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濃霧注意報~安田記念(2014年)展望~

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今年の安田記念は面白い。

出走予定メンバーを見て、私は早い時期からそう思っていました。
昨秋の天皇賞から一気に世界レベルへの馬へと覚醒したジャスタウェイを筆頭に、
故障やスランプから復活したワールドエースグランデッツァカレンブラックヒルといった面々。
トーセンラーダノンシャークといった既存勢力は勿論のこと、ミッキーアイルフィエロといった新興勢力も参戦。
牝馬路線からはホエールキャプチャ、香港からはグロリアスデイズが3度目の正直を狙ってくるなど、
実績、スター性共に文句なしのメンバーが揃っているように映ります。

果たして彼らが力勝負の東京マイルでどんな戦いを見せるのか。
週頭の時点ではこの1点のみを考えていたのですが、週末に近付くに連れて、"文字通り"雲行きが怪しく。
そう、雨です。しかも結構な量の。
どうやらこの土日はずっと降り続けるようで、馬場状態が悲惨なことになるのがほぼ確実。
単純な力だけではなく、重馬場の巧拙、馬場そのものの傾向といった要素もかなり重要になってきそうです。

そんな状況下でも、頭一つ抜けた人気に推されそうなのがジャスタウェイ
天皇賞、中山記念、そして前走のドバイDFと、いずれも強敵揃いのレースで圧勝。
昨秋前半までの"イマイチ君"の面影は既に無く、レーティングで世界一という称号も得ました。
血統的にもパワー型ですし、雨の中山記念でも無難に走れていたことから、今回の馬場でも大きな能力減はなさそう。
となればやはり逆らえないか……と思ってしまいますが、死角があるとすれば、今回がマイルの舞台であること。
デビューからマイル近辺を使われており、距離実績も(2.2.0.1)と安定感抜群。
どこが死角なのかとツッコまれそうですが、この距離実績の大半は2歳~3歳春までに積み上げたもの。
古馬になってマイルを走ったのは昨夏の関屋記念のみで、この時は1番人気に推されながら2着に敗れています。
レースレベルもそう高くなかったことから、この距離だと流れに乗りづらくなっている可能性がありそう。
こうした不安も圧勝という形で跳ね返すようならば、もう本当に手が付けられませんね。

彼に対抗してきそうなのは、7頭も居るディープインパクト産駒達でしょうか。
それぞれキャラは全然違うのですが、これだけ頭数が居れば圏内に飛び込んでくる可能性は高そうです。

中でも注目を集めているのは、マイラーズCをレコードで圧勝したワールドエース
3歳時にはクラシックの最有力候補と言われた馬が、マイルの舞台で復活を果たしました。
いかにも父の産駒らしい軽い切れ味が武器の馬ですが、3歳時に好走した若駒S、若葉S、皐月賞はいずれもタフな馬場。
母系のドイツ血統が効いているのか、馬場が重くなっても脚が使えなくなるという感じはありません。
先週までの馬場ならば、大外枠というのがかなりのマイナス材料だったのですが、
この天気のままだとどの枠や位置取りが有利となるのか、現時点では想像も付かず。
本馬の評価を決めるのは、当日の芝レースの傾向を観察してからでも遅くないかもしれません。

5連勝中の3歳馬・ミッキーアイルも注目度では互角。
主導権を握ることの出来る逃げ脚質、古馬勢より遥かに軽い斤量、3年前のリアルインパクトの勝利といった点からも、
3歳だからといって侮れない雰囲気が漂います。
とは言え、同舞台だった前走のNHKマイルCにおけるレースレベルは近年でも最低に近いもの。
これと同じだけしか走れないようであれば、今回は厳しい結果になるでしょう。
しかし、それ以前のアーリントンCやシンザン記念ではハイレベルの走りを見せているのも事実。
どちらの姿が本物と見るかで、評価はかなり変わってくると思います。
個人的には馬場状態や気性面から、今回はリスクが高いように思えてしまいますが……。

実績だけならメンバーの中でもトップクラスのトーセンラー
良馬場のマイルならば東京でもいい走りを見せてくれそうな印象があったのですが、今回は無情の雨。
大きく崩れる時は殆ど馬場状態が悪い時なので、この天気では割引が必要そう。
それならば、馬場が悪くてもそれほど走りの変わらないダノンシャークフィエロの方が面白そう。
前者は実績のない1400mでの大敗後、後者は重賞勝ちがまだ無いという点で人気になりづらいので、配当妙味も十分にありそうです。
残るリアルインパクトエキストラエンドもそれほど重馬場は苦にしなさそうですが、
この2頭に関しては近走のレースレベルからもあまり強気になれないというのが正直なところ。

他路線組はこの馬場を苦にする馬が多そうで、京王杯SCを勝ったレッドスパーダもそのクチ。
父のタイキシャトルは泥んこ馬場の当レースを制しているのですが、本馬はこれまで重馬場だと大敗ばかり。
ヴィクトリアマイルから挑んでくるホエールキャプチャ、香港のグロリアスデイズ、
既存勢力のグランプリボスショウナンマイティサダムパテッククラレントも重馬場がプラスになる印象はありません。

ただ、もしかしたらと思わせる馬も居ます。
まずはダービー卿CTで久々の勝ち星を挙げたカレンブラックヒル
この馬のデビュー戦は重馬場だったのですが、すいすいと先行してラップを全く落とさぬ完璧な逃げ切りでした。
初戦としてはかなりレースレベルも高いものだったので、重馬場巧者と見ていいでしょう。
近走の内容からはまだいい時には戻りきっていないという印象の方が強いですが、
その先行力も含めて考えると、雨が降れば降るほど不気味さが増します。

同じ復活組のグランデッツァも侮れない1頭。
超絶レコードを叩きだした前走の都大路Sの内容は相当に優秀。
単に馬場や展開に恵まれただけとは思えない凄みを感じました。
速い時計で勝った後だけに、今回のような馬場への対応力が疑問視されますが、
本馬はもともとある程度時計の掛かる馬場の方が高いパフォーマンスを発揮していた馬。
3歳時には重馬場のスプリングSで後のダービー馬・ディープブリランテに完勝しています。
調教の動きを見ると左回りにおける走りに不安は残りますが、先行押し切りの期待も同じくらい持てると思います。



とにもかくにも、日曜の芝レースを見てみないことには予想がしづらいというのが正直な所。
こうした天気の場合、極端に前が残る馬場か、全く逆の外差し馬場になるかのどちらかという印象が強いので、
ギリギリまで馬場の傾向を見極めてみるのは有効な作戦だと思います。

ですが、個人的には……これだけいいメンバーが揃ったのですから、馬場差など苦にしないほどの熱戦を見せて欲しいもの。
敢えて馬場状態のことを考えずに、純粋な強さだけを考えて予想するのもまた面白いかなと思っています。

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