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●第143回天皇賞(春)GⅠ全馬追い切り診断
・エイシンフラッシュ
4月27日 栗東W
67秒5-52秒3-37秒8-11秒7 G強め
ウッドの5Fスタート、テンから引っ張り切れない勢い、しかし、掛かっているふうはない。15秒2、14秒5のスローにも折り合いピタリだ。直線は残り1Fを過ぎて左ステッキを一発、目が覚めんばかりに弾けてなんとラスト1F11秒7。ダイナミックさの中にシャープさを感じさせたこの動きは、休み明けだった前走前とは段違い。中間二度の併せ馬を消化しているし、質、量ともに十分すぎるほど。本番に向けての変わり身はペルーサと甲乙つけがたい。
・オウケンブルースリ
4月27日 栗東坂
52秒6-39秒6-27秒1-14秒2 強め
途中、ステッキを使って追ったが、反応できずに最後は追うのをやめてしまった。相手馬に置き去りにされたラスト1Fは14秒2.やや重の悪い馬場状態を考えてもこれはかかり過ぎ。イコールそれは体調の悪さとみてよかろう。スランプ脱出にはまだまだ時間がかかりそうだ。
・ゲシュタルト
4月28日 栗東P
81秒0-65秒6-50秒8-37秒5-11秒2 馬なり
ゆったりとした大きなフットワーク、クビが高めの走法はいつも通り。しまい中心、ポリトラックを加味してもこのラスト1Fなら合格点がやれる。ただ、前走時も同じように動いていたので変わり身となるとどうだろう。好調キープだけでは通用しない相手だけに…
・コスモヘレノス
4月27日 栗東坂
55秒2-39秒6-25秒8-13秒2 強め
前走後、放牧にでてこの12日に美浦帰厩、先週の23日に栗東入りしている。今週の坂路は目いっぱいに追ったわけではないが、別掲の平凡というより遅い時計。動きは地味でこれといってアピールするものなし。前走から変わり身なしでの2キロ増58キロは厳しい。
・コスモメドウ
4月27日 栗東P
62秒7-49秒1-37秒1-12秒6 馬なり
ここ3戦の長丁場で1、1、2着と好走。その反動もなく、中間2本の時計をだしている。今週はポリトラックに入り、馬なりで別掲の好時計、少しでも追えば大幅な時計短縮が可能な脚勢だった。相手強化と重量の増加と条件は厳しくなるが、体調のよさは胸が張れる。
・ジェントゥー
4月28日 京都芝
82秒9-66秒9-51秒8-37秒9-12秒7 馬なり
芝コースとしてはなんとも平凡な時計。これを終始馬なりだったから、馬場が渋りかげんだったからで片付けることはできるが、動きまでモサッとして平凡、まったく鋭さなし、おまけに気合不足に見えた。おそらく瞬発力に乏しく、泥田馬場にでもならないかぎり出番はあるまい。
・ジャミール
4月27日 栗東P
62秒2-49秒0-36秒9-12秒1 一杯追
時計は悪くないが、いっぱいに追い切って余力残しのファリダットに遊ばれてしまった。中間の併せゲイコでも後れを取っており、もうひと叩きふたたたきほしい。
・トウカイトリック
4月27日 栗東坂
55秒0-39秒6-25秒9-計 不 叩一杯
押してもたたいても反応が鈍く、併入に持ち込むのがやっと。ラスト1Fはエラーだったが相手馬が13秒0だったからこの馬もそれくらい。もともとあまり攻め馬は走るほうではないか、それにしても物足りず、ここ一連の不振からのガラリ一変はない。
・トゥザグローリー
4月27日 栗東W
82秒7-67秒5-52秒6-38秒5-12秒1 一杯追
先週21日の1週前追い切りは6Fからの併せ馬、馬なりでラスト1F11秒9、先行していた馬にアタマ先着した。24日には坂路で53秒9-39秒0、すこぶる順調な中間である。今週はマイネルキッツを交えた3頭併せ、一番後ろから行って中マイネルにアタマ、外の準オープン馬に半馬身、実戦並みの叩き合いを制した。これだけやれたのだから疲れは心配ないし、一段とパワーアップしたと見ることもできる。少し太めを残しているように映るほど馬体もたくましいが、ポリトラックで6F75秒3-34秒9-11秒9をマークした有馬記念当時の方が速さは感じた。
・トーセンクラウン
4月27日 美浦ダ
81秒3-65秒6-51秒2-38秒1-12秒6 馬なり
美浦のダートコースで終始馬なり、道中のいかにも気分のよさそうな走りとピカピカの毛づや、休み明けを二度たたいたことでかなり上向いてきたが、それでも絶好調時にはひと息。もうひとたたきほしい。
・ナムラクレセント
4月27日 栗東坂
51秒1-38秒5-26秒1-13秒4 一杯追
今週の馬場状態で坂路4F51秒1は速い。これだけやれるということは元気だからこそといっていいし、ラスト1F13秒4とかかったのは、テンを12秒6、12秒4で飛ばしたから。しかし、G前はアゴがあがってオツリなしの状態。前走、初重賞からの上積みとまでは…
・ヒルノダムール
4月27日 栗東坂
53秒5-38秒9-25秒6-12秒5 G強め
前走の大阪杯で待望の初重賞、3勝め、レコードのおまけつき。この反動が心配されたが、20日に長め7Fから実戦並みの併せ馬がやれたのでその心配はない。今週は坂路で単走、残り200メートル手前から追い出されたがこの反応が鈍く、鞍上は右ステッキを5発も。これが気になったが、ラスト1Fはこの日の時計のかかる馬場状態としては破格の12秒5。父マンハッタンカフェのステイヤー性がズブさとなって表われたとみていいだろう。勝てないレースが続いたのでローテーションがきつくなってしまったが、前走勝ちを機に大化け、この大一番での大仕事をやってのけるかも。秘めたる潜在能力の高さは、皐月賞でとても届かない位置から突っ込んでの2着で立証されているのだから。
・ビートブラック
4月27日 栗東坂
53秒7-39秒4-25秒8ー計 不 仕掛け
坂路で軽く仕掛けた程度。このため特に速い時計にはならなかったが、軽快なフットワーク伸び伸びとした走りが目を引いた。前走はオープン特別勝ち、まだ重賞勝ちはないが、仮にも菊花賞の3着馬、2着ローズキングダムと同タイムの接戦を演じているのだ、格うんぬんより前走勝ちの勢いに注意した方がいいだろう。
・フォゲッタブル
4月27日 栗東坂
54秒5-39秒8-26秒5-13秒6 一杯追
幸運にもメイショウベルーガの回避で出番が回ってきたが、肝心の状態には?マークがつく。今週の坂路の併せ馬は相手の鞍上が立ち上がるようにして抑えているのに、左ムチを10発以上入れて併入に持ち込むのがやっとやっと、時計も別掲のように遅い。いまだ復調の兆しはない。
・ペルーサ
4月27日 美浦芝
73秒0-59秒2-46秒1-34秒0-12秒1 馬なり
中間の攻め馬がやや軽いので気になっていたが、今週の追い切りを見て速い時計はだしていなくても十分な運動量をこなしていたことがわかった。すなわち、追ったところなしでいかに本馬場追い切りとはいえ、別掲の時計はだせないからである。僚馬2頭の5馬身後方から行き、4コーナーから直線に向いたところで外に並び、ゴール前自らハミをとってグイッとアタマほどでた内容も文句なし。ゆったりと大きくて流れるように軽くて力強いフットワーク、掛かるところがひとつもなかった落ち着き払った雰囲気と、どれをとっても休み明けだった前走時とは雲泥の差。5頭併せで究極の仕上げに見えた有馬記念(同じく本馬場で5F66秒台)前を思いだしても、単なる時計比較だけで今回の意欲むき出しの仕上げがわかるし、まぶしいほどに光り輝いた馬体、もはやこれ以上は望めないデキと断言できる。
・マイネルキッツ
4月27日 栗東W
83秒0-67秒8-52秒7-38秒8-12秒1 一杯追
7ヶ月ぶりの日経賞を叩かれた後はプール調整で体をほぐし、17日に初時計、20日の1週前追い切りで上がり37秒7で併走先着の動きがすばらしかった。今週の3頭併せではトゥザグローリーにアタマほど遅れたが、一旦は1馬身近くつけられた差をG前詰め寄った内容、この渋い内容にステイヤーとしての資質を見た思い。ひと叩きで着実に上昇、一昨年にVを果たしたときと比較してもまったく遜色がない。もちろん、8歳馬になっての衰えは微塵も感じられない。
・マカニビスティー
4月28日 栗東芝
79秒2-64秒4-50秒0-36秒3-11秒2 強め
ラスト1F11秒2の速さは、芝コースだったことと、前半を抑えに抑えたから。この数字ほどの鋭さはなく、前走からこっちさしたる良化はない。参加するだけだろう。
・ローズキングダム
4月27日 栗東坂
52秒1-38秒3-25秒5-13秒0 強め
武豊が手綱を取って、余力残しで別掲の時計なら合格だ。道中の折り合いになんの問題もなかったし、ひとことでいえば“好調”だ。ただ、前2戦と比べてどこかが特によくなったかというと、それはない。悪くはないが、絶好調でもないといっておく。
鈴木和幸
競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。
日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。
著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。
鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/
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