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伊吹雅也のPOG分析室 (2021) ~第3回 入札分析~

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 先週からJRAは夏季競馬に突入。2歳のレースも始まり、新シーズン「ウマニティPOG 2021」が本格的にスタートしました。“開幕週”に勝ち上がりを果たしたのは、クラウンドマジック(クラウンドジャックの2019)、コマンドライン(コンドコマンドの2019)、ブレスレスリー(ハッシュの2019)、クレイドル(オーマイベイビーの2019)、ビーオンザマーチ(ヴィクトリーマーチの2019)の5頭。獲得に成功した仮想オーナーの皆さん、おめでとうございます。

 進行中の第2回入札や来週以降に向けての指針とすべく、現時点における「ウマニティPOG 2021」の戦況を、さまざまな角度から分析してみましょう。まずは先週末の開催が始まる直前の時点を対象とした、注目POG馬ランキング(「2021年06月05日01:00更新」分)の上位100頭をご覧ください。










 毎年のことではありますが、今年も中心はノーザンファーム生産馬。上位15頭のすべて、さらに上位42頭のうち38頭を占めていました。第1回の「POG的データ分析」にもある通り、3歳クラシック戦線の中盤までにおける勝ち馬率や1頭あたり賞金を見る限りだと、やはりノーザンファームは頭ひとつ抜けた存在。余程のことがない限り、こうした傾向は今後も続いていくはずです。
 ちなみに、注目POG馬ランキングの上位100頭を種牡馬別・生産者別・調教師別に集計した結果がこちら。



 生産者のカテゴリに比べると、種牡馬のランキングは思いのほかバラエティに富んだラインナップとなっています。トップのディープインパクトは、2位のロードカナロアにダブルスコアの差をつけていたものの、シェアで言えば2割程度に過ぎません。圧倒的な実績に加え、現2歳世代が実質的な“ラストクロップ”であることを考えれば「意外と人気は集中しなかった」と言って良いんじゃないでしょうか。この状況をどう解釈するかが、第2回やそれ以降の入札におけるひとつのポイントとなりそうです。
 なお、調教師別のランキングでは友道康夫調教師がやや抜けたトップに君臨していました。こちらも第1回の「POG的データ分析」で示した実績を考えれば、極めて妥当なところ。デビューがそれほど早くなさそうな馬、いわゆる“POG本”等で大きく取り上げられていない馬を含め、今後もひと通りチェックしておいた方が良いかもしれません。

 注目POG馬ランキングの上位25頭については、ワールドごとの第1回入札状況もご覧いただきましょう。




 スペシャル(SP)ワールドやG1ワールドの落札価格、そしてG2ワールド・G3ワールド・オープン(OP)ワールドの落札価格中央値からは、よりリアルな“人気”の状況を読み取ることができます。
 今年はコリエンテス(イスパニダの2019)とコマンドライン(コンドコマンドの2019)に注目が集まっている模様。ご存知の通り、コマンドラインはデビュー戦となった6月5日の東京05R(2歳新馬・芝1600m)を単勝オッズ1.1倍(1番人気)の支持に応えて完勝しました。一方のコリエンテスも、6月2日にゲート試験で合格を果たしたとのこと。仮想オーナー募集枠が順次解放されるスペシャルワールド以外の各ワールドでは、第2回以降の入札でも熾烈な争奪戦が繰り広げられそうです。
 なお、この2頭を除くと、G2ワールド・G3ワールド・オープンワールドにおける落札価格中央値がもっとも高かったのは、ロードクロサイトの2019。全兄に2020年3歳牡馬クラシック三冠馬のコントレイルがいます。早期デビュー組やノーザンファーム生産馬をあえて避ける作戦なら、自然とこのあたりが第一候補になるのでしょう。以上の3頭をラインナップに加えたいと考えている(スペシャルワールド以外の)プレイヤーは、相当な覚悟をもって今後の入札に臨まなければなりません。

 大きな節目のひとつである開幕週が終わったとはいえ、まだまだ「ウマニティPOG 2021」は始まったばかり。今回ご紹介したデータも参考に、今後の指名戦略を検討してみてください。

■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)

 埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』で「データ分析」のコーナーを、TCKホームページ内『データ&コラム』で「分析レポート」を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラムなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『コース別 本当に儲かる血統大全 2019-2020』(ガイドワークス)、『ウルトラ回収率 2019-2020』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)、『コース別 本当に儲かる騎手大全2018秋~2019』(ガイドワークス)など。POG関連メディアの制作にもさまざまな形で携わっており、「ウマニティPOG 2014」では最高位クラスのスペシャルワールドにおいて優勝を果たした。

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