グリーンセンスセラさんの競馬日記

同着で「11.5倍」が「2.2倍」に

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競馬で珍事「同着の時は、オッズがだいたい半分になる」は勘違いか......スズカフロンティアの単勝「11.5倍」的中のはずが、数分後わずか「2.2倍」の払戻しになった理由━━Gambling Journal ギャンブルジャーナル/2016年10月2日 11時44分 http://biz-journal.jp/gj/2016/10/post_1402.html

「単勝11.5倍的中」というのは、馬券的には"中穴"に該当するのではないだろか。しかし、その中穴を的中させた快感が、わずか数分後に"悲劇"に変わってしまう珍事が起きた。

 1日に行なわれた、阪神5Rの新馬戦のことだ。昨年のセレクトセールで1億9500万円(税抜き)と約2億円を記録した良血馬サトノアーサーのデビュー戦として注目を集めた一戦だが、その前評判通り人気はサトノアーサーが「単勝1.1倍」と圧倒的な支持を集めた。

 しかし、このレースの「主役」は1頭だけではなかった。

 最後の直線に入ってまず先頭に立ったのは、3番人気のスズカフロンティア。3番人気とはいえ、サトノアーサーが断トツの人気を集めていたので単勝は11.5倍もつく。スズカフロンティアの単勝を買っていたファンは、手に汗を握って応援しただろう。

 しかし、直線入り口では立ち遅れたサトノアーサーも、伊達に単勝1.1倍を背負った馬ではない。残り200mを切ったところで、ようやくエンジンが掛かると一完歩ごとにスズカフロンティアに迫る。

 最後は、後続を大きく突き放しての2頭のマッチレース。スズカフロンティアが粘り込もうとしたところに、ギリギリでサトノアーサーが並んだところがゴールだった。

 大勢は若干ながら前にいた分、スズカフロンティアが有利に見えたが、とても肉眼では判断できないほどの際どい勝負。数分の写真判定の後、現れた2頭の着差に「同」という字が刻まれた。

 つまり、このレースは「1着同着」で勝ち馬が2頭いたということだ。

●次のページ▶▶▶ 同着なら「オッズの半額程度」と思いきや

この判定にサトノアーサーの単勝を買っていた大勢のファンは胸をなで下ろしたであろう一方、下唇を噛んだのがスズカフロンティアの単勝を買っていたファンだ。結果は仕方ないにしても同着になってしまった以上、せっかくの単勝オッズが下がってしまうことは否めない。

 しかし、ここでスズカフロンティアの単勝を買っていた人の多くが「まあ、下がっても5、6倍程度だろう」と考えていたのではないだろうか。

 何故なら、競馬には同着が起きた場合「オッズは半分程度になる」というセオリーのようなものがあるからだ。

 実際に、今回と同じく「1着同着」となったレースでは2010年のオークス(G1)がJRA史上初のG1で1着同着レースとして有名だが、その時の勝ち馬がアパパネとサンテミリオンだ。

 ちなみに単勝オッズは前者が3.8倍、後者が8.5倍だったが、1着同着によって単勝的中が2通りとなり、最終的には前者が2.1倍、後者が3.8倍で払い戻されている。セオリー通り「半分程度」といえるのではないだろうか。

 この前例から推測すると、単勝11.5倍だったスズカフロンティアの最終的な配当は、やはり5、6倍といったところが妥当だろう。

 ところが蓋を開けてみれば、最終的なスズカフロンティアの単勝オッズは、わずか「2.2倍」。気持ちとしては、仮に1万円賭けていれば11万5000円から5、6万まで落ちたのが、最終的に2万2000円に急降下である。

●次のページ▶▶▶▶ 払戻金が急降下した明確な理由

 無論、「際どい勝負で当たっただけマシ」という考え方もあるが、さすがに納得できないと憤慨した人もいるのではないだろうか。何せ、"相方"のサトノアーサーの単勝は「1.1倍」のまま。

 見方によっては同着の"被害"をスズカフロンティアの単勝だけが一方的に被ったようにも見える。

 一体なぜ、このような珍事が起こったのだろうか。

「JRAの払戻しの計算式に基づくと、同着の場合に必ずしもオッズが半分程度になるとは限りません。1着同着で的中票数が合算されれば、それだけ配当も下がります。しかも今回の場合は、特にサトノアーサーの単勝の売れ方が圧倒的で、スズカフロンティアの最終的な単勝オッズは、その影響をモロに受けたといえます。11頭立てで2番人気のオッズが7.3倍ですから、おそらくサトノアーサーの単勝は『JRAプラス10』の対象にもなっていたのではないでしょうか」(競馬記者)

『JRAプラス10』とは、通常の払戻金が100円の"元返し"になる場合、JRAが配当に10円を上乗せするサービスのことだ。無論、例外もあるが、今回のサトノアーサーの単勝にも適用されていた可能性が高い。

 つまり、サトノアーサーの単勝は1着同着となる以前から本来であれば1.0倍の元返し、つまりは『JRAプラス10』の対象になるほど圧倒的に売れており、1着同着で改めて単勝オッズが計算し直された後でも、やはり『JRAプラス10』が適用されて再び1.1倍になったということだ。

●次のページ▶▶▶▶ サトノアーサーのしわ寄せが


言い換えれば、サトノアーサーの単勝は『JRAプラス10』の恩恵を100%いや、この場合"200%"受け、その「しわ寄せ」がスズカフロンティアの単勝に降り掛かったという可能性が高いようだ。

 それにしてもルール上仕方のないこととはいえ、単勝11.5倍が最終的に2.2倍になってしまうとは本当に気の毒だ。

 せめてスズカフロンティアが、今後も大きく出世することを祈りたい。

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