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【夏季特別企画】史上最強世代・最後の一冠『菊花賞の行方を占う』Vol.8「初の古馬相手に圧巻のノーステッキ!急成長するナムラシングンが打倒『BIG5』へ駆け上がる」─Gambling Journal ギャンブルジャーナル/2016.08.16
http://biz-journal.jp/gj/2016/08/post_1080.html
「今日はリズム良く走るだけだと思っていました。能力のある馬で、楽にいい勝ち方をしてくれました。今後が楽しみです」
13日(土)、小倉10Rの宮崎特別(1000万下)を勝った今年のダービージョッキーは、そう言って"相棒"の能力を絶賛した。一見、川田将雅騎手らしい落ち着いたコメントだが、改めてその意味を考えてみると、そこにはナムラシングンに対する「最大級の賛辞」が込められている。
「今日はリズム良く走るだけで『勝てる』と思っていました」
派手な言葉を嫌った川田騎手のコメントに隠された意味は、つまりはこういうことだ。ナムラシングンにとって、この日は皐月賞(G1)以来となる初の古馬との対決だったが、川田騎手はすでに「リズム良く走るだけで勝てる」と踏んでいたようだ。
確かにこの夏場に1000万下を使ってはいるが、ナムラシングンを「上がり馬」と呼ぶのは失礼なのかもしれない。初のG1挑戦となった皐月賞では7着に惨敗したが、前を走っていたのは『史上最強世代』を牽引する「BIG5」、そしてスプリングS(G2)の勝ち馬マウントロブソンである。
言い換えれば、レコードで決着するほどのハイレベルな皐月賞で、NHKマイルC(G1)2着のロードクエストや若葉S(OP)で後続を10馬身ぶっちぎるマッチレースを展開したアドマイヤダイオウらに先着を果たしている。紛れもない『史上最強世代』の「実力馬」だ。
そんなナムラシングンが1000万下に出走となれば、川田騎手がそう考えるのも当然か。冒頭で触れた通り、皐月賞以来の4カ月ぶりのレースで馬体重も+14kg。状態面がまだまだ本物でなかったことは明らかだが、そんなことは圧巻のレースを見れば「些細な問題」だったと述べざるを得ない。
どちらかといえばゲートに難のあるナムラシングンだが、この日は無難なスタート。4番人気のフロリダパンサーが引っ張る1000m通過が61.6秒の流れを、中団からやや後方に付けている。
圧巻だったのは3コーナーを回ってからだ。直線の長くない小倉ということもあって、後方から早めにまくりに出たナムラシングンだったが、休み明けのせいか加速がイマイチ。外からじわじわ進出するも、まくり切れずに4コーナーでは大外を回る最悪の形で直線へ。
しかし、そこからが完全に異次元の手応えだった。川田騎手がゴーサインを送ると、外から次々と前の馬をねじ伏せるように差し脚を伸ばすナムラシングン。最後は2着に2馬身1/2の差を付けてゴールしたが、結局一度もムチが入ることはなかった。
次のページ▶▶▶ 父ヴィクトワールピサも夏から……
単勝1.6倍すら"お得"に見える完勝劇。改めて『史上最強世代』のトップクラスの層の厚さを示すとともに、秋のG1戦線に向けてナムラシングンが再び"土台"を作った。
2年目を迎える父ヴィクトワールピサは皐月賞を勝ったものの、急成長したのはやはり3歳の夏だった。ニエル賞、凱旋門賞という世界トップクラスの戦いを経て、年末には有馬記念制覇。翌年にはドバイワールドC(G1)を制して世界の頂点に立っている。
そんな父と比較するのは酷かもしれないが、この宮崎特別は春より一回り大きくなったナムラシングンの大きな成長の跡が見て取れた一戦だった。
まだ菊花賞に進むかは定かではないが、マカヒキが凱旋門賞に出走するだけに川田騎手をこのまま確保できるかがポイントだ。世代を牽引する「BIG5」との差がどこまで縮まっているのか......秋以降に向けて、楽しみは膨らむばかりである。
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