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【TAROの競馬研究室】カレンブーケドール、現代競馬だからこそ超人気薄だった説/日本ダービーの展望

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【TAROの競馬研究室】カレンブーケドール、現代競馬だからこそ超人気薄だった説/日本ダービーの展望 | コラム | ウマニティ

桜花賞グランアレグリアが不在、混戦模様となったオークスだが、勝ったのは忘れな草賞を経由して参戦したラヴズオンリーユー。道中は中団の外目を追走、直線も外から鋭く伸び、早め先頭のカレンブーケドールを最後に差し切った。無敗でのオークス制覇は2006年カワカミプリンセス以来13年ぶりの快挙、秋以降の大きく展望が広がる一戦だった。

一方2着カレンブーケドールは12番人気の伏兵。スイートピーS勝ちという地味なローテも敬遠された理由だろうが、津村騎手の強気な脚を余さない騎乗が馬のポテンシャルを最大限に引き出した印象だ。陣営の綿密な戦略が功を奏したレースでもあった。

現代競馬はオッズが渋い、穴馬だと思った馬が意外と人気になる…しばしば言われる。だが、オッズの構造上盲点は必ずある。今回の2着カレンブーケドールなどは、むしろ現代競馬だからこそ人気になりにくかったと言えないだろうか。昨年のダービーで大穴を出したコズミックフォースもそうだが、かつての競馬ではシンプルにトライアル勝ち馬…ということでそこそこ人気になっていたのだが、今は綿密な分析によりむしろそのような単純な構造では人気になりにくい側面があるように思われる。


~スイートピーS組は年々人気になりづらくなっていた

上記の考察を仮に、

カレンブーケドール、現代競馬だからこそ超人気薄だった説』

としよう。その仮定のもとに過去のデータを少し調べてみたい。ちょうどキリが良いので2000年以降、今年までの20年間のオークスを振り返ってみる。すると明確な傾向が出る。

過去20年のオークスにおいて、スイートピーS1着から参戦した馬の人気の傾向を見ると、以下のような偏りが見られた。

◆スイートピーS1着馬のオークスでの平均人気と単勝オッズ

2000~2010年 7.8番人気 25.7倍
2010~2019年 10.9番人気 58.4倍

ご覧の通り、このデータを見る限りは「近年のスイートピーS勝ち馬は人気になりにくい」ということが明確に示されている。

もちろん、このようなデータには偏りがある場合がある。例えば18番人気で単勝300倍…のような馬が一頭でもいると、その一頭がデータの平均値に対して過剰な影響を与えてしまうことだ。

そこでもう少し詳細を見ていくことにしよう。スイートピーS勝ち馬のうち、オークスでの単勝オッズの大きい方から順番に並べたランキングだ。結果は以下の通り。

1位 2014年 シャイニーガール  単勝112.4倍
2位 2019年 カレンブーケドール 単勝 94.1倍
3位 2018年 ランドネ      単勝 80.8倍
4位 2013年 リラコサージュ   単勝 55.0倍
5位 2001年 シェリルウーマン  単勝 52.8倍

これを見ても、ランキング上位の多くは過去20年の中でも最近の出走馬で占められている。もちろん個別の馬のポテンシャルや状況などその年ごとの事情の違いはあろうが、ザックリとスイートピーS勝ち馬はかつてより人気になりづらくなっているということが証明される。

つまるところ、

カレンブーケドール、現代競馬だからこそ超人気薄だった説』

は、真実味があるいうことだ。

無論、だから来年もスイートピーS組を買えば良いという単純な話ではないかもしれない。ココで言いたいことは、現代競馬におけるオッズの盲点、人気になりづらいゾーンやシチュエーションは必ず存在する、そのヒントの一つが今回見られた…ということだ。

願わくば、私自身カレンブーケドールを買った上でこれらのことを言えたならより説得力があったのだろうが…。それは次回以降の課題としよう。

いずれにしても、競馬はギャンブルであると同時に長年蓄積され続けた試行と結果の学問でもあるので、そういう考えで競馬を見つめた時、今回のカレンブーケドールの人気薄での激走は何がしかのヒントにはなるはずだ。


日本ダービー展望

散々長い前置きとなったが、今週末は競馬の祭典・日本ダービーである。ダービーの100円も未勝利の100円も同じ100円という考え方もあるが、それを言っちゃぁ無粋というものだろう。やはりダービーはダービー、特別な100円を賭けると思って臨みたい。

もっとも今年に関して言えば馬券的にはオークスよりも堅い可能性が高いか。巷で言われる1強+2頭、あるいは3強という構図に大きな狂いはなく、サートゥルナーリアヴェロックスダノンキングリーの3頭はそれなりに強力で、何より今年の場合はその他の路線のレベルが低いので、より力差を感じさせるメンバー構成となっている。木曜日に枠順が決定したが、とりあえず3頭とも大外枠のような極端なところは避けることができ、第一関門を突破というところだろうか。

ただ、競馬はそう簡単に3頭で決まるかといえばそうでもなく、例えばスペシャルウィークキングヘイローセイウンスカイの3強とみられた1998年の日本ダービーでは2着にボールドエンペラー、3着にダイワスペリアーというともに単勝100倍超の人気薄が入ったように、伏兵台頭の余地も考えておきたい。

個人的に考えるサートゥルナーリアの不安はやはり乗り替わりだろう。長きに渡る平成の時代を振り返っても、乗り替わりでのダービー制覇は一頭もいない。1985年…つまり昭和60年のシリウスシンボリが最後だ。さらにテン乗りでのダービー制覇となればなんと65年も前の出来事となる。もはや歴史である。

レーン騎手は短期免許取得後、最初の週に重賞を制し、僅か3週間の間にG1/G2/G3とすべてを買ってしまったほどの腕達者ではあるが、サートゥルナーリアにとって乗り替わりはやはりマイナスだろう。詳細を話すと長くなるので割愛するが、サートゥルナーリアはレーン・スタイルが大きなプラスになるタイプの馬ではないように思える。

そこで現時点で逆転候補筆頭と考えているのは、やはりダノンキングリーヴェロックスの2頭だ。どちらか1頭…というならダノンキングリーだろうか。皐月賞では3着に敗れたものの、直線はインを突き、やや踏み出しの遅れる場面が見られた。距離に関して言えば2400mがベストとは思えずむしろ長いくらいだが、近年のダービーや今年の馬場状態を考えると、正直なところスタミナよりも器用さやスピードの方が重要に思える。

ただ、圧倒的人気の3強をそのまま買うのも…という場合は、広く言われる通り枠順はひとつの参考材料だろう。過去10年、6番人気以下の伏兵馬が3着以内に入ったのは合計8頭だが、そのうち6頭までが7番枠より内枠を引いていた。ちなみに、10番枠から3着のアントニオバローズは、2009年の不良馬場施行の際の記録だ。

もっとも、今年の出走馬を見渡すとあまり内枠に買いたい馬がいないんだよなぁ…とも思えるだけに、もう少し頭を悩ます週末となりそうだ。何はともあれ、皆さん良いダービーを。


日本ダービーの最終結論は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開します。


○TARO プロフィール

大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)。2018年12月14日には最新刊『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)をリリース。

このコラムへのコメント

TERAMAGAZINE|2019年5月25日 6:22 ナイス! (0)

乗り替わりでのダービー制覇は一頭もいない。

1985年…つまり昭和60年のシリウスシンボリが最後だ。

さらにテン乗りでのダービー制覇となればなんと65年も前の出来事となる。

もはや歴史である。

【TAROの競馬研究室】より

https://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=11626

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