ふれいずさんの競馬日記

【レース回顧】~桜花賞~

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「西高東低」と言われ続ける昨今の競馬事情ではあるが、鞍上面でも西高東低だったのがこの桜花賞。
メジロラモーヌ、ダンスインザムード、キストゥヘブン。ここ24年の間に3頭の関東馬が桜花賞を制してはいるが、跨っていたのは何れも関西のジョッキー。
25年前にエルプス(関東馬)で制した木藤騎手を最後に、関西所属のジョッキーが24連勝もしていたことになる。
関西のレースとはいえ、関東からもトップジョッキーが集うGIの舞台。四半世紀もの間、この流れが続いたのは驚きだ。
そして迎えた今年の桜花賞。関東のジョッキーが跨る関東馬が1~2番人気に支持されるという、まさに関東の意地を賭けたような一戦となった。

前哨戦では1番人気がバタバタと負け続け、重賞2勝馬もゼロ。戦前の予想では混戦模様との声も多かったが、蓋を開けてみれば2歳女王アパパネが好位から堂々と抜け出す力強いレースで戴冠。関東所属ジョッキーに25年振りの勝利をもたらすと同時に、自身も2度目となるGI勝利を飾った。
勝ち時計1.33.3は当日の馬場状態を考えれば特筆できるものではなく(5Rの未勝利戦が1.33.6)、高速馬場でのスローの前残りとも言える内容。
しかしながら2ハロン目から7ハロン目まで11秒台のラップを刻み、残り4ハロンから11.4-11.1-11.1と一気に加速。
ただのスローの瞬発力勝負というわけでもなく、瞬発力に優れ、かつ長く脚を使える馬が上位に残るレースとなった。
実際に最後の1ハロンは12.2とガクンと落ちており、タイムやペースの印象以上にタフなレースだったような印象も受ける。

勝ったアパパネは先行しつつメンバー中3番目の上がりを計時し、今日のレースにおいては完勝と言って良い内容。
前哨戦で未勝利を勝ち上がったばかりの馬に負け、混戦模様に拍車をかけてしまったわけだが、やはり馬場状態と休み明けが原因だったのだろう。
良馬場のマイル戦であれば、今日のメンバーの中では力が一枚上と見て良いのではないか。
ただし、関東馬でありながら関西に長期滞在するといういわゆる「関西留学」で結果を残してきた同馬。今後もし直前輸送での遠征競馬をするようなことがあれば、改めて体調面などのチェックは慎重に。
次はオークスになるのだろうが、母父がソルトレイクということもあり、距離延長がどう出るかの不安もありそうだ。

2着にはアッと驚く逃走劇からしぶとく粘りこんだオウケンサクラ。
ここ3走が中1週~中1週~中2週。GIに臨むには厳しすぎるローテーションが危惧されただけに、非常にタフな馬との印象を受けた。
そのきついローテーションの中核とも言える前走のフラワーC。ここで賞金を重ねたことで桜花賞に出走できたわけだが、それ以上に、先行して楽に抜け出した前走での経験があったからこそ、今回の先手を取る競馬に繋がったのではないだろうか。
もし前走で中団から差し切っての圧勝劇だったりしたら、ここまで思い切って先手を取るのは難しかったのではないかと思う。
そう考えると、前走で手綱をとった後藤ジョッキーの影のファインプレーも称えたい。
こちらはリアルシャダイの肌にバゴという血統背景に加え、しぶとく長い脚を使うレース振りから、距離が延びるオークスは絶好の舞台とも言えそうだ。

3着のエーシンリターンズは、結果的には人気の盲点とも言えた馬。エルフィンS勝ちからチューリップ賞3着の成績をみれば、11番人気の評価こそが意外なところ。
ともに人気薄での好走だったことで嫌われたところかもしれないが、例年桜花賞での好走例が多いチューリップ賞組でもあるし、今年のトレンドであるキングカメハメハ産駒。狙ってみる価値は十分にある馬だったのだろう。
母はエリザベス女王杯3着馬でもあり、自身も未勝利戦とはいえ1800mを楽に勝っている。いくら好走してもあまり人気にならないタイプな感もあり、オークスでも人気の盲点になるようなら面白い。

女王アパパネにチューリップ賞で土をつけたショウリュウムーンがここでも4着に食い込んだ。未勝利勝ちからいきなりの重賞勝ちと一気のステップアップを見せた同馬ではあったが、共にやや重と重馬場だったのも影響してか、ここでは5番人気に留まった。
典型的な前残りの展開の中、一頭だけ猛然と追い上げた末脚は際立っており、前走がフロックではなかったことを照明してみせた。
レース振り、血統面ともに距離延長への不安も少なく、オークスでは一発逆転まであって不思議はない。

未知の魅力から2番人気の支持を集めたアプリコットフィズが5着。楽な展開から伸び切れなかったレース振りからすると、今日の内容だけ見れば完敗といえるもの。
今までがわりと楽な相手との対戦しかなかったし、初の長距離輸送もやはり影響したのかもしれない。GIに臨むにしてはあまりにも軽い追い切りが不安ではあったが…。
クイーンCの圧勝劇に加え、サンデーサイレンスの肌にジャングルポケットという血統面を見ても、府中に戻れば逆転の可能性も。
あとは、小柄な馬だけにこれ以上体が減らないことを祈りたい。

4番人気に推されたシンメイフジが6着。メンバー中最速の上がりを繰り出しはしたものの、前が残る展開で後方から大外ぶん回しの追い込みでは為す術もない。
新潟2歳S以降もうひと息なレースが続いているが、その2歳Sでみせた豪脚が健在であることを示し、左回りにも不安のない馬。
府中の舞台ならば、長い直線を利してまとめて一気の差し切りも。


キングカメハメハ産駒が1、3、4着を占め、2着もバゴ産駒。5着も母父サンデーではあるが、父はジャングルポケットというように、「非サンデー系」ともいえる馬が上位を独占するという近年稀にみる結果となった。
そんな異例ともいえる今年最初のクラシックレースは、25年振りの関東所属ジョッキーの優勝という快挙をももたらした。
関東所属馬による関東所属騎手のための桜花賞。アパパネが2歳女王としての格の違いを見せつける舞台だったのとともに、桜花賞9度目の挑戦となる蛯名騎手に桜の花束を手渡す舞台ともなった。

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この日記へのコメント

ふれいず ふれいず|2010年4月14日 22:23 ナイス! (0)

>ずんだんさん
ワタシの場合は北海道出身者ということもあってか、関東とか関西とかに特別な思い入れはないのですが、
それでもやっぱり、今住んでいる関東が負け続けると面白くないですよね(笑)
今週は西の1頭が強そうですが…はてさてどうなることやら。

>突撃馬さん
昔は今とまったく逆で、東高西低だったようですしね。
その頃の悔しい思いを糧に、関西の方々が頑張ってきたのが今に表れてるんでしょう。
時代は繰り返すとも言いますし、これからまた関東の逆襲が始まるかも!?

(退会ユーザー)|2010年4月14日 21:50 ナイス! (0)

関東馬が強いと、関西の人間としては燃えるものがありますね(笑)

個人的にはすごく面白いですのでもっと頑張ってほしいです~(´∀`~)

ずんだん ずんだん|2010年4月14日 1:10 ナイス! (0)

競馬を買うのを別にしても、関東の馬、騎手で勝てたことはやっぱり嬉しい出来事でした。

これをキッカケに西高東低の図式を変えてもらいたいです。

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