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先週は豪華メンバーのマイルチャンピオンシップが行われた。
当日の阪神芝は前日以上にインが有利。レシステンシアが内枠からスンナリ単騎の逃げを打ったことで、レース全体も先行イン有利の決着となった。
その中で絶好位につけて抜け出して来たのは人気のグランアレグリア。道中の折り合いを心配したが結果的には全く問題なく、直線少し前が詰まるシーンもあったが、体勢を立て直してからの脚の鋭さには目を見張るものがあった。まさに完勝。不安要素もあるとみて最終的な評価は3番手に下げたが、終わってみればとんだ見立て違いだった。
レースの明暗を分けたのは展開だ。当コラムで、「恐らくレシステンシアの逃げはそれほどハイペースにはならず流れは落ち着く可能性が高い」と書いた通り、落ち着いた流れになったことで、外を回った馬はほぼノーチャンスだった。
レシステンシアの北村友騎手に「もっと飛ばして欲しかった」という意見も見られたが、そもそもレシステンシアはこれまで実質的なハイペースで逃げたことはない。阪神JFは確かにそれなりの流れだったが、隊列はスンナリ、前走で1400mを使われていたことで、馬なりでもそれなりのスピードを発揮しただけのことだ。
北村友騎手は馬の気持ちを重視する「馬なり系」のジョッキー。強引に飛ばすような逃げはまずしないので、その特徴通りだった。騎手の特徴を知っておけば、無茶な期待をすることはない。逆に騎手の特徴を知らないままだと、何でもっと違う乗り方をしないんだと、不満ばかりが溜まっていく。納得いかない騎乗があったら、文句を言う前にその騎手について調べた方が良い。
(騎手の動き・特徴については『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』を読めばわかるようになります)
…と偉そうに語ってしまったが、私の本命は◎サリオスだったので、何も言えないのが悔しい。
~意外とスンナリ決まらない”3強”のG1レース
さて、今週末はこの秋屈指の、いや、21世紀屈指の好カード・ジャパンカップが行われる。
2年前の3冠牝馬にして8冠馬のアーモンドアイに、3歳牡馬牝馬の無敗の3冠馬コントレイル&デアリングタクトの激突。この対決は海外遠征があまりできないコロナ禍がもたらした面もあり、今後も恐らく観ることのないドリームマッチとなりそうだ。
こういったレースは得てして馬券的には面白くないケースもあるが、今年はなかなか伏兵陣も充実している。昨年の香港ヴァーズを制し、前哨戦の京都大賞典をステップに臨むグローリーヴェイズ、2年前の2着馬で近走は復調気配を感じる古豪のキセキ、昨年の2着馬でオールカマー2着からココに臨むカレンブーケドールなどなど、通常ならば人気の一角を占めそうな有力どころが参戦。サートゥルナーリアの故障回避は残念だが、それでも十分豪華なメンバーと言えるだろう。
ちなみに、3強対決は今年のG1でも複数回見られるが、3頭での決着はほとんど見られない。3強の定義をどうするかが難しいところだが、仮に、
1、1番人気馬が2倍以上
2、2~3番人気が5倍程度までで拮抗
3、4番人気が10倍超程度と上位3頭から離れている
以上を3強を定義すると、条件にほぼ収まる今年のG1レースは以下の4度あった。
皐月賞
2.7倍 コントレイル →1着
3.6倍 サトノフラッグ →5着
3.8倍 サリオス →2着
(4番人気ヴェルトライゼンデは13.0倍)
天皇賞(春)
2.0倍 フィエールマン →1着
5.0倍 ユーキャンスマイル →4着
5.3倍 キセキ →6着
(4番人気ミッキースワローは11.9倍)
宝塚記念
2.4倍 サートゥルナーリア →4着
4.1倍 クロノジェネシス →1着
4.9倍 ラッキーライラック →6着
(4番人気ブラストワンピースは9.9倍)
スプリンターズS
2.2倍 グランアレグリア →1着
3.9倍 モズスーパーフレア →10着
5.1倍 ダノンスマッシュ →2着
(4番人気レッドアンシェルは13.3倍)
結果はご覧の通り、3強での決着は皆無だ。
さらに遡っても、3強っぽいオッズはしばしば発生しているが、驚くほどその3頭で決まることはない。それらしい決着でいうと2017年の朝日杯だろうか。
2.3倍 ダノンプレミアム →1着
3.9倍 タワーオブロンドン →3着
5.3倍 ステルヴィオ →2着
(4番人気ダノンスマッシュは8.7倍)
オールドファンなら、マヤノトップガンが差し切り、以下サクラローレル→マーベラスサンデーで決まった1997年の天皇賞(春)などが3強対決&3強決着として思い浮かぶかもしれないが、近年は意外なほど一筋縄では収まっていない。
もし人気の3冠馬3頭で決まったらごめんなさいだが、馬券的には3頭のうち2頭くらいが馬券に絡み、1頭は別の組が入る…というような買い方が面白いのではないか。
例えば軸馬Aから、3強の残りBCを2列目に、3列目にはあえてBCを入れずに買うというような組み方は効率も良く、期待値も大きいように思う。
~ジャパンカップの有力馬&穴馬
というわけで、最後は3強のなかで最も有力と考える馬と、3強以外の伏兵候補を1頭挙げておきたい。
・コントレイル
菊花賞は外が有利な馬場状態の中での内枠。スピード豊富なこの馬には、馬場も枠も厳しい条件だった。それでもアリストテレスに詰め寄られながらも退けたのは地力の高さゆえ。東京芝2400mに替わるのは間違いなくプラスで、レースセンスも高く不発リスクの少ないタイプ。3強の中でも最有力とみる。
・ユーキャンスマイル
かなり人気は落ちそうだが侮れないのがユーキャンスマイル。前走のアルゼンチン共和国杯は馬場の悪い内を通らされたことと久々が敗因で、悲観するものではなかった。昨年は内が伸びるレースだったジャパンカップだが、その中で外からよく伸びていたし、左回りの長丁場はベスト。今年は昨年よりも外が伸びる馬場になる可能性が高く、岩田騎手の決め打ち的な騎乗がハマれば怖い存在になりそうだ。
※週末の重賞の結論は、『TAROの競馬』にて一部無料公開予定。また、馬券の買い方や券種の選び方なども含めた結論は、競馬ノートにて限定配信の予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。
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~意外とスンナリ決まらない「3強」のG1レース
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意外とスンナリ決まった『3強対決』
でした…