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【安田記念】香港馬分析

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【安田記念】香港馬分析 | コラム | ウマニティ

 安田記念に香港馬として初の海外遠征をし、初の海外レース制覇を記録した2000年のフェアリーキングプローン以来延べ30頭が出走し、このレースの常連である香港勢から今年は昨年の香港マイル勝ち馬、ビューティーオンリーとこれを春のマイル王決定戦、チャンピオンズマイルで破ったコンテントメントのマイル王2頭が名乗りを上げた。


ビューティーオンリー~高速馬場は歓迎
 ビューティーオンリーは冠号のビューティーから分かるように10年安田記念に挑戦したビューティーフラッシュ(11着)を擁した香港屈指の大馬主、郭少明氏の子女2人の所有。調教師もフラッシュと同じく香港のトップトレーナー、アントニー・クルーズ師である。

 さて、アイルランド産の同馬は2013年6月、イタリアでデビューしGⅢ1勝を含む4戦3勝の後に香港移籍。14年10月、移籍直後に1600m条件戦を連勝、5戦目の4歳クラシック三冠第1レグ、ジョッキークラブマイルでローカルGⅠウィナーに輝く。その後、1800、2000、1400mと翌15/16年シーズンまで15戦を重ね、昨年4月のチェアマンズ・トロフィー(ローカルGⅡ、1600m)で1年3か月ぶりに重賞勝利を収め、ようやく距離適性をマイルに定めた。

 昨年9月に開幕した16/17年シーズンは香港マイルを目標にローテーションが組まれ、休み明けを2着、3着と叩いた後、トライアルのジョッキークラブマイルを勝つと本番では昨年の安田記念勝ち馬、ロゴタイプネオリアリズムら日本勢を破って悲願の香港マイル王の座を射止めた。

「来年は安田記念が大目標だ!」
香港マイル勝利直後に、クルーズ師は筆者に密かに漏らした。その後4戦を順調に消化。壮行レースの春のマイル王決定戦、チャンピオンズマイルではコンテントメントに直線で不利を受け頭差の2着と敗れたが、安田記念遠征はこのレース勝利が条件と主張していたオーナーを粘り強く説得し、ビューティーオンリー以来7年ぶりの挑戦を実現した。

 香港と日本では時計ひとつ以上の馬場差があり、東京競馬場の超高速馬場が厚い壁となって香港馬に立ちはだかる。
「この馬は硬くて速い馬場が合っているんだ。香港の馬場だから今の持ち時計になる。東京に行けば大幅に短縮してくれるよ。ブリッシュラックだってそうだったじゃないか!」
 クルーズ調教師は05年以来、4回にわたって延べ5頭、安田記念に挑戦。06年にはブリッシュラックでフェアリーキングプローン以来の香港馬2勝目を実現した。クルーズ師の楽観はその経験とビューティーオンリーに対する慧眼に裏打ちされている。
 

コンテントメント~モレイラ騎乗に魅力
 一方のコンテントメントは昨年の12着に続く2年連続の挑戦。香港に戻って以来、16/17年シーズンは9戦して2着が1回だけと不振を極めた。安田記念に登録したものの、このため遠征費用半額招待しかJRAから提示されず、躊躇していたところ、チャンピオンズマイルで1年3が月ぶりの勝利を収め、めでたく全額招待を勝ち取った。

 前走はB・プレブル騎手が繰り出したスローペースと香港史上最強馬とも謳われた初の4歳クラシック三冠馬、ラッパードラゴンの3角手前での故障発生、競走中止によるフロック勝ちとの見方も流れているが、安田記念では1年4か月ぶりにJ・モレイラ騎手を鞍上に迎える。

 ドバイターフでのヴィブロス香港クイーンエリザベス2世カップでのネオリアリズム騎乗から、モレイラ5馬身という新たな伝説も生まれている。コンテントメントには7回騎乗5勝3着2回と一度も馬券を外していないモレイラ騎手の手綱にかかれば、昨年のようなことはあり得まい。

 ちなみにこの2頭、この3シーズンにわたって14回対決し、ビューティーが8回先着。今シーズンに限ればビューティーの5勝2敗。ビューティーを上位に取りたい。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、新報馬業(『新報馬簿』『新報馬経』)駐日代表、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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