最新競馬コラム

【TAROの競馬研究室】馬の個性がわかれば予想する楽しみも広がる/ヴィクトリアマイル展望

 2,984

【TAROの競馬研究室】馬の個性がわかれば予想する楽しみも広がる/ヴィクトリアマイル展望 | コラム | ウマニティ

NHKマイルCは断然人気のグランアレグリアが4位入線(5着)と期待を裏切り、デムーロ騎乗のアドマイヤマーズが制した。最近はルメールの勢いに押され気味でやや影が薄くなっていたデムーロだが、久々にG1の大舞台で一矢報いた形だ。

一方のルメールは、直線での走行妨害により騎乗停止処分。「短期間に同様の不注意騎乗を繰り返し行ったことを考慮」され、ダービーDAYまでアウトという厳しい決定が下された。我が世の春を謳歌していたルメールだが、まさに一寸先は闇、勝負事の流れの恐ろしさを感じたレースでもあった。

レース自体に話を戻すと、前日の雹と雨による馬場の悪化が日曜の馬場に大きな影響を及ぼしたように感じた。そこまでフラットで推移していた東京芝コースだが、先週の日曜は外が有利。9Rに施行されたNHKマイルCと同じ芝1600mの湘南Sでは、1~5着までの馬番が、

「10番/12番/15番/16番/14番」

と、外枠勢が上位独占。それぞれの馬の人気を見ても、

「4番人気/3番人気/11番人気/10番人気/13番人気」

と、人気薄勢が台頭しており、明らかに外が有利の偏りが発生していた。

それを踏まえれば、NHKマイルCの17-18という外枠決着にも納得がいく。改めて、馬場は生き物だなと感じさせられる結果でもあった。


~”お手馬”を持つことのメリット

G1戦線真っただ中であるが、今回は騎手ではなく”馬”の話をしてみたい。先週はG1以外でも個人的に注目している個性的な馬たちが出走していた。騎手の特徴を掴めば馬券を獲りやすくなるのと同様に、馬の特徴を把握しておく…いわばお手馬のような存在がいると、それだけで随分と馬券を当てやすくなる。何より、馬の個性を把握することは、競馬予想の楽しみをより広げてくれるはずだ。

先週からご紹介したい馬は2頭いる。1頭目は、土曜の京都5R・3歳500万下を制したアッシェンプッテル(父バトルプラン)だ。

このアッシェンプッテルは新日高産の3歳牝馬、しかもバトルプラン産駒ということでプロフィールはかなり地味。しかしながら、そのレースぶりはデビュー以来かなり目立っており、強いというよりは派手なタイプだ。派手…というと競馬においては良いことばかりではなく、逆に派手さゆえに過剰人気になることもしばしばであるが、本馬の場合はまだその気配はない。

デビュー以来4戦2勝3着1回という優秀な戦績ながら、すべてが6番人気以下という馬券孝行(?)な存在だ。そのレースぶりも豪快のひと言で、初勝利を挙げた昨年の京都ダート1800mの未勝利戦では4コーナーで既に絶望的な位置から、次点を0秒9上回る圧倒的な末脚で差し切り勝ち。先週のレースでもやはり前半は最後方の位置から、次点を1秒0上回る圧倒的な末脚で差し切ってみせた。

レースぶりからはいかにも安定感が感じられないが、追っての伸びは秀逸で、地味な存在ながらまだ先がありそうな予感がする。こういった一芸に秀でた馬は今後も穴をあける可能性が高いので覚えておいて損はないだろう。

もう一頭はトーセンアミという現在3歳未勝利の馬だ。もっともこの馬の場合はその強さではなく、むしろ人気での不甲斐なさに注目したい。デビュー以来7戦して2着4回3着1回を誇るが、結局勝ち切れずに今に至っている。しかも、社台ファーム産のオルフェーヴル産駒というプロフィールは未勝利の中では光るものを持つだけに、直近5戦はすべて1番人気に支持されていた。

本馬のレースぶりを見ていると、とにかく手応えが良くても直線で追ってからの頼りなさが目立つ。いわゆる「追って味がない」というタイプだ。しかし前述のプロフィールの良さや上位争いを続けている着順の良さから人気は常に集めているので、他の馬の馬券が美味しくなることが多い。特に本馬が出走した直近4戦はいずれも単勝10倍以上の馬が制しており、他の馬の馬券妙味を上げる人気吸い取り馬となっている。

この時期の未勝利戦はかなりレベルが下がってきており、トーセンアミのような勝ち切れないタイプは、特にアタマの馬券で勝負するのは賢明ではない。これまで勝ち切れなかったことにはそれなりの理由があるわけで、そういった馬が人気している場合は、むしろ他の馬の馬券が美味しくなるという視点で考えるようにしたい。

たった一頭の馬の個性を覚えておくだけでも、競馬予想の楽しみはかなり広がる。加えて、ただ漠然と新聞を広げて予想を始めるよりも、考え方の”起点”ができているので予想の組み立てもしやすくなるはずだ。


ラッキーライラックの敗戦で混戦模様のヴィクトリアマイル

さて、今週のメインは古馬牝馬のマイル王決定戦・ヴィクトリアマイル。2015年には2千万を超える超高額配当が飛び出したこともある、波乱含みの一戦だ。今年はハイレベルな中山記念で2着と好走したラッキーライラックという主役がいたが、前哨戦となる阪神牝馬Sでは単勝1.5倍の支持を集めながら8着に敗れ、一転して混戦模様となっている。

ポイントは前哨戦のレベルだろうか。昨年同様に今年も阪神牝馬Sに好メンバーが揃っていた印象で、そこでの敗戦組の巻き返しが怖い。

特にレッドオルガは阪神牝馬Sでラストよく伸びていたし、何より東京1600mは走るので期待したい一頭だ。ただ本稿締め切り間際に入ってきた枠順発表で、1枠2番という微妙な枠順に決定したのは気掛かりだ。また、血統的なこともあまりに広く知られ過ぎてしまい、もはや妙味も何もなくなっているのも少々買いづらくしている印象も…。

穴で面白そうなのはミエノサクシード。前走は前述したハイレベルな阪神牝馬Sで3着と好走しており、年明けの京都金杯では牡馬相手に3着と健闘している。既に6歳馬ながらまだ成長している印象すらあり、近走成績の割に人気もなさそうだ。

いずれにしても先週のNHKマイルC同様に東京芝1600mが舞台となるので、馬場状態を見極めてから結論を出そうと考えている。



ヴィクトリアマイルの最終結論は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開します。


○TARO プロフィール

大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)。2018年12月14日には最新刊『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)をリリース。

このコラムへのコメント

TERAMAGAZINE|2019年5月11日 23:33 ナイス! (0)

我が世の春を謳歌していたルメールだが、まさに一寸先は闇、勝負事の流れの恐ろしさ

関連競馬コラム

新着競馬コラム

人気競馬コラム

会員登録(無料)でできること

レース情報

今週の注目レース

3月24日()
高松宮記念 G1
マーチS G3
3月23日()
日経賞 G2
毎日杯 G3

⇒今週の番組表へ

先週のレース結果

3月17日()
阪神大賞典 G2
スプリングS G2
3月16日()
ファルコンS G3
フラワーC G3

⇒先週の番組表へ

総賞金ランキング
JRA競走馬総賞金ランキング
4歳以上
1 ドウデュース 牡5
102,726万円
2 スターズオンアース 牝5
84,098万円
3 リバティアイランド 牝4
74,444万円
4 ディープボンド 牡7
67,569万円
5 ジャスティンパレス 牡5
65,388万円
6 シャフリヤール 牡6
59,685万円
7 タスティエーラ 牡4
57,005万円
8 ジャックドール 牡6
49,004万円
9 ソールオリエンス 牡4
48,668万円
10 セリフォス 牡5
46,879万円
» もっと見る

3歳
1 ジャンタルマンタル 牡3
13,291万円
2 アスコリピチェーノ 牝3
10,494万円
3 コラソンビート 牝3
9,942万円
4 シンエンペラー 牡3
9,128万円
5 レガレイラ 牝3
8,278万円
6 エトヴプレ 牝3
8,244万円
7 シックスペンス 牡3
7,287万円
8 スウィープフィート 牝3
7,286万円
9 コスモキュランダ 牡3
6,641万円
10 ダノンマッキンリー 牡3
6,168万円
» もっと見る