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『競馬』という名の推理小説 ~第20話皐月賞(解決編)~

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12.1-10.9-12.4-12.1-12.6-12.5-12.3-12.1-11.8-12.0=2.00.8
(35.4-49.5-35.9) ▼2▼3△2 平坦戦

強い馬が強い勝ち方をした。
と簡単に言えるようなレースではなかったと思います。

8Rまでは重馬場だったので稍重ですがそこそこ時計の掛かる馬場だったと思われます。
となるとテンの3F35.4秒は結構速いですね。
多少緩んだのは2コーナーの出口~向正面区間の「12.6-12.5」の400mぐらい。
3コーナーからはじわじわと加速せざるを得ない流れで先行グループには厳しかったと思われます。
その厳しさが表れているのが3~4コーナーを回る時の加速▼2という数字。
皐月賞において逃げ馬の肝はこのRのきついコーナーで一気に加速して直線入った時どれだけセーフティーリードが取れているかというもの。
ヴィクトリーの年は▼7の加速、キャプテントゥーレの年は▼11の加速をマークしています)
それが▼2しか加速出来ないというのはそれまでがかなりタフなレースだったということでしょう。

前半800mで速く流れたこと、向正面で一旦脚を溜めれたこと、この2点で後方有利の展開となりました。
能力があったからというのももちろんですが上位3頭が1コーナーの通過順が10番手以下だったということは決して偶然ではなかったと思います。

結局ヴィクトワールピサの圧勝となったレースでした。
能力の高さ、向いた展開も確かにありますが岩田Jの好騎乗、いや好騎乗というよりも絶対勝つんだという「勝負に対する執念」が最大の勝因だったように思えます。
ではどういう騎乗内容だったのでしょうか。
レース後のコメントから最初から内を突こうと思っていたようでスタート後すぐに下げて内に進路を取ります。
これのおかげで1コーナー通過順は14番手とかなり後方になりました。
デビュー以来最も後方の位置取りです。
この位置から内を突いて直線一気というのは中山では流石に難しいのでここから徐々に位置を押し上げて行きました。
3コーナー通過時は7番手とローズキングダムとほぼ同じぐらいの中団まで押し上げてほぼ射程圏に。
3~4コーナーで他馬が動き始めた時は(内の利を活かして)逆に一旦脚を溜めます。
直線に入ってからはコースが開いた最内に突っ込んで一瞬の加速で先頭に立ってそのままゴール。
こんな感じの騎乗内容だったと思われます。
朝日FSのセイウンワンダー秋華賞ブラックエンブレムなどでも似たような騎乗内容なので得意といえば得意かもしれません。
但し、今回は立場が違います。
クラシック第1弾の皐月賞で断然の1番人気。
しかも武豊Jの怪我によるピンチヒッターという状況です。
失敗しても次はありません、やり直しはきかないのです。
内を突くというのは確かに効果的ですがリスクも伴います。
前が開かない可能性もありますしバテた先行馬が後退して邪魔になる可能性もあります。
なので内を突くという戦法は人気薄の馬でこそだと思っています。
「どうしても勝ちたい」という執念が今回の結果に結びついたのだと思えます。
レース後の涙にはそういう意味があったのではないでしょうか。

岩田Jの騎乗も見事でしたがそれに応えたヴィクトワールピサも見事でした。
長くいい脚が使えるこの馬の最大の長所が活かされました。
また、前走の弥生賞でも最内からのレースを経験させた武豊Jの教育も見逃せません。
二人の騎手で勝ち取った勝利だったと思います。
ダービーでも当然有力候補の一頭です。

ヒルノダムールは惜しい2着。
4コーナーを回る時に若干不利があってスムーズに走れませんでした。
それがなかったらとも思えますが、実際は岩田Jとの意気込みの差がコース取りの差位置取りの差になったのかなと思います。
ダービーでも勝ち負け可能です。

3着のエイシンフラッシュは萩Sで道中速いレースの経験をしていたということと稍重で時計が遅くなったという2点がこの結果に繋がったのだと思います。
その他では番手で先行したゲシュタルトはかなり粘れていました。
瞬発力では若干疑問ですがこういうタフなレースではかなりやれると思います。
ダービーの有力候補の一頭と思っていたレーヴドリアンはここ2戦スタートが悪くなっているのが気になります。
現状の賞金では出走出来ないでしょうから次走のトライアルではスタートにも注意ですね。
4~6着馬もまずまずの内容だったでしょう。
ダービーでももしかしてと思えたのはリルダヴァルでしょうか。
故障がなかったらと改めて感じました。

ダービーで「絶対負けられない」レースとなったのは今度は武豊J。
別路線組の有力馬が数頭いるので簡単ではないでしょうが岩田Jの執念を引き継ぐことが出来るかどうかが鍵となるでしょう。
不安要素を挙げるとすれば弥生賞も皐月賞も良馬場では行われませんでした。
皐月賞でも上位馬の多くにミスプロ系の血が入っていましたが、高速馬場で時計を求められた場合に対応出来るかどうかも鍵でしょう。
あと一ヶ月ちょっと、全馬故障なくその日を迎えて欲しいと思います。


(補足)
「▼4▼2△6」や「平坦戦」などの表記はラップギアを使用しています。
数値などは岡村信将プロより提供して頂いています。
表記の意味などの詳細は岡村信将プロのマイページをご覧下さい。

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