実況アナがかろうじて、「2着にジョーケンプトン」といい終えたときには、ガビーのゴールからすでに1秒7もの時間が過ぎていた。もちろん、ガビーの大差ぶっちぎり、勝ち時計は桜花賞レコードの1分34秒9、初めて桜花賞史上にに1分34秒台の数字が刻まれたのである。この記録は昭和63年にアラホウトクが1分34秒8で走るまで破られなかったし、その後34秒台の決着は平成7年までなかったことからも、いかに恐るべき、偉大な記録であったかがわかろう。
ところで、私は桜花賞との相性がいい。いいや、自慢させてもらえば、桜花賞の予想がうまい。たとえば、最近5年を振り返っても、◎のポルトフィーノが取り消してしまった一昨年以外、すべて的中させている。しかし、である。自慢ついでにもう一度いわせていただくと、一番のヒット予想は平成7年の桜花賞である。
この年、公営の笠松競馬からライデンリーダーという馬が中央に殴り込みをかけてきた。トライアルの4歳牝馬特別(現在のフィリーズレビュー)で3馬身半差の圧勝劇を演じ、本番では圧倒的支持(単勝1・7倍)を受けることに。で、この第55回桜花賞の私の最大のテーマは、こうである。
“ライデンリーダーは本当に強いのか、◎を打っていいのか!?”
“トライアル2番人気の気楽さから、今回は断然の1番人気、この重圧がマイナスになるんじゃないか"
そこで打ち出した結論が、
“▲にとどめよう”
であった。
これが最終決断の◎ワンダーパヒュームの引き金になり、○ダンスパートナーにもつながっのだ。それなら大外18番枠を引き、3戦1勝馬でしかなく、トライアルのアネモネS2着で出走権をひろっただけのワンダーパヒューム◎の根拠はどこにあったのか。
一つは先行有利のダートのデビュー戦で、とても届かないと思われる位置から、これもダートとしては破格の上がり36秒0の脚を使ったこと。もう一つは、アネモネSが初芝でありながら苦にするどころか、むしろ適しているような柔らかいフットワークで走り、直線半ばでは叩き合う相手がそばにいなくなってしまったのに、闘志を失わず前を追いかけたこと。この闘争心の強さは多頭数のクラシックには不可欠なものとの判断からである。
ワンダーパヒュ-ムにダンスパートナー、この◎○のワンツー決着、馬連⑰⑱4420円の高配当を第一本線で的中させたのだから、自慢させていただいてもいいと思う。ちなみに、単勝1.7倍のライデンリーダーは4着に沈み、3着には特注馬に取り上げていたプライムステージが飛び込んできていた。編集長いわく、“パーフェクト予想だったな”
最後にこれは先々週の高松宮記念のときにも書いたことだが、勝ち馬検討においては勝ち馬を探し出す方向性だけでなく、断然視されているような馬が、果たしてそれに見合うだけの実力があるのかどうか、実は危ないんじゃないかとの、いわばまったく逆の見極め検討もしなければならない。これが改めての教訓だったのである。
さらなる教訓は、サラブレッドの能力判断は脚力だけではない。多頭数になればなるほど、馬込みにひるまない、ポツンと一頭になっても闘志を失わない、前記のワンダーパヒュームのような闘争心がレースでのVを呼ぶ。着順、記録だけにとらわれず、この点にも気を配ってレースを観戦、振り返えらなければ...。そうすれば、もし、闘争心ある馬が見つからなかったとしても、その代わり、馬込みを怖がるような小心な馬が見つかるはずである。
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