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嘘つきヴィレッジ

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◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 ♪俺は村中で一番 モボだと言われた男
  
  うぬぼれのぼせて得意顔
  
  東京は銀座へと来た
  
  そもそもそのときのスイタイル
  
  青シャツに真っ赤なネクタイ 
  
  山高シャッポにロイド眼鏡 
  
  だぶだぶのセーラーズボン

 ◇かすかな記憶が頼りだが、エノケンこと

榎本健一のモボ(モダーンボーイ=mode

rn boy)の歌を、安田記念の予想に没

頭している最中に思い出した。昭和の初期に

流行ったというモボ、モガ(modern 

girl=断髪、引き眉、短いスカートの洋

装婦人)たちのチンドン屋(という用語が使

えないなら道化師)のようなファッショを思

い浮かべつつ…ショウワモダン無印!

 ◇最近(と言っても一昔まえ)のモボ、モ 

ダーンとくれば、あのアラン・ドロンのテ 

レビCM、「ダーバン、セデレガンス、 

ドゥモデルン=D’URBAN CET 

D’EREGANCE DE MODERN

.???」を思い出す。耳だけで連想したフ

ランス語のスペリングだから当てずっぽうだ

が、洗練された都会人のイメージ、それが現

代のエレガンス、優雅さなのだよなんて煽ら

れたって、それがどうした? てな感じだっ

た。スーツなどとは無縁のワイルドな調教現

場に入り浸っている身にとっては、カリフォ

ルニアのゴールドラッシュ(1849年=フ

ォーティナイナーズ)のときに工夫改良され

たという強靱なコットンパンツ(ブルージー

ンズ)や、野良着にほかならないカルヴァン

・クラインの方が実用的かつ環境になじんだ

ものだった。とはいえ馬子にも衣装で、別な

取材(Gallop誌のオーナーズサロンな

ど)のために競馬場の馬主フロアーに出入り

するようになってからは、一応の正装(スー

ツ&ネクタイ)は心がけている。ノンネクタ

イでは煙たがれるのでやむなく!?
 
 ◇それはともかく、その馬名ショウワモダ

ン(昭和モダンボーイのこと?)と、好走し

ても人気にならない不思議なキャラが、安田

記念にエントリーしたときから気になった。

実を言えば水曜日(6月2日)までは◎にし

ようかとさえ考えていた。がしかし翌日のサ

ンスポの調教現場リポートを見た瞬間にモボ

は視界から消滅した。

 ◇骨折、屈腱炎などが頻発したように、今

春の芝(とくに東京競馬場)は脅威的に速い

。速いということは紛れもなく硬い。柔らか

い馬場では3歳馬による日本レコードが更新

NHKマイルC)されるはずがない。JC

が創設された当時から、欧米とく英仏のオー

ナー(強烈な愛馬心)から厳重な抗議(水を

撒いてソフトにしなければ参戦せずに連れて帰

る!)が殺到し、不承不承散水車で大量の水

を撒いて思いとどまっていただくといった苦

い経験をしながら、なぜ今もって硬い馬場を

造成しなければならないのか。世界に通用す

る強い馬がつくれないので、せめて〝時計〟

で目立とうとでも言うのだろうか。硬速馬場

が馬を壊すことは主催者が一番わかっている

はずなのに…。

 ◇話のついでに触れるが、11日のサンス

ポ【ニューマーケット情報=飯山剛至】によ

れば、今年のイギリスダービーを勝ったワー

クフォース(WORK FORCE)のマイ

ケル・スタウト調教師は秋のJC遠征に乗り

気だとか。「ハイペースの流れに乗って、あ

の脚が使えるのですから、日本向きだと思う

のですが。しかも日本人好きなレコード勝ち

ですからね」(飯山)。

 ◇そうなのだ。ワークフォースは「奇跡の

馬」「神の脚」ラムタラがデビュ2戦目に

マームードのダービーレコードを95年ぶり

に更新した2分32秒31を、デビュー4戦

目で1秒近く塗り替えた(2分31秒33)

今世紀の怪物、怪馬なのだ。しかも驚くなか

れその父KING’S BESTは日本ダー

ビー馬エイシンフラッシュの父でもある。ワ

ークホースがJCにノミネートされ、エイシ

ンフラッシュも参戦するとなれば、日英ダー

ビー馬の兄弟対決(人間でいえば腹違いの兄

弟)が実現する。これは凄い!

 ◇さて、本題に戻る。『速く硬い芝のダメ

ージは見た目以上に大きい。しかも4月から

真夏日を記録するほどに夏が春を浸食してい

る。「少し顔が黒ずんで暑さ負けの兆候が出

てきた。ここがギリギリの時期」(ショウワ

モダン陣営)というような馬は穴馬絞りのキ

ャリアからすれば消し。前にも書いたがシン

ンザンの子(暑さに弱い)ミナガワマンナ

4月29日の天皇賞の時点で急性夏バテにかか

った(惨敗)。水面下の夏競馬はすでに始ま

っている。暑さに強い(弱い)馬を狙い撃て

!』とサンスポ紙上で確信を持って無印にし

ショウワモダン安田記念を快勝してしま

った。某調教師が馬(モダン)を気遣ったほ

どに過剰なパフォーマンス(フライングディス

マウント?)をやらかすほどに後藤浩輝騎手が

舞い上がったのも、関係者が子供じみたはは

しゃぎかたをしたのも、夏バテで勝てるとは

思っていない馬が勝ってしまったからに違い

ない。地下の脱鞍所で引き揚げて来た人馬を

迎えた生産者やオーナーの表情や会話を見聞

きしながら、そう確信した。

 ◇その模様は『まさに〝珍風景〟。生産者

(社台ファーム)の面々がダービーや有馬記

念を勝ったとき以上に喜び、はしゃいでい

る。「目に隈ができているとか、夏バテとか

…」「あれはいったい何だったの?」といっ

た囁きと談笑にオーナーファミリー(たぶ

ん)も加わり「単勝は買いました」「すごい

わねえ」。オーナーが愛馬の単を買うのは当

然なのに。これが競馬なのだ。昔、オークス

週にダイナカールのフケをスクープして(無

印)勝たれ、洞穴にでも潜り込みたい気分に

なった。何年勉強してもウマは難しい。分か

らない。かといってそうした〝事故〝によっ

て予想コンセプトを変えると無限地獄に堕ち

る。百頭、千頭に1頭の例外にメゲてどげん

すっとか!』と12日付サンスポ穴馬絞りに

もリポートした。

 ◇昔、菊池寛は『我が競馬哲学 』のなかで

「厩舎情報信ずべし、信ずべからず」とイン

サイド情報の功罪を喝破した。われわれが厩

舎回りをし始めたころ、厩舎情報の不確かさ

を「厩舎なんて嘘つき部落だよ」とか「そん

なヘンタ情報で馬券買ってたら銭がいくらあ

っても足らんぞ」なんて、馬券好き(?)の

厩務員や助手などに言われた。馬を扱ってい

る人たちさえ、厩舎情報の信憑性を嘲り笑

う。それほど血の通った馬に関する情報とい

うのは当てにならず、両刃の剣のようなモノ

であることを身をもって学習してきた。ゆえに、

目の回りに隈ができたとか、夏キン(睾丸が

膨れる夏バテ症状)の馬だとか言われても全

面的に消したりはしない。人気に応じて取捨

する。つまり採ってハイリスクの人気馬は嫌

い、まったくの無印でもしかしたら…の期待

がかけられる馬には★や△くらいは打つ。モ

ボは紛れもない人気(穴人気)馬だった。

 ◇馬は肺で走り、心臓で耐え、気質で勝利

するというF・テシオの気質(キャラクター)

が、モボを勝利に導いた原動力だったのでは

はないか。狂走。肉体が多少衰えていても、

火事場の馬鹿力のような爆発的な力を振り絞

ってしまう〝狂走馬〟が存在する。平成には

居ないかもしれないが、昭和のモボには居た

のかもしれない。♪俺は厩舎村で一番…。

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