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春のグランプリ宝塚記念は、紅一点リスグラシューの圧勝で幕を閉じた。先週の当コラムにおいて、
「開催後半特有のタフな馬場になりスタミナを問われる展開になれば8枠に入ったスワーヴリチャードやリスグラシューといった面々の差しが怖くなる」
と書いた通り、◎スワーヴリチャード、○リスグラシューという最終結論としたが、馬場はタフながらもリスグラシューは想定より前での競馬となった。好スタートを切ったあとの咄嗟の判断はさすがレーン騎手といえるだろう。もっとも、タフな馬場で外がやや有利だったからこそ外枠勢が先行しやすかった面もある。宝塚記念は一見すると先行有利の単純な前残りだが、実際のところは馬場状態の影響を大きく受けており、単純な先行有利というよりは、やや外有利の先行有利という決着だった。そういう観点からみると最内枠から馬場の悪いところを押し上げて逃げ、それでいて2着に粘ったキセキは評価できる。
秋はそれぞれ国内、海外と路線が分かれそうだが、今後に楽しみが広がる一戦だった。
~ほぼ半分のレースを勝利! 勢いを加速するノーザンファーム生産の2歳勢
さて、今週末からは3場ともローカル開催となり、それに伴い2歳戦線も本格化する。2歳新馬戦のスタートから1ヵ月が経ったが、ここまでの傾向をざっくり振り返り今後の傾向と対策を練りたい。
まず目立つのは、もはや見慣れた光景となってしまったがノーザンファーム勢の大攻勢である。先週までのひと開催で27レースの2歳新馬・未勝利戦が行われたが、そのうちなんと13レースでノーザンファーム生産馬が勝利している。好走率も凄まじいものがあり、延べ38頭が出走し13勝、2着4回、3着8回…3着内率はなんと67.6%、つまり3頭出走すれば2頭以上が馬券に絡んでいることになる。
当然人気になることも多いのだが、それでもベタ買いでの回収率は単勝184%、複勝121%という驚異的な成績だ。以上をまとめると、
「今年の2歳戦線においてノーザンファーム生産馬は3回に2回以上馬券に絡み、さらに単複を黙って買い続ければ儲かる」
という恐るべき状況となっているのだ。
さらに恐ろしいのはノーザンファーム生産馬の中でもシルクレーシングの所属馬だ。ここまでなんと6頭出走して6戦全勝、パーフェクトなのだ。当然人気馬が多いのだが、6頭の中には10番人気でダートの新馬戦を制したヴィンカマヨールもいるので、単勝回収率は800%超という恐ろしいことになっている。
もちろんこれは出来過ぎだろうが、日本競馬を席巻するノーザン帝国の勢いは留まることを知らないどころか、さらに加速している…ということは頭に入れておきたい。
~注目の新種牡馬はリアルインパクト!
もうひとつ、個人的に気になるのが種牡馬の動向だ。2歳戦の種牡馬成績を見ると、ディープインパクト産駒が3頭出走し3戦全勝とキッチリ結果を出している。ただこれはある意味見慣れた光景で、むしろそれ以外に目立つのが新種牡馬、キズナ&リアルインパクト産駒たちの活躍である。
キズナ産駒はここまで12頭が出走し2勝、6頭が馬券に絡む活躍を見せている。全体に素軽いスピードのある産駒が多く、仕上がり早で新馬向きの印象を受ける。走りも軽いのでこれから夏のローカル平坦コースでさらなる活躍が見込めるのではないか。2歳新馬&未勝利でのキズナ産駒は要注意だろう。もっともスケールという点では多少小粒な印象もあるので、勝ち上がりは増えても2勝目に関しては苦労する産駒が増えるかもしれない。
一方、同じく2勝ながらもキズナ産駒以上に面白いなと感じさせるのがリアルインパクト産駒だ。これまでラウダシオン、トライフォーリアルという2頭の勝ち馬を輩出しているが、産駒は総じてセンスが良く、走りに力強さもある。血統的にも、また走りからも距離に限界はあるだろうが、夏の2歳重賞や、秋の京王杯2歳S、ファンタジーSといった特にマイル以下のレースでの活躍が見込めそうだ。恐らくG1というよりはトライアルに強いスピードタイプで、場合によってはダートもこなせそう。研究されると妙味もなくなってくるので、今のうちから是非馬券を仕込んでおきたい。なお、産駒の中で特に狙いをつけるとすれば、やはりノーザンファームや社台ファームの生産馬ということになる。
なお、これからしばらくはローカルでの開催が続く。基本的に溜めて末脚を生かす形が得意なノーザンファーム勢は中京や新潟外回りといった条件で狙い、小回りやダートではマイネルやミルファームといった勢力の巻き返しに期待してみるのも面白いかもしれない。
~馬場を見てから考えたい今週末の重賞
さて、今週末は福島でラジオNIKKEI賞、中京でCBC賞が行われる。正直なところどちらも天候がまだ読めない面もあり、加えて開幕週で馬場状態も不透明だ。したがって現時点で下手なことは書けないが、馬券的に面白そうなのはフルゲートとなったラジオNIKKEI賞だろうか。
人気を集めそうなヒシイグアスは、デムーロ騎乗のハーツクライ産駒で小回りへの適性は微妙な気もするだけに、波乱の期待も高まる一戦だ。基本的には内枠勢、立ち回り型が優勢な一戦だけに、迷ったら内重視の狙いを立ててみたい。現時点では小回り1800mに替わるインテンスライト、福島コースに実績のあるダディーズマインドあたりは、人気がなければ面白そうかなと思うが、頭を悩ます週末になりそうだ。
※一部重賞の最終結論は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開します。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)。2018年12月14日には最新刊『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)をリリース。
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