圭太くんさんの競馬日記

ライスシャワー

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 自分の日記で追いかけた馬の名前を出すのは始めてですね。
 
 ライス君を追いかけるきっかけとなったのは、後輩が社台Fの獣医として就職した際に種牡馬の見学のお誘いを受けたことです。

 ちょうど就職した当時でもあり忙しくなってましたが、時節は折しも「オグリ」全盛期。競馬がハイセイコー以来の大ブームとなっていたころ。自分もソフトを買っては予想を繰り返している時期でした。そこに「良かったら馬見に来ませんか?綺麗ですよ」とは後輩の言。
確かに馬が綺麗なのは動物系の大学なので馬術馬などを見ていてもそう思っていましたが、競走馬ましてやサラブレッドはそうそう見る機会はありませんでしたし、お誘いを受けてみました。実物を目の当たりにすると!本当に光って見えるんです。キレイなんですよね。手入れもあるのでしょうがホントに光が反射するんですよ。これには驚きました。

 そのときは訪れた時間も遅かったし、あまり余裕もなかったので外で見れたのがリアルシャダイのみ。厩舎までは入れないので仕方ないところだったんですが、見事なばかりの黒々とした雄大な馬体。ちょっと骨っぽい感じでゴツイという風に見えましたが、目は優しい光を浮かべてました。で、寄ってくるんですよね。ゆっくりと歩みを進めながらこちらへと。柵の前で止まると「撫でろ」と顔を突き出してきます。もう一目惚れです。しばらく鼻を撫でていると甘噛みしながら「遊べ」と催促。
 馬の世話から遠ざかっていたので最初はなんだか戸惑ってしまいましたが、最後は少しだけ打ち解けられたのかなと感じました。

 そこに後輩の上司が来て、「この種のいい子いるんだよね。応援してあげて」と言われたのが母ライラックポイントの子。後のライスシャワーです。

 ライスくんはデビュー戦から追いかけていましたが、その当時は「この子小さいな」と「そんなに強くなる?」の感が抜けない子でしたっけ。常時ライスくんの単勝馬券を買いながら応援してましたが、3歳時は朝日杯に出走せず、今のように中距離のG1もなかったのでオープン止まり。4歳になってもなかなか勝てずにいたのでちょっとサボってしまい、彼のレースで唯一馬券を買わずに見た日本ダービーで2着。これは失敗でした。NHK杯の負けがあまりに印象が悪かったし、父の血が強い=ステイヤーだからクラシックディスタンスはまだ短いと諦めてたんです。そこでミホノブルボンの2着。一介のステイヤーではないなと後悔しましたっけね。
 その後は常に重賞戦では人気を背負いながら2着。力は発揮しても後一歩詰めの甘いところがあり重賞勝ちがないまま本賞金だけが増えていくことになり迎えた菊花賞。相手はかの「戸山の最高傑作」ミホノブルボン。自分自身の思いでは「確かに強いけどマグニテュードの子は3000は無理」と思っていたので当日は単勝に小遣い全部ぶち込んで場外で大騒ぎ、最後は「そのまま行け」の大絶叫。周りの冷たい視線を浴びていたと思います。結果は皆さんご存知のとおり。
 このレース以降思い入れは強くなり、翌春の天皇賞では「マックイーン止まれ」と叫んでまた冷ややかな視線を浴びましたっけ…

その後不調・故障・東京中山の不得手もあって結果を残せなくなった時「なんで引退させないんだろう」と思って後輩に電話してみると「時代は春天皇賞じゃなくてJCか秋天皇賞の勝ちを重視なんすよ」と答えが返ってきましたっけ。スタミナより軽快なスピードが重宝されるということで種牡馬入りが見送られていたとのこと。ライスくんは中距離重賞の勝ちが無く血を残すには中距離勝ちが是が非でも必要だった訳です。

不調は7歳の年明けまで続きいよいよこのまま引退かなと思っていたところの春天皇賞で大復活。それもタブーの京都三分三厘からの大仕掛けで。この時も必死にテレビの前で(この頃はPATで馬券買ってましたので)応援して、夜は友人を呼んで祝杯あげたのは今も鮮明に覚えています。

そしていよいよ種牡馬入りが見えたところの宝塚記念。この年は阪神淡路大震災の影響で阪神競馬場から京都競馬場に舞台を移しての一戦。京都なら苦手の坂もなく有力と思われたのでしょうね、中距離実績が乏しいにも関わらず3番人気。順調に見えたのですが仕掛けにいった三分三厘の先の4コーナー手前。後ろにのけぞるようなライスくん…
 嫌な予感はしたんです。あの崩れ方は明らかな粉砕か開放のいずれにしても骨折。競走馬にとっては致命傷になるような怪我には間違いないだろうと。病院時代に聞かされた「馬はな、一本折れたらまず助けられないぞ。特に粉砕はどんなにしてもダメだ。開放もだ。安楽死は可哀想だが苦しませて生かす方がもっと可哀想なんだぞ。」という教授の言葉。
 状況は当然テレビでは放送されず、夜中のスポーツニュースまで必死に続報を探した挙句、「なおライスシャワーは…予後不良」の語句。言葉も出ない、ただ自然と涙が出る。妻はこれを見て「何泣いてるの?」とポツリ。続けて「そっかーライスくん死んじゃったんだ」と。一晩ずーっと記憶をたどったのはいうまでもありません。
 
 自分の身内でもペットでもない一競走馬ではあるけど、小柄な馬体に静かな闘志で懸命に走ったライスくんは今も自分の中では至高のお馬さんなのです。なので好きな馬には載せていなかったのですが、今回プロフをいじりながら追加させてもらいました。
 
 ここまで追いかけるお馬さんは後にも先にもこの子だけだと思います。お墓参りは亡くなった翌年に行かせてもらいましたが、やっぱり泣いたんですよね。でも誰もいなかったので人知れずってところです。

 今は自分の愛用のマグがライスくんのものです。最初は使わずに飾りとしてと購入したのですが、自分も余生がそんなに長くない年になったので一緒にいようかと使い始めました。でも人に洗わせて壊されでもしたら嫌なので使用後は自分で洗ってます(^-^)

 ライスくんの余生を見れなかったのは残念でしたが、今も自身の記憶の中ではライスくんは現役です。
 

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この日記へのコメント

圭太くん 圭太くん|2019年3月14日 9:20 ナイス! (1)

勝美さんコメありがとうございます。

確かにもともと小柄であった馬体を削り出てきましたからね。
ライスくんはミホノブルボンの3冠、メジロマックイーンの春3連覇を阻止したことでどちらかというとヒール感が強かったかもしれません。でもライスくん自身はただ鞍上の指示通り一生懸命走っただけで、結果強い馬が勝っただけのこと。人間の馬券感情などが入るところではないんですよね。

コメのフレーズ、いいですねー(^-^) インパクト強いです。的場氏が後日談で「下手に機嫌損ねたら指とか足とか食いちぎられそうな迫力があった」と語っていましたね。

(退会ユーザー)|2019年3月14日 8:49 ナイス! (1)

93年 天皇賞(春) 極限まで削ぎ落とした身体に、鬼が宿る。 王者メジロマックイーンの三連覇を阻んだ、漆黒のステイヤー。 ヒールか。ヒーローか。悪夢か。奇跡か・・・。その馬の名は・・・ ライスシャワー

圭太くん 圭太くん|2019年3月12日 19:24 ナイス! (1)

はななるさんこんばんは(^^)
的場師が言ってた話で 屋根が指示しない事はしない。ただここで行って欲しい時には自分から動く馬 という言葉。これはホントに立派だと思いました。
ファンでいれたことがすごく誇らしい事に感じます。

はななるくん|2019年3月12日 18:57 ナイス! (2)

ライスシャワーは肉を切らせて骨を断つという表現のレースが印象的です。菊花賞も二度の春の天皇賞も勝つにはここで仕掛けるという信念、天命みたいなものを感じさせて勝ちきっていたのが印象的です。動きたい時に動けて勝てたということはレース前の評価はチャレンジャーであっても元々横綱の器があったということなんですよね。立派な横綱でした。

圭太くん 圭太くん|2019年3月12日 17:19 ナイス! (2)

朧月さんコメありがとうございます。

父のリアルシャダイは撫でてあげれましたが、ライスくんは余生を送れず、触れる事が出来ませんでした。
あれだけの応援できるパワーも自分になくなってきたので、ずっとライスくんを追いかけていこうと思います。

朧月 朧月|2019年3月12日 11:27 ナイス! (3)

ずーっと記憶に残るお馬さんがいるのは幸せですね。

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