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【有本香の以読制毒】「新型肺炎」感染拡大! 中国人「旅行先1位」の日本、緩すぎる水際対策…後手後手の厚労省に怒り!

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空港での「隔離」一つできぬ理由━夕刊フジ / 2020年1月24日 17時16分 https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200124/for2001240002-n1.html

 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が止まらない。中国国営中央テレビによると23日未明までに、発症者は540人以上となり、死者は17人に拡大した。中国人が大移動する春節(旧正月)の大型連休(24~30日)を前に、武漢市当局は23日午前から、武漢を離れる航空機や鉄道の路線を停止し、地下鉄やバスも運行停止すると発表した。事実上の「武漢封鎖」で、同市在住の日本人500人以上の安否が懸念される。日本や韓国、米国などでも発症者が確認され、世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当するか検討しているが、日本政府の水際対策は緩慢で後手後手という。ジャーナリストの有本香氏が人気連載「以読制毒」で厳しく迫った。



 2週間前の本コラムで書いた「悪い予感」が的中しつつある。しかも、最悪のタイミングでだ。

 昨年末、中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎がいま、世界に広がる勢いを見せている。日本で1人、タイでの3人に加え、韓国、米国・シアトルでも患者が確認された。中国国内も、武漢から遠い各地で「新たに感染が確認された」と中国当局がようやく発表した。

 中国当局は22日午前、発症者は全国で計440人と発表したが、中国メディアによると23日未明までに540人以上に拡大。死者は22日午前の9人から17人に増えている。

 しかし、実際は、患者数、死者数ともにもっと多いのではないかと疑う声がある。筆者も素人ながらそう疑う一人だが、英国の研究チームが今週初め、発症者数は武漢市内で1700人超、多ければ4000人を超える可能性あり-と指摘していた。

 翻って、わが国政府はどうかというと、厚労省は現在、「情報収集と現状把握で手いっぱい」だと側聞する。ネット上では昨年末から、「パンデミック(爆発的感染拡大)」を心配する声があったにもかかわらず、1カ月もの間、何をしていたのか、と言いたくもなる。

 折しも今週始まった「春節大移動(旧正月をはさむ旅行シーズン)」では、「延べ30億人が国内外を移動する」と中国当局が発表したばかり。昨年は600万人が外国で休暇を過ごしたそうだが、運悪く今年の旅行先1位は日本だともいう。

 わが国の推計では、旧正月前後、中国からの旅行客は70万人前後とみられている。ウイルスを運んでくるのは中国人旅行者だけではないとはいえ、感染を食い止めるのに最悪のタイミングとなったことは確かだ。

 22日午前、中国政府がようやく開いた初の公式会見では、別の「不都合な真実群」も明かされた。その第1は、「ヒトからヒトの感染がある」こと。さらに、「ウイルスが変異する可能性がある」とし、感染力が強まる可能性にも言及したのである。

 この前日、習近平国家主席が、国家として全力で対応するという談話を発表したが、「独裁国家」らしいこのプロパガンダも不快でしかない。

 今週に入り、自民党の厚生労働部会でも、この新型コロナウイルスの件が複数回話された。ここでの厚労省の見解が、当初の「強毒性はないとみられる」から、22日には「判断できかねる」に変わったそうだが、中国側の発表を後追いし、後手に回るだけのような姿勢には正直、怒りすら覚える。

 ■悪夢「インバウンド8000万人」の未来

 自民党厚労部会で部会長代理を務める長尾たかし衆院議員も、いらだちを隠せない様子で、水際対策の現状を、次のように語った。

 「まず、武漢からの直行便について、他の旅客とは分けて専用レーン(列)をつくり、専用窓口で対応することにしたそうだ。米国の主要空港のような『隔離』はできないかとただしたが、難しいと…」

 隣国・台湾では、蔡英文総統が、武漢からの団体旅行客の受け入れや、台湾から同市への団体客送り出しを停止すると発表した。総統再選間もない蔡氏のこの果断さが、何とも頼もしく映る。

 もっとも昨年、中国政府が蔡氏への嫌がらせとして、台湾への個人の観光旅行を止めたりしたことが、今回むしろ台湾側に幸いした、という皮肉なオチもついている。

 一方、わが国が空港での「隔離」一つできない理由は、検疫の人手確保の困難と、場所確保の難しさにある。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)のときと比べれば、中国からの訪日旅行者数は20倍増、昨年は950万人を超えた。いまや東名阪以外の20以上の地方空港でも中国便を運航しているなか、こういう事態がいかに大きなリスクとなるか、政府も国会も正しく認識しているようには見えない。

 この緩い構えで果たして、東京五輪・パラリンピックは無事迎えられるのか。政府がいう「インバウンド8000万人」の未来など、このままでは悪夢としか思えないのである。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

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