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【秋華賞】血統考察 byうまカレ

2016年10月14日(金) 16:06

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先週の毎日王冠では、11番人気3着のヒストリカルを大穴として取り上げることができました。外差し馬場がハマッたようで、やはり今の日本競馬は、その日その日の馬場状態が結果に与える影響は非常に大きいなと感じた先週末でした。

今週は秋華賞を考察します。

秋華賞は、淀みのない流れになり易いため、地力のある馬が好走しやすく、持続的な差しが決まりやすいレースです。とはいえ、やはり内回りコースということで、能力で劣る馬が好走するには、枠順の利や「立ち回りの巧さ」が必要となってきます。この部分の兼ね合いがポイントとなるでしょう。簡潔に言い表せば、「人気馬の地力」に「人気薄の立ち回りの巧さ」がどこまで通用するか、それが荒れるか荒れないかの分かれ道と思います。

ビッシュ
ワールドエースエックスマークらを輩出し、これまでJRAでデビューした9頭中6頭が勝ちあがっている、好相性のディープインパンクト×Acatenangoという組み合わせ。現3歳世代では、本馬とサトノキングダム(新馬→特別連勝)だけというのだから、その相性の良さは際立っている。自ら動いて好走したオークスと紫苑Sの内容は、Lyphard4×5らしい持続力を感じさせたし、地力ではジュエラーと双璧かそれ以上のものがあるだろう。紫苑Sを一捲りで快勝したが内回り向きの器用さは感じないから、ここは自力でねじ伏せられるかどうかだ。欲をいえばもう少し外目の枠が欲しかったところだろう。

ジュエラー
通常のファン心理であれば、人気先行ならば嫌いたいと思うところだろう。父ヴィクトワールピサの母母Much Too Riskyの仏血を増幅させた配合で、サンデー系とも異にする仏的な独特の斬れ方をする。昨年のミッキークイーン→クィーンズリングも仏血を持っていたし、馬群を嫌う気性を出させない、桜花賞のような大外に持ち出す競馬をしたいところ。ただ、これはビッシュにも言えることだが、先週の京都がかなりインコース有利だったという点は気掛かりだ。先述したような気性だから、内枠は明らかにマイナスだろう。腹をくくった競馬をしても、さすがに内回りだと届かないだろうから、どこかで大外に持ち出せるかどうか。

ヴィブロス
ヴィルシーナの全妹で、Halo≒Sir Ivor≒Red God3・5×4・5・5に加え、「父中長距離馬×母父マイラー」という配合系だから内回り向きの器用さがある。不利を受けながら3着以下を離した前走は誰がみても強いといえる内容だし、内回り向きの器用さであればビッシュよりこちらの方が上だから、先週の京都の馬場状態を考慮しても、内枠ならば逆転のチャンスがある。真ん中の枠もOK。

カイザーバル
ダンシングキイ牝系×エンパイアメーカーは、フェデラリストと本馬を輩出しているから好相性といえる。気性面の難しさがあるので2走前のような取りこぼしもあるが、「能力だけならG1でもヒケを取らない」といった趣旨のコメントを陣営は出し続けていたし、それは前走だけではなく、ものすごい脚で突っ込んできたチューリップ賞(6着)、キンショーユキヒメ以下をちぎった君子蘭賞の内容からも納得できる。父譲りの少し力馬感を感じさせる走りだから軽い京都の良馬場替わりというのは気にならないでもないが、ヴィブロスとともにアヴェンチュラ的に内から抜け出すイメージが付く馬である……と、書いたものの、さすがにこの枠だと厳しそうだ。

パールコード
叔母に阪神JF2着のシークレットコードがいる血統で、母母Beautiful Petの持つNasrullah4×3とCount Fleet5×5によって、父ヴィクトワールピサの内包するGold Digger(Mr.Prospectorの母)を増幅した、父産駒の定番配合。体質は柔らかめの大飛びで、他の有力馬に比べるとスッと反応できない弱みがあるから、京都内回りという舞台で狙いた馬ではない。

レッドアヴァンセ
お馴染名繁殖エリモピクシーの仔で、ディープインパクトとの配合だとAlzao≒ダンシングブレーヴ3×2という大胆なニアリークロスができる。このニアリークロスは、レドアヴァンセ=サトノルパンのほかにもスマートレイアーアヴニールマルシェが出ているし、ディープインパクトとダンシングブレーヴというのはLyphardらしくない瞬発力を武器にした2頭だから、超大物が出る可能性があるとみている(ちなみに、ビッシュの欄を読んでいただいた方は、オッと思われたかもしれませんがサトノキングダムディープインパクト×AcatenangoでAlzao≒ダンシングブレーヴ3×3)。本馬はSir Ivor(父Sir Gaylord)5×4という形でナスキロ血脈の中でも屈指の柔らかさを誇るSir Gaylordをクロスしているから、非力で春は坂のあるコースでは苦戦していた。ローズSでは、特別パワーが付いた印象は受けなかったが、少なくとも春先より成長しているだろう。内回り向きではないが、「平坦替わり」という点では面白い。

ダイワドレッサー
母母エアリバティーがトニービン×NureyevというHyperionの塊のような馬で、オークスでもジリジリ追い込んで来ているように東京向きの持続力がある。ただ、ネオユニヴァース×エンドスウィープという「父中距離馬×母父スプリンター」という配合系のため、立ち回りの巧さがあり福島のラジオNIKKEI賞でも好走した。「秋華賞らしいG1らしい淀みのない流れ」+「立ち回りの巧さを活かせる内回り」というのは合っているし、立ち回り次第で好走が可能なだけに8枠は残念でならない。

クロコスミア
母デヴェロッペはオープン特別時代の菜の花賞を制し、桜花賞にも出走。その母ショウエイミズキは名繁殖Cape Crossなどを輩出したPark AppealにSadler’s Wells→Nashwanという欧州本格派を配された。Sadler’s WellsやNashwanは父ステイゴールドの内包するノーザンテーストを増幅しているからステイゴールドとしては及第点といえる配合。ステイゴールド×ボストンハーバーという「父中長距離馬×母父スプリンター」という配合系だから、札幌2歳Sで好走しているように立ち回りの巧さも兼備している。今度は逃げることはないだろうが、内枠を引いて馬場バイアスも向けば、再度好走しても驚けない。


デンコウアンジュ
メイショウサムソンは、父オペラハウスの伝える硬派な筋肉を、母マイヴィヴィアンのRoyal
Cherger≒Nasrullah6×4・5(特にSir GaylordやPrincely
Gift)で柔らかくした名馬。デンコウアンジュも、母デンコウラッキーはCaerleon×Darshaanというナスキロ血脈のマリエンバード×サンデーサイレンスという組み合わせで、残りの1/4にあたる3代母トウホーダイヤはAvena=プリメロ4×4という美しい全きょうだいクロスを持つから、明らかな中距離馬。だからマイルであればスローになった方が差し込みやすく、且つ非力だからタフな芝や急坂は苦手で、良馬場スローだったアルテミスは全ての要因が向いた。タフな芝の阪神ではもうワンパンチ足りないが、オークスでは「不利が無ければ3着争い」というところまで追い込んできた。レッドアヴァンセ同様に、内回り向きではないが「平坦替わり」という点では面白いし、ローズSの内容はかなり良かったので注目の1頭。

ミエノサクシード
母系のデインヒルやAureoleやAlibhai(デインヒルとは別でもう1本)で父ステイゴールドの内包するノーザンテーストを増幅しており、重賞を獲れるだけの底力がある好配合。夏を超えてのこの成長は「らしい」ものといえる。ただ、A.P.Indyの影響が強い脚長体型のストライド走法だから内回りでのパフォーマンスアップは見込めそうにない。

エンジェルフェイス
全姉レディアルバローザはLa Troiennneの影響が強い肩が立ったピッチ走法(レディアルバローザエンジェルフェイスはLa Troiennne3本)だったが、エンジェルフェイスは少し完歩が大きくMill ReefとSir Gaylordというナスキロ的なものも感じる。オークスも着順以上に粘っているし、素質は相当なのだろうが、藤原英師も「素質だけで走っている」というコメントを残しているし、まだGIで通用するレベルではないのだろうと思う。

フロンテアクイーン
ソシアルバターフライ牝系のメイショウサムソン×サンデーサイレンスだから、フローラS4着→オークス6着→紫苑S3着というレース内容からも、やはり持続戦になれば突っ込んで来るという、昨年でいうアースライズオークス秋華賞4着)的キャラにうつる。だから淀みない流れになりやすい秋華賞でも確実に脚は使うだろうが、上位陣に比べると瞬時の加速力に欠けるから、遅れて差し込んで来て掲示板争いまでというイメージだ。

パーシーズベスト
Northern Dancer5×5・5・6というサンデーサイレンスを1/4非Northern Dancerとする3/4Northern Dancerという配合系で、母パーシステントリーはMr.Prospector3×4も持つから比較的近親配合でパーシーズベストは仕上がりの早いタイプといえよう。父中長距離馬×母父スプリンターという配合系でLa Troiennneの影響もある肩が立った走法。競馬の形が限られていますが、この枠から完璧に捌いてくることができれば3着争いをしてもおかしくない1頭。

キンショーユキヒメ
母アップルティーは、父サンデーサイレンス×母アドマイスという血統で、これは昨年の3着馬マキシマムドパリの母マドモアゼルドパリの全妹にあたる。アドマイスは母父KashmirのHyperion4×4、Lady Juror4×4という、歴史的大種牡馬と歴史的名繁殖牝馬のクロスによる粘着力(ダイワスカーレットハーツクライキタサンブラックの粘着力≒粘り腰と、同じ血統原理)も伝えるから、マキシマムドパリは厳しい流れだった昨年の秋華賞を3角4番手から粘り込むことができた。上がり勝負ばかり経験してきたが、今回はG1らしい淀みない流れが予測されるので、穴を空けても驚けない。たとえ大外でも人気次第では狙ってみたいほど魅力的。

【まとめ】
有力→ビッシュヴィブロス
穴→パーシーズベストデンコウアンジュクロコスミアキンショーユキヒメ


ブログに方には、秋華賞の有力馬と穴馬について、ハーツクライキタサンブラックといった名馬の配合と関連付けて書いてみましたので、よろしければご覧ください。
秋華賞》ハイインロー(HyperionとSon-in-Law)的な名馬と、ビッシュ/キンショーユキヒメ/レッドアヴァンセ/ダイワドレッサーの話
http://derby6-1.hatenablog.com/entry/2016/10/14/011701


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【参考】

『日本サラブレッド配合史―日本百名馬と世界の名血の探究』(笠雄二郎著)
望田潤さんのブログ http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo
栗山求さんの連載「血統SQUARE」http://www.miesque.com/motomu/works.html
『覚えておきたい 日本の牝系100』(平出貴昭著)

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金沢ユウダイ
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執筆者:うまカレ(MYコロシアム>最新予想にリンク)

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