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【香港チャンピオンズデー2023】レース展望②クイーンエリザベス2世カップ

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【香港チャンピオンズデー2023】レース展望②クイーンエリザベス2世カップ | コラム | ウマニティ

クイーンエリザベス2世カップ
チャンピオンズデーのメインレース、クイーンエリザベス2世カップの展望に移ります。このレースの前にチャンピオンズマイルが発走するのですが、日本馬不出走のために発売もされなければ、放送もないようです。世界最強のマイラー、ゴールデンシックスティがどんな勝ち方をするのか、日本でも少なからぬ競馬ファンが関心を寄せていることと思いますが、海外競馬の発売は日本馬出走を前提とする競馬法の規定で発売することが出来ません。悪法もまた法なり、と言いますが法律に不磨の大典はなし!一刻も早く改正されることを望むばかりです。

このレースの出走馬は僅か7頭。コロナ禍が明けたというのにコロナ禍当時の2020、21年と並ぶ最小出走頭数となってしまいました。というのは香港に史上最強の中距離馬が誕生しつつあるからです。その名もロマンチックウォリアー。昨季の香港4歳三冠シリーズで香港クラシックマイル(シャティン芝1600m)、香港ダービー(同2000m)の二冠馬です、ダービーの後は昨年季のこのレースをぶっこ抜き、昨年の香港カップも2分を切る快時計で快勝。同一年に香港ダービー、クイーンエリザベス2世カップ香港カップを勝ったのは長い香港競馬の歴史の中でもロマンティックの前にはヴェンジャンスオブレイン、デザインズオブロームの2頭しかいません。

そのロマンティックはこのレースで香港競馬に新たな1ページを開こうとしています。シャティン芝2000mの国際G1 3連覇です。そして、その可能性は限りなく高い、と断言できましょう。
昨年の香港カップの後は世界のマイル王、ゴールデンシックスティとスチュワーズカップで激突し惜しくも2着に敗れました。このレースにはロマンティック同期のライバルで、香港クラシックカップを勝ってロマンティックの三冠を阻んだカリフォルニアスパングルも出走。この3頭が一堂に会する最初で最後のレース、コロナによる入境制限も解除されたばかりだったので、私も3年ぶりに香港まで駆け付け、ゴールデンの強さに敗れたとはいえ、ゴールデン得意のマイルで直線交わされながら1馬身差まで粘り切ったロマンティックの強さを再認識させられました。

この後は得意の2000m戦、香港ゴールドカップでゴールデンを迎え撃ち、単勝1.5倍と堂々の1番人気に押されました。スチュワーズカップ同様に2、3番手から直線先頭に立とうとするところを後ろから来たゴールデンに交わされましたが、着差は頭差まで詰めたのです。親しい沈集成調教師はオンとオフをはっきりを分けた調教が得意で、香港カップ後の2戦は明らかにクイーンエリザベス2世カップを意識した作り。ここ本番に向けて万全の態勢。このレースの焦点はロマンティックがどれだけ着差をつけて勝つか、その一点にあります。

日本馬3頭では昨年の香港カップでロマンティックの2着と好走したダノンザキッドに一日の長あり。帰国後は復帰戦の中山記念は惨敗したものの、大阪杯ではジャックドールの2着ときっちり復調。ここを目指して万全の仕上がりです。香港到着後も早い時計こそ出さないものの本馬場を如何にも気持ちよさそうに走り抜けています。2歳のホープフルステークス優勝のあとはマイル、1800、2000と適距離を求めて12戦。昨年の香港カップ、前走大阪杯の2000mが適距離とようやく分かったようです。シャティン馬場を知り尽くした香港の中国人騎手、C.ホーを鞍上に迎えたのも大きな加点材料です。

ダノンに続く、いや、並ぶのは英国代表のドバイオナーです。イギリス、フランス、ドバイにオーストラリアと飛び回るG1馬。前走、前々走とオーストラリアでG1を連勝。特に前走はクイーンエリザベスSを快勝。昨年9月、英国エリザベス女王が逝去。オーストラリアで女王の名を冠したドバイオーナーが香港で同じ名を冠したこのレースに向かってきたのは神のお告げを感じざるをえません。

昨年秋、日本のエリザベス女王杯でG1クイーンの座を射止めたジェラルディーナもドバイオーナーと同じく英国女王の見えざる手を感じます。母ジェンティルドンナと違って晩成だったのは香港と大の得意とした晩成の父モーリスから来るものなのかもしれません。有馬記念で3着と好走し、休み明けの大阪杯は0.6秒差の6着でしたが、これはここを見据えて作り。父は香港マイルチャンピオンズマイルを勝ち、ラストランでは2000mの香港カップを勝っています。父が有終の美を飾った同じシャティン2000mの舞台で、その晩成の血が爆発することに期待が高まります。

プログノーシスは5歳ながら体質的に弱かったため、ここまで僅か8戦。前走の金鯱賞でついに重賞ウィナーの仲間入り。ようやく本格化できました。実績はダノン、ジェラルには及びませんが、ポテンシャルは上記2頭を上回るものがあります。また、鞍上に香港リーディングのZ(ザック).パートンを迎えました。ザックはロマンティック騎乗のチャンスがありながら、プログノーシスを選んだと香港では伝えられているので、昨朝本人に確認したところ、「早い段階で騎乗依頼が来たんですぐに快諾したんだよ。レース映像を見たけどいい馬。上位に持っていくよ」と頼もしい返事が返ってきました。

トゥールビヨンダイヤモンドマネーキャッチャーの香港2騎は、ここでは家賃が高すぎます。前走マイル戦でカリフォルニアスパングルに2着と迫り、前々走ではあのゴールデンシックスティの3着と健闘したマネーキャッチャーには日本では発売されず香港では発売されている4連単の4着ヒモの魅力はありますが、日本の馬券では用なし。

勝負はロマンチックウォリアー1着固定の3連単!ロマンチックの一本かぶりだけに、どこまで買い目を絞り込めるのか、それが勝負の分かれ目です。あと一日、じっくり検討させて下さい。日曜の公開をお楽しみに!

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港チャンピオンズデー2レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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