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今週の東京日曜メインは天皇賞・秋(29日、GI、芝2000メートル)。出走予定の18頭中、GI馬8頭を含む16頭が重賞ウイナーで、秋の古馬中距離チャンピオンを決めるにふさわしい豪華メンバーが集結した。先週の菊花賞は雨に煙る不良馬場で行われたが、週間予報では府中の杜の古馬最高峰レースは澄み切った秋空の下、良馬場で行われる可能性が高い。
最大の注目は、史上5頭目となる同一年の天皇賞春秋連覇を狙うキタサンブラック(栗東・清水久詞厩舎、牡5歳)。20日に年内いっぱいでの引退、種牡馬入りが発表された。春はGIに昇格した大阪杯をV、続く天皇賞・春を3分12秒5のレコードで制して連覇を決め、GI・5勝目をマーク。前走の宝塚記念では9着に敗れたが、体調管理が難しい梅雨どきの競馬で、激戦だった天皇賞・春の反動が出たものとみられる。
9月16日に栗東トレーニングセンターに帰厩し、1週前追い切りは栗東CWコースで6ハロン80秒9、3ハロン38秒9、ラスト1ハロン12秒9の好時計で、僚馬に半馬身先着と活気あふれる動きを見せた。「秋初戦ですが、ここが叩き台という気持ちは全くありません。調教をやるごとに良くなってきていますね。馬体の張り、つやが変わってきています」と清水久詞調教師は仕上がりの良さに目を細める。名誉挽回に向け、調整はすこぶる順調。再び強いキタサンブラックの姿が見られそうだ。なお、天皇賞・秋の後は昨年同様、ジャパンC(11月26日、東京、GI、芝2400メートル)→有馬記念(12月24日、中山、GI、芝2500メートル)の2戦が予定されている。また、コンビを組む武豊騎手は、勝てば2008年のウオッカ以来9年ぶり6度目の天皇賞・秋制覇だ。
昨年の香港ヴァーズでGI初勝利を挙げたサトノクラウン(美浦・堀宣行厩舎、牡5歳)は、前走の宝塚記念で並み居る強豪を撃破。国内GI初制覇を果たした。天皇賞・秋は3年連続の参戦だが、過去2年は17着→14着といずれも大敗。一方で東京では新馬戦→東京スポーツ杯2歳Sと2勝をマークしており、コース適性は示している。「いつもの休み明けに比べるとトモ(後肢)の状態がいいし、一昨年、昨年は思うような結果が出ていませんが、この距離は守備範囲」と森一誠調教助手。GI・2勝を積み上げ、勢いは過去2年と違う。スプリンターズSのレッドファルクス、菊花賞のキセキと秋GI・2勝のミルコ・デムーロ騎手とのコンビは頼もしい限り。三度目の正直で盾取りなるか-。
昨年2着のリアルスティール(栗東・矢作芳人厩舎、牡5歳)は、国内GI初制覇に挑む。前走の毎日王冠で、GI初勝利を飾った昨年のドバイターフ以来1年6カ月ぶりのV。調整が難しいドバイ遠征(出走回避)からの帰国初戦で好結果を出した。昨年は5カ月ぶりの実戦で、上がり3ハロン最速タイの33秒5の末脚を繰り出し、勝ったモーリスから0秒2差。臨戦過程は昨年以上だ。キタサンブラック、サトノクラウンとは同世代。ここで一矢報いる可能性は十分にある。フランスの若き天才ヴァンサン・シュミノー騎手との初コンビも魅力だ。
ソウルスターリング(美浦・藤沢和雄厩舎、牝3歳)は年長馬との初対戦だった前走の毎日王冠で8着に敗れたが、4カ月の休み明けでやや気負う面が見られたことと、デビュー以来初めて逃げる形になったことが影響したものだろう。実戦を1度使われたことで、精神面の落ち着きを取り戻し、中間の気配は間違いなく前走以上。先週まで147勝でリーディングトップに立つクリストフ・ルメール騎手の手綱さばきで、3歳牝馬初となる天皇賞・秋制覇の期待がかかる。
一昨年2着、昨年3着のステファノス(栗東・藤原英昭厩舎、牡6歳)は、大阪杯で勝ったキタサンブラックに0秒1差まで迫る2着を含め、今年4戦はいずれも勝ち馬とは小差。自在性と器用さが増し、どんな状況下でも上位争いを演じる堅実さを見せている。前走の産経賞オールカマーは2着だったが、最内を通った勝ち馬ルージュバックとはコース取りの差が出ただけで、力負けではない。元来が叩き良化型で、休み明け2戦目は【2・3・1・1】の良績。今年も勝ち負けに加わることは必至だ。
前述のリアルスティールと同じ決め手鋭いディープインパクト産駒で、毎日王冠の2、3着馬にもVの可能性は十分ある。2着のサトノアラジン(栗東・池江泰寿厩舎、牡6歳)はデビュー25戦目だった2走前の安田記念でGI初勝利を挙げ、6歳にしてなお成長を見せている。全姉ラキシスが芝2200メートルのエリザベス女王杯を勝っており、前走から距離が200メートル延びるのも問題はない。毎日王冠では上がり3ハロン最速タイの32秒6の鬼脚を披露。直線での切れ味比べならまとめて差し切っても不思議はない。
毎日王冠3着のグレーターロンドン(美浦・大竹正博厩舎、牡5歳)は、安田記念に続いてサトノアラジンに先着を許したが、サトノアラジンと並ぶ上がり最速タイをマークしている。過去に蹄葉炎を患うなど脚元に不安を抱えており、これまで9戦とキャリアは浅いが、持っている能力は間違いなくGIレベル。先週の菊花賞では同じ下河辺牧場の生産馬で、近親にあたるキセキが優勝しており、いい流れがきている。
キセキと同じ角居勝彦厩舎所属で日経賞優勝馬シャケトラ(牡4歳)は、今週から短期免許で騎乗するクリスチャン・デムーロ騎手と新コンビを組む。宝塚記念でも見せ場を作っているように、底力はGI級。フランスでトップジョッキーの仲間入りをしたホープの騎乗が興味深い。
他では、香港GIクイーンエリザベス2世Cを勝っているネオリアリズム(美浦・堀宣行厩舎、牡6歳)、昨年のダービー馬で前走の毎日王冠6着を叩かれ、良化確実のマカヒキ(栗東・友道康夫厩舎、牡4歳)、札幌記念の覇者で伯父に1995年の勝ち馬サクラチトセオーがいるサクラアンプルール(美浦・金成貴史厩舎、牡6歳)、芝2000メートルで重賞4勝、大阪杯でも3着に好走したヤマカツエース(栗東・池添兼雄厩舎、牡5歳)などが争覇圏内をうかがう。
★天皇賞・秋の特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載
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